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教会の問題

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キリスト教会はとても居心地のよいところです。でも、満点を期待してはいけないでしょう。たくさんの問題を抱えています。とくに内側にいると見えないものを、なんとか見ようとするひねた者が…
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2022年6月の記事一覧

読めていない・聞けていない

読めていない・聞けていない

トリセツなどという言い方が通用するようになったのは、いつ頃からだろう。西野カナの歌が広めたのは確かだが、私自身はもっと以前から使われていたような気がする。根拠は見つからないので、話半分に聞いて戴きたい。
 
取扱説明書。製造物責任法にも関係して、どんな商品にも説明書が付くようになった。危険性については特に、警告をしておかなければ、責任が問われることになる。ところでこうしたトリセツ、私たちは、しっか

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何が言いたいのか

何が言いたいのか

この人は、要するに何が言いたいのか。京都人は、それを察知する文化をもつため、その能力を身に着けている。素朴に、ひとの言うことを表面の意味で受け取りはしない。
 
さすがにぶぶ漬けをいま言う京都人はいないかもしれない。でももしもあれば、それは単なる「帰れ」では済まされない嫌みをこめて言われている、という覚悟でいる必要があるだろう。箒を逆さに立てもしないだろう。だが、日常の様々な場面で、本音を直接言わ

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刹那主義の見直し

刹那主義の見直し

  今さえよければ
  今倖せなら
 
歌詞にもあるこうしたフレーズの考え方は、しばしば「刹那主義」と呼ばれる。「刹那」は仏教用語であり、最小の時間単位とも言われる。一秒の何十分の一か知れないほどの、まさに瞬間であるが、これに「主義」が付くと、いまこの瞬間だけの感情に身を任せ、過去も未来も何も気にしない、という生き方の姿勢を意味することになる。
 
そんな、後先も考えないような生き方など、よろしい

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『今、教会を考える』(渡辺信夫・新教出版社)

『今、教会を考える』(渡辺信夫・新教出版社)

戦争の罪責問題を扱っているというので、読みたくなった。新刊はなさそうだったが、幸い、古書で定価の3分の1の価格で入手できることが分かったので取り寄せた。美本だった。そして、読み応えのある本だった。また、私の期待を裏切ることがなかった。
 
1997年発行。表題の文字の一部のようにして、「教会の本質と罪責のはざまで――」と書かれてある。これもタイトルに入れるべきかとは思うが、さしあたり大きな文字のほ

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説教は命を与える

説教は命を与える

教会や宣教について、やたら「困難な時代」というフレーズを持ち出すと、説教になるというのは、思い違いである。その中で「信じていきましょう」「神に委ねて歩きましょう」としか結論が出なかったら、昭和期の教会学校である。もちろん、それが間違っていると言うつもりはない。
 
その間がないのだ。せいぜい、与えられた聖書箇所の説明を加えて、尤もらしい励ましで終わると、説教になるような気がするらしい。取り上げた聖

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