玉・流・成

2xxx年xx月xx日結成の随筆家集団。 今を、言の葉を音に乗せて紡ぐ音楽家の玉。 …

玉・流・成

2xxx年xx月xx日結成の随筆家集団。 今を、言の葉を音に乗せて紡ぐ音楽家の玉。 未来と過去、東西南北まで果てし無く進む、賢人の流。 住所不定無職の外こもり成の3人で構成される。 薄暮・夜半・東雲の3部から成る随筆と音声を毎月1本投稿中。 立ち読みしていってくださいな。

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今後の活動方針について

いつも拝読いただき誠にありがとうございます。 1月分の投稿を機に沈黙状態が続いておりました本活動ですが、 今後の活動方針について3人でよく話し合った末、変更点を加えた新しい形式にて今後も引き続き精進していく事となりましたので、その詳細をご報告させていただきます。 さて、旧式の方法で僕らが設けていた縛りは至ってシンプル。 ・毎月1つのお題を決め、そのお題を元に3人それぞれの視点からエッセイを書く というものでした。 それを新式では以下のように変更しました。 ・毎月1

    • 一筆言 - 8/xx/2022

      8月に入った。 いよいよ今年も残り4ヶ月というところまで来ている。という事に段々と人々が気づき始め、特にもう何かを取り戻せやしないのだけど、どういうわけかそわそわするような頃合いだ 僕は2ヶ月に1度の頻度で散髪に行くから、あと2回髪を切ったすぐ後で年を越してしまうと考えると余計に短く感じる。 自分の好きな季節の真っ只中にいると、特にやりたい事や好きな事が溢れて未だに胸が高鳴るし、その分時間の流れも、鷲に追われる際の野兎くらいぶっ飛んで過ぎていく。 年々、悍しいほど悪化し

      • 一筆言 - 6/xx/2022

        どうやら玉も流も多忙でしばらく手が回らないらしい。 僕は自分のペースでのらりくらりと移ろっているだけなので、火を吹くような忙しさとは無縁であるが、二人の場合は彼ら自身が主体となって食い扶持を繋ぎ、自分の船に乗せた船員に対する責任も背負っている身であるからして、波の荒れ具合によってはそれぞれの航海にとりわけて集中しなくてはならない。 それでいて、僕が作ったエンジンすら積んでいないこのイカダ船は「書き物」を燃料にしていることも相まって、時間を相応に食う。 二人の活動量や、そ

        • 営みの建設

          薄暮 -成-快然たる新春の空気を、気の済むままに思いっきり吸い込めたらどれだけ最高だろう。 六歳頃から花粉症の僕は、五月に入るまでフゴフゴと悶えることしか出来ずにいる。 黄緑の瑞々しい新芽たちが日の光に向かって伸びるのを見ると、ああそれはどれだけ気持ちが良いだろうね、と羨ましさで震える。 この前ニュースになっていたけれど、花粉症患者はそうでない人たちに比べてガンの罹患率が半分ほどだとかいう研究結果が出たらしい。僕は過去に八年間ほどタバコを毎日二箱吸っていたことを加味した場合

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        今後の活動方針について

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        • 食について
          3本
        • 子供の頃の夢
          3本
        • 秋について
          3本
        • 居心地の良い場所
          2本
        • 学校
          3本
        • 無題
          3本

        記事

          この心の、処方箋

          薄暮 -成-思考が桶に水を貯めるようなものだとすれば、書くことは排水に違いない。 冬から春にかけての季節、僕の桶は濁り水で度々一杯になる傾向にあり、水が汚れていく速さに排水が追い付かず、溺れかけることも。 日本に帰って来て約2年が経とうとしていて、良否双方の意味で完全に順応した。 もう少しで忘れかけていたような感覚も多く取り戻しつつあり、やや扱いに悩むこともあれど、こうしてせっせと水換えを繰り返す以外に最良の選択は無いと分かっている。 名古屋入管に収容されていたスリランカ

          この心の、処方箋

          縁について

          薄暮 -玉- ベランダで風に当たりながら、吸い終えた煙草を捨てようと携帯灰皿を取り出したところ、僕のに混じって見慣れない煙草が一本ひしゃげて入っていた。これはあの日の、あの人の煙草だ。僕は暫しの間、シケモクの嫌な匂いも構わず灰皿を見つめてしまった。 日本三大奇景の一つに、妙義山という山がある。 その日、別の用で群馬の安中に宿を取っていた私は、岩山に木々がぽつぽつと繁ると云う不思議な景勝地、すなわち妙義山がこの温泉宿から近いことを知って、明朝から向かうことに決めた。 「私

          縁について

          ゆけばゆくほど

          薄暮 -流- 大人の価値基準は、いかなるときもゆるがない。 そんなふうに思っていた時期があった。 しかし、大人になった僕は、笑ってしまうほどそうでもない。 知識や経験が増えていく過程で、自分の中の価値基準が更新されてきた過去があるからだろう。 更新されてきたということは、絶対はないということでもある。 この絶対はないという教訓が「分からない」と手を繋いでいる。 それが、ゆらぎの正体。 人生は寄る辺のない航海だ。 行き先を照らしてくれる光がないのは、とても心細い。 贅沢は

          ゆけばゆくほど

          パーテーションのむこう

          薄暮 -成- 先日、旧友から唐突に電話をもらった。 彼とは小学校4年生からの付き合いになるから、20年来の間柄ということだ。(以下、Rとする) R自身は決して認めはしないが、もう長いことアルコール依存症の気がある。 加えて年々酒に弱くなっていくのと反比例するよう、酒癖の悪さが倍増している。 Rは酔っている事がはっきりと分かる様子で話し始めた。 支離滅裂なのはいつも通りで、突然に隠語を大声で叫んだり、自分のイチモツがいかに大きいかを嬉々として話す。 居酒屋で飲んでいると

          パーテーションのむこう

          "新しい地図を作成"

          薄暮 -玉- 深夜の住宅地に囲まれたささやかな一軒家の縁側で、5人の男たちが集まって話し込んでいる。 その中心に置かれた七輪、その上にはまだ幾つかの椎茸や牛肉が残っており、自分に目もくれない男たちを呪うように油を落としていく。 「お前はもっと刺激的な環境に身を移した方がいいんだよ」 そう語る男は射抜くような目線を投げ、射抜かれた男は涙ぐんで、残りの3人も静かに頷く。 ヒートアップする「今、俺たちはどう生きるか」というテーマは、際限なく縁側に火をくべ続ける。気づけば椎

          "新しい地図を作成"

          浅瀬に戻る

          薄暮 -流- 入社したと同時に辞める準備を始めていた。二年をかけて持ちものを徹底的に見直し、残った荷物をすべてバックにつめた。数年後にミニマリストなるものが流行ったが、自分の場合「定住を辞める」「風のように生きる」という目的が明確にあって、断捨離は手段でしかなかったため、ただの苦渋の決断だったと記憶している。 心の向くままに生きよう。好きなもの、好きな場所、付き合う人、ぜんぶ自分で決める。意気揚々と借りていた部屋のドアを開けて、一歩を踏み出した。あの高揚感は、今もここにある

          浅瀬に戻る

          怒りの在処

          薄暮 -成-中学生の頃だ。 前触れもなく学年全体の取り決めとして、生徒たちが自由に他クラスへ行き来することが禁じられた。 僕は学級委員というクラスのリーダーを任されていたが、そんな馬鹿げた話があってたまるかと反発し、 むしろ率先してその新ルールを破るようになっていた。 ある日、いつも通り他クラスの友達と話そうと教室へ入ろうとした時、そのクラスの学級委員が僕を静止した。 「入っちゃいけないルールだろう?しかもお前は学級委員じゃないのか?」 至極正論を突きつけられた覚えが

          怒りの在処

          兎と亀とコンクリート

          薄暮 -流-渋谷スクランブルスクエア、9階。ふと思う。いま座っているこの席の真正面、直線上には何があるのだろうか。目の前にある雑貨屋の向こう。ビルの外。もちろん空。もっと、もっと、その向こう。日本を飛び出して、まっすぐ進んだその先にぶち当たる、同じくこちらを向いて座っている人は、どこの国のどんな人だろう。 足元をみる。地上からここまで25メートルくらいのはず。あいだには8つもの階層がある。それらを繋ぐ電動の階段と上へ下へと運ばれる人。さらにその下、地中には轟音で行き交う

          兎と亀とコンクリート

          足跡

          薄暮 -玉-「三日坊主」という言葉がある。 飽きっぽくて物事に継続して取り組むことができない人や、そのさまを表す四字熟語だが、一体どうして「坊主」なのだろうか。 調べてみれば、一念発起して寺に入ったは良いものの、厳しい修行や質素な食事に耐えられず三日で辞めてしまった、という逸話を見つけた。出所は確かでないが、この四字熟語をよく捉えた説明であると思う。 つまり、尊大な目標というのは、細かな苦悩を抜きにして立てられるものだということだ。 僕は、小さい頃に漫画家を志した時期

          もしかしたら、あの人は自分かもしれない

          薄暮 -成-僕が数年前から好んで視聴している"ASIAN BOSS(アジア人のボス)"というメディアがある。 創設者がメディア名にBOSSと分かりやすく権威性のある言葉を用いたのは、アジア人が世界から抱かれている「寡黙な優等生」などのステレオタイプから解放される事を願い、さらにはアジア人が世界を牽引出来るよう、今らしく言えば多様性に満ちた社会を次世代の同胞たち(アジア人)に繋げたいという思いからだ。 彼らは時に政界からスラムに到るまで深刻な問題を扱う。 しかし、いずれ

          もしかしたら、あの人は自分かもしれない

          ゴキブリを食べた日 -1月テーマ 「食について」

          タイトルを見た時に「うわ、嫌だな」と思った人へ。そんな人にぜひ読んでいただきたい。なぜなら私もそう思うからだ。 そいつは油でこんがり揚がっていた。素揚げなので味付けはなし。もちろん、姿かたちはそのままだ。恐る恐る、だけどかじる勇気はなくて、一気に口に放り込んだ。香ばしい。外側はエビの尻尾を軽くしたような食感で、中は柔らかかった。少しクセはあるけど、こうじ味噌に似た味がする。 すでに持ってしまっているイメージを出来る限り忘れて味だけを評価すれば、そんなに悪いものではなかった

          ゴキブリを食べた日 -1月テーマ 「食について」

          生活の三大要素 (1) - 1月テーマ 「食について」 -

          大変唐突ではあるが、事あるごとに日本食は最高だな、とつくづく思う。 というか、思い知らされるのかもしれない。 「食」を紐解けば、必ず文化や歴史が見えてくる。 きめ細かさと隣り合わせで、 “Weird”(奇妙) な文化を形成してきたこの国の気に入っているところを挙げるとするならば、自然と食に尽きる。 自然については、昨年に書いた「秋について」というテーマで少しだけ触れているから、興味のある人は是非覗いてみて欲しい。今後、個人的に、またこのチームでも深掘りしていくテーマでも

          生活の三大要素 (1) - 1月テーマ 「食について」 -