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探究する学びの対談シリーズ

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探究コネクトの活動に賛同いただいている「Qパートナー」の方々との対談記事シリーズ「探究対談」をまとめています。
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記事一覧

「探究とは、何かをプラスするのでなく好奇心をキープする」TCS初代校長・市川力さんと卒業生たちが語る、探究とは?

「探究とは、何かをプラスするのでなく好奇心をキープする」TCS初代校長・市川力さんと卒業生たちが語る、探究とは?

最近、学校のカリキュラムや学習塾などさまざまな場で耳にするようになった「探究」という言葉。この「探究」の本質を話していく企画が『探究対談』です。

今回お話を聞いたのは、探究型の学びを行うマイクロスクール・東京コミュニティスクール(TCS)に2004年の開校当初から関わる3人。

TCSの初代校長であり『探究する力』の著者であるリキさん(市川力)、2009年にTCSを卒業した初代卒業生であるたくと

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主体的な学びは、入試にもつながる。
2024年の大学入試改革に向けて、学校や家庭ができることは?

主体的な学びは、入試にもつながる。 2024年の大学入試改革に向けて、学校や家庭ができることは?

「探究が大事」なのはわかるけれど、それだと大学入試を突破できないのでは? ——そうしたかつての認識が、あてはまらなくなりつつある今。むしろ探究は、入試突破にプラスになってきています。

大学入試は2024年に向けて大きく変わり、連動して中学や高校のカリキュラムも変化の最中。どんな動きがあるのか、追手門学院中・高等学校で探究科主任を務める池谷陽平さんと、『いま知らないと後悔する2024年の大学入試改

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すぐに役に立たなくていい。「一緒にゲームしようよ」から始める探究とは?

すぐに役に立たなくていい。「一緒にゲームしようよ」から始める探究とは?

コロナ禍で一変した、私たちの生活。その影響は子どもたちにも及び、「子どもの育ちや体験の減少が気になる」という声も子育て世帯から聞かれています。こんな時期だからこそ、子どもに合った探究型の学び場を探しているご家庭も多いのではないでしょうか。

今回は、オンライン探究型通信教育「tanQuest(タンキュークエスト)」を届ける森本佑紀さんと、探究から創造までの「生みだす学び」に特化した探究学習塾「エイ

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「探究」の産みの親? 東京コミュニティスクール初代校長・市川力さんと炭谷俊樹が、探究型を実践してきたからこそ見えたもの。

「探究」の産みの親? 東京コミュニティスクール初代校長・市川力さんと炭谷俊樹が、探究型を実践してきたからこそ見えたもの。

市川:今日の対談、すごく楽しみにしてきました。というのは、実はこれまで探究について炭さんとちゃんと話す機会ってなかったような気がするんで。

——『探究する力』の本を作った時にいろいろ中身は議論したけど・・。でもあれからもう10年だね。

市川:最初に山中湖で合宿したのが2008年。探究っていうものをそろそろ表に出していこうと「知の探究社」というコンソーシアム的なものをつくりましたよね。その第一弾

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【探究は、日々の生活の中でやる】TCS初代校長・市川力さん2/7 『探究対談』

【探究は、日々の生活の中でやる】TCS初代校長・市川力さん2/7 『探究対談』

市川:「探究」というキーワードを決めた当時から、センターに「探究」がくるという図を僕らは描いていましたね。「探究」に関わるキーワードに自律やプロジェクト型というのはあるけれども、そういうのはみんな外側にある手法のひとつに過ぎない。IBもその中の一手法であるというメタな視点でとらえていた。

あくまで、目指すのは生き方としての探究。よりよく生きるために学ぶんだ、学ぶことを愛するんだと。だから「探究っ

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【失敗することでしか、先へ進めない】TCS初代校長・市川力さん3/7 『探究対談』

【失敗することでしか、先へ進めない】TCS初代校長・市川力さん3/7 『探究対談』

市川:探究習慣を身につけると、表現したくなりますよね。表現したい!作りたい!と思ったら臆せずとりあえずやってみる。できあがったものがしっくりこなかったら修正して、表現しなおす。そしてみんなにその表現を発表し、フィードバックを得て、さらにつくりなおす。

そういう経験を積み重ねた卒業生たちが、自分の好きなことに寄り添って何かをつくりだすのを楽しむ生き方をしているのを見ると、探究する学びをやっててよか

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【問題が起きる前に止めるのが、教育なのか?】TCS初代校長・市川力さん4/7 『探究対談』

【問題が起きる前に止めるのが、教育なのか?】TCS初代校長・市川力さん4/7 『探究対談』

——カオスを扱うということに関して、「子ども1人1人の関心がバラバラな中、果たして学校という集団で成立するのか?」と疑問に思う先生は多いと思うんだけど、リキさんが関わり方で工夫していることは?

市川:ラーンネットはその子その子がやりたいことをやり続けるような時間を大事にしているという印象がありますが、TCSはグループで一つのミッションに取り組むテーマ学習が特徴になりました。でも当初は、個々でバラ

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【そもそも大人、探究できてる?】TCS初代校長・市川力さん5/7 『探究対談』

【そもそも大人、探究できてる?】TCS初代校長・市川力さん5/7 『探究対談』

市川:僕がTCSを卒業した最大の理由は、一般的に「子どもを何とかしたい」という意識だけで学びが語られることへの違和感でした。大人は勝手に線を引いて、私は見守る人みたいに思っているけど、「子どもは十分探究しようとしている。むしろ大人自身が探究しようとしていない方が問題なんじゃないの」ってずっと思い続けていた。

これからの時代、40代や50代から学び始めたり、人生100年時代で、年金が当てにならない

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【ジェネレーターとナビゲーター】TCS初代校長・市川力さん6/7 『探究対談』

【ジェネレーターとナビゲーター】TCS初代校長・市川力さん6/7 『探究対談』

——「ジェネレーター」という言葉が出てきたけど、ジェネレーターを定義するとどうなるの? ラーンネットではスタッフのことを「ナビゲーター」と呼んでいるのだけど。

市川:端的に言うと、どんな対象でも面白がってしまう人、好奇心が極めて高い人がジェネレーターですね。人間はみんな好奇心を持ってるから、その意味では全員ジェネレーター。でも多くの人は好奇心にフタをして、ジェネレーターをやめてるんですね。ジェネ

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【「あえてゆっくりやる」ことこそ知恵がいる】TCS初代校長・市川力さん 7/7 『探究対談』

【「あえてゆっくりやる」ことこそ知恵がいる】TCS初代校長・市川力さん 7/7 『探究対談』

——リキさんは今は学校の外で活動しているわけだけど、TCSにいた頃は自分がやってることに対する自分自身の評価って、どういう軸で考えてました? 僕は、卒業生の進路や仕事の選び方を見て、「親に言われたから」とかブランドで学校を選んでる子は全くいなくて、それで自分のやりたかったことが実現できてるなと思った。

市川:僕は父が農学部出身で、子どもの頃から身の回りの自然の中を歩いて、野草とかを採集してマップ

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「補習を減らして、偏差値が上がった」武蔵野大学中学/高校校長・日野田直彦さんに、学校を元気にするコツを聞いてみた。

「補習を減らして、偏差値が上がった」武蔵野大学中学/高校校長・日野田直彦さんに、学校を元気にするコツを聞いてみた。

「今の学校教育はダメ」と批判するのは簡単だけれど、じゃあ学校を元気にしていくにはどうしたらいいのだろう? そんな問いに向き合い、挑み続けてきたのが、日野田直彦さん。全国最年少の公立学校校長を経験し、現在は武蔵野大学中学/高校の校長として活動しています。

「フラットに議論ができない」「オーナーシップや自信がない」などの典型的な日本型組織であったという学校を、どのように変えていったのでしょう。

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「トップダウンでは、学校は変わらない」日野田直彦さん 『探究対談』後編

「トップダウンでは、学校は変わらない」日野田直彦さん 『探究対談』後編

「今の学校教育はダメ」と批判するのは簡単だけれど、じゃあ学校を元気にしていくにはどうしたらいいのだろう? そんな問いに向き合い、挑み続けてきたのが、日野田直彦さん。全国最年少の公立学校校長を経験し、現在は武蔵野大学中学/高校の校長として活動しています。

「フラットに議論ができない」「オーナーシップや自信がない」などの典型的な日本型組織であったという学校を、どのように変えていったのでしょう。

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「探究学習と、中学受験は両立するのか?」
探究対談 久保一之×矢萩邦彦(前編)

「探究学習と、中学受験は両立するのか?」 探究対談 久保一之×矢萩邦彦(前編)

最近、学校のカリキュラムや学習塾で耳にする「探究」という言葉。でも、「探究」とはそもそも何なのでしょう? 探究を実践するとは、どういうことなのでしょう?

探究賢者が語り合う『探究対談』。第3回は、探究型の学びを行うマイクロスクール・東京コミュニティスクール(以下TCS)の理事長である久保一之さんと、統合型の学びを取り入れた少人数制の学習塾「知窓学舎」の塾長である矢萩邦彦さんです。

前編では、中

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「偏差値や点数ではない、子どもの努力の認め方」
探究対談  久保一之×矢萩邦彦(後編)

「偏差値や点数ではない、子どもの努力の認め方」 探究対談 久保一之×矢萩邦彦(後編)

最近、学校のカリキュラムや学習塾で耳にする「探究」という言葉。でも、「探究」とはそもそも何なのでしょう? 探究を実践するとは、どういうことなのでしょう?

探究賢者が語り合う『探究対談』。第3回は、探究型の学びを行うマイクロスクール・東京コミュニティスクール(以下TCS)の理事長である久保一之さんと、統合型の学びを取り入れた少人数制の学習塾「知窓学舎」の塾長である矢萩邦彦さんです。

後編では、子

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