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言語交換を成功させるために知っておきたい8つのコツ

自宅で過ごす時間が増えた最近、言語交換(ランゲージエクスチェンジとも呼ばれています)を始めてみた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いきなりビデオチャットというのはハードルが高いので、まずはテキストチャットで、お互いの趣味や語学学習の目的の方向性を確認するのがオススメです。

とはいえ、「言語交換って、どんな風に行えばいいの?」と思う人もいるはず。
そこで、今回は私自身の言語交換のエピソードを通じて、言語交換を成功させるための8つのコツについてお話ししたいと思います。​

メキシコ到着。日本大好きなDちゃんとの出会い

2015年秋、私はスペイン語留学のためメキシコの首都メキシコシティに降り立ちました。
しばらくして、現地で知人を介して知り合ったとあるメキシコ人に、「妹がずっと日本語を勉強していて、教えてくれる日本人を探している。あなたの連絡先を渡してもいい?」と頼まれたので、承諾したところ、本人(Dちゃん)から連絡がありました。

最初Dちゃんには「お金を払うからレッスンをしてほしい」と言われたのですが、私自身は日本語を教えた経験はなく、お金を受け取ることに何となくためらいがありました。
よって、私の方から「レッスンではなく、ランゲージエクスチェンジにして教えあうのはどう?」と提案をしたところ、Dちゃんも同意してくれたため、言語交換の約束が実現しました。

言語交換スタート&いくつかのルールを設定

Dちゃんは日本の文化、そして日本の映画が大好き。
日本を旅したこともあり、三鷹の森ジブリ美術館を訪れることができて夢のようだったと目を輝かせながら語ってくれたのを思い出します。
飼っている愛犬の名前も「ユキ」と日本式。
当時、彼女はテキストブックを活用し、自力で日本語での数字やものの数え方、その他文法や、自然な会話文を学ぼうとしていました。

私たちは実際に言語交換をするにあたり、次のような約束をしました。

・基本的には2〜3週間に1度(1か月に一度になるときもありました)
・お互いの言語の持ち時間は1時間ずつ=つまり合計2時間。時間厳守。
・できるだけ静かな、他人に邪魔されない場所で行う(よって、図書館など大声で話していると怒られる場所はNG。カフェも集中力散漫になりがちなのでできればNG。)
・お互いそこまでやる気がでない時は、とりあえず集まって、一緒に映画を見るだけでもOK。

当時、私のスペイン語レベルは中の上程度。彼女の日本語レベルは初級の上くらい、といえば良いでしょうか。
よって、お互いの語学レベルは同じではなく、基本的には私が何かを説明するときも、スペイン語で話すことがありました。

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思いがけない指摘

私は当時、メキシコ国立自治大学(UNAM)の付属の語学学校でフルタイムでスペイン語を学んでいました。
よって、毎日課題も多く、毎回のモジュールでカバーする文法事項が非常に多かったのを思い出します。
よって、課題に取り組んでいても自力では解決できない質問があることも。そこで、Dちゃんの助けをかりて理解につとめたり、さらにはメキシコ人がよく使うスラングについてもたくさん解説してもらったり、例を教えてもらいました。

そんなある日、Dちゃんからこんな質問が。

「ヒトミは自分の『R』(巻き舌)の発音が完璧だと思う?」

私は、「一応できていると思う」と答えました。

「じゃあ、これを読んでみて。」

そう言ってDちゃんから手渡されたのが、次のスペイン語の早口言葉でした。

「Erre con erre, guitarra; erre con erre, carril: rápido ruedan los carros, rápido el ferrocarril.」

な、なんだこれは…!?いざ読んでみようとすると、全然思うように読めません!

何となくRの発音ができていると思い込んでいた自分に気づき、大ショック。
さらには、うまく読めないので、恥ずかしさでさらに大ショック。

Dちゃん曰く、なんとメキシコでは幼稚園で練習する内容ということで、自分には幼稚園児並みのエクササイズが必要なのか…と相当がっくりきました。(笑)

Dちゃんは普段はとても優しいのですが、この時は、逃げさせてくれませんでした(笑)。

「ヒトミ、これを使って練習するわよ!」

Dちゃんは自分のペンを口にくわえると、「さあ、早く!」と私にも同じようにペンをくわえるようせかします。

「ペンを口にくわえたまま、巻き舌ができるようにならないとダメ!」

ここで、Dちゃんがずっと見本を見せてくれる横で私も巻き舌にトライするも、なぜか全然うまくいきません。
でもDちゃんは何の問題もなくできている!
なぜだ!?

「ヒトミ、あきらめないで!こうやるの!」

この時に初めて、気づいたこと。

「これまでの人生で巻き舌を全く使ってこなかった分、舌の筋肉や息の吐き方の強さに至るまで、日本語や英語と同じ感覚では全然力が足りない!これは回数を重ねて意識して鍛えないと無理なんだ…」

恥ずかしいけど大事な練習

今思えば、2人揃ってペンを口にくわえてひたすら「RRRRRRR」の発音を繰り返す女子2人の姿は、かなり滑稽に映ったことでしょう。

ただ、この日は私が当時住んでいた家の空き部屋を使っていたので、誰かに見られたり聞かれることもなく、幸運にも周囲を気にする必要はゼロでした。
もしカフェや公共の場で言語交換していたら、これをやるわけにはいかなかったと思います。

そして、ここまで本気で私に巻き舌を教えてくれようとしているDちゃんのためにも、私も本気で頑張らなくてはならないと実感。
この日から、自分の部屋でペンをくわえてRの発音練習をする日が続きました。(笑)

さらに、この時にDちゃんから宿題として出されたのが「スペイン語カラオケ」。
Dちゃんが選んだJulieta Venegasという有名なメキシコ人歌手の「Me Voy」というヒット曲をYouTubeで再生しながら自分も歌う、というものでした。

これは普通に歌っていてとても楽しかったです。
早口の曲ではなく、ゆったりとしたテンポの曲を、きちんと発音しながら歌うことがポイントであると思います。

言語交換はレッスンではない

さて、言語交換というのは教師と生徒で成り立つ「レッスン」ではありません。
タンデムパートナーは、お互いが対等である必要があり、さらにはお互いを信頼できる「良き友人」のような関係が一番の理想です。

ペンを口にくわえて発音練習するなどというのは、初対面や仲良くない人とやるのはおそらく苦痛でしょう。
しかし、語学を学ぶ上では、こういった「恥ずかしい経験」なしでは、上達できないと私は信じています。
恥ずかしい経験がきっかけになって、ずっと忘れられない教訓を残してくれるからです。

友人のように心許せる相手であれば、お互いの恥ずかしい面を見せることにも、少しは抵抗が減るのではないでしょうか。
そのような意味でも、外国語を勉強するにあたっては、「自分がどんなミスをしても、どーんと受け止めてくれるような味方」、つまり「友人のような存在」が不可欠であると私は考えています。

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スペイン語を短期間で上達させることができた理由

私がメキシコ滞在中にスペイン語をかなり上達させることができたのには、

・スペイン語で話すことを促してれる

・スペイン語で話すことを褒めてくれる

・間違えてもバカにしない

・気軽に質問や相談できる

・サービス精神旺盛で自分の文化を共有し、日本の文化も尊敬してくれている

そんな友人数名に出会うことができたからだと思っています。

さらには、

・文法事項などに関しては、普段語学学校でプロの先生の授業をきちんと受けていた

ことも挙げられるでしょう。

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言語交換を成功させるための8つのコツ

私の以上の経験から言えることとして、言語交換にあたっては、次の点に配慮して計画性をもって行うことが大切であると思いました。

1. できれば誰にも邪魔されない、プライバシーが守られる静かな場所で行うこと。
→何か間違えたりして恥ずかしい経験をしても周囲にさらされる心配がないので、安心して集中できます。
これはお互いへの信頼を高めるためにも有効。
よって、自宅での音声チャットやビデオチャットはとても良い手段だと思います。

2. お互いの持ち時間を事前に決めておき、きちんと守るよう同意しておくこと。
→今思えばお互いの持ち時間が1時間ずつというのは結構ヘビーでした。
30分ずつにしておけば、もうちょっと軽い気持ちで楽しめたかもしれません。

3. 相手は語学教師ではなく、タンデムパートナー。よって、プロの先生同様の完璧な説明を求めないこと。
→どうしても文法事項などが含まれた問題集を用いる場合は、その場で解くのではなく、事前に解いておき、何が理解できないのか、納得できないのかなど、解説が必要な箇所や疑問点をリストアップしておくと良いでしょう。

ですが、これらの質問はできればお金を払ってプロの教師にすべきであると私は思います。

4. お互いの間違いや質問、疑問を絶対にバカにしないこと。
→相手との信頼関係を築くためにも大切です。

5. タンデムの時間は、難しい文法事項ではなく、スラングの使い方や例文など、日常会話を学ぶ場とすること。
→リアルな会話実践の場としてタンデムを楽しみましょう。

6. 目標を高く設定しすぎないこと。
→楽しくできる範囲を目指すのが一番ではないでしょうか。
厳しくしすぎたり、プレッシャーになると、長続きしにくくなります。

7. 「教えあう」というよりも、「お互いを助けあう」という気持ちで取り組むこと。
→助け合うという前提であれば、お互い尊敬の念を持って接しやすくなるはずです。

8. そして最後に重要なこと。本当に楽しく言語交換できるパートナーに出会うのは、一緒にいて楽しい友人と出会うことと似ています。
→よって、タンデムパートナーとの出会いにおいても「縁」と「運」の力が大きく働いていると私は信じています。
お互い尊敬しながら友情を育めるような相手であるか、信頼できる相手であるか、じっくりと見極めながら進めていくのが良いのではないでしょうか。雑談が出来るような相手が理想的です。

皆さんは、自分の外国語学習において、気軽に相談できたり、味方になってくれるお友達はいますか?
もし知り合うきっかけがないけれど、そういうお友達を探してみたい!という方は是非Tandemのアプリを覗いてみて欲しいと思います。

最初からとても気の合うパートナーを見つけるのは難しいかもしれませんが、どうぞ気長にトライしていただければ幸いです。
もちろん、不快な発言や態度を繰り返す相手とやりとりする必要は全くありません!(語学学習は楽しくやるのが鉄則!)
楽しく、マナーを守りながらお互い助け合える仲間を見つけましょう。


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