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外国語教育_at my desk

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外国語教育について考えた・考えてる・考えるために書いた こと
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#英語授業

「アイマイミーマイン」って変すぎない?

「アイマイミーマイン」って変すぎない?

英語の人称代名詞の格変化を覚える際に,「アイマイミーマイン」(I, my, me, mine)という呪文を唱えたことのある人は多いだろう。
この呪文の続きは「ユーユアユーユアーズ」(you, your, you, yours),「ヒーヒズヒムヒズ」(he, his, him, his),「シーハーハーハーズ」(she, her, her, hers),「ゼイゼアゼムゼアーズ」(they, thei

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佐藤・笠原(2022)『効果的英語授業の設計 ―理解・練習・繰り返しを重視して―』

佐藤・笠原(2022)『効果的英語授業の設計 ―理解・練習・繰り返しを重視して―』

はじめに前回、青木(1987)『いい授業の条件』について「期待していたよりずっと中身が軽い」と書いた記事を読んだ知人から、「めっちゃ昔の本だし大丈夫だと思うけど、こんなこと書いて怒られたりしないの?」と連絡をもらった。
私のnoteを読んだ上で、心配までしてくれる人がいるとは思わなかったので、ありがたい。
だが、(もしかしたら怒られることはあるかもしれないけど)怒られるようなことはしていないはずだ

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青木幹勇(1987)『いい授業の条件』国土社

青木幹勇(1987)『いい授業の条件』国土社

正直,期待していたよりずっと中身が軽い印象。いや,勝手に期待したこちらの問題でもあるのだけど,まえがきで「「いい授業」であるか,そうでない授業かは,いうまでもなく,子どもの側に立っての評価でなければなりません」と述べられている一方で,中身は筆者の主義の表明である部分が多い。筆者が確かに子どもたちの様子を見て「いい授業だ」と思えた経験から抽出した内容なのだろうが,どうしても説教臭く感じてしまう。

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【授業で洋楽】 Photograph / Ed Sheeran

【授業で洋楽】 Photograph / Ed Sheeran

オミクロン株の感染急拡大に伴って,勤務校は少し前からオンライン授業に切り替わった。
私の英語の授業の一番の「売り」は,長い英文を見ても目を背けなくなる(と信じたい)読解の授業だと思っている。

それがオンラインでは,まぁ正直厳しい。オンライン授業で一人で家で黙って教科書3~4ページ分の英文に立ち向かえるのであれば,もうその生徒には私の授業は必要ないとも言える。

というわけで,思い切って授業を根本

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『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

『学校英語教育のコミュニケーション論』に救われた話

去年の夏に買ってこの春休みにようやく『学校英語教育のコミュニケーション論』(榎本, 2019)を読んだが,本当に読んでおいて良かった,軽く命を救われたレベルの話。

本の内容をざっくり自分程度にざっくり話せる内容の本ではないけど,学校で行われる英語の授業の中で本当に起きている「コミュニケーション」とはどのようなものなのかを,著者である榎本先生が実際の高校の教室に入り込んでつぶさに観察したもので,英

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「気づき」のその先

ことばへの気づきの重要性はSLA的な意味でも,メタ言語能力的な意味でも色々言われていると思います。
(これで済ませられるのがブログの良いところ。いつか論文書けなくなっちゃいそう。)

自分自身も授業の中で常にことばへの「気づき」を促すような働きかけをするように意識しています。習熟度別クラスで,教科書を読み進めるスピードや説明の仕方・丁寧さ・力点等には差を出しても,「ことば面白くない?」に繋がるポイ

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助動詞の授業。普通です。

中学2年生の助動詞(正確には「法助動詞」ですが,本記事では単に「助動詞」と呼びます)の授業実践を紹介させていただきます。
と言っても,見切り発車で行なったまだまだ穴だらけの実践です。また中2で助動詞を教えることがあればその時この記事を見て「クソつまんねーな」「でもまぁ肝は抑えてるか」みたいになるといいなって思います。

「助動詞」という単元は存在しない。少なくとも自分の勤務校で使用している教科書に

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今の興味: 「メタ言語能力」を育てる英語授業

今の興味: 「メタ言語能力」を育てる英語授業

メタ言語能力とは何か「Aとは何か」という問いを立てると,「Bである」という答えを期待してしまいがちですが,少なくとも今の僕に「メタ言語能力」という概念Aに対する,明確な定義Bを与える力・知識はありません。
ですので,ここではとりあえず僕がいま座っている椅子から一歩も動かずに手に取れる距離にある本の中で最も簡潔に表されたBを置いておきます。

「言語知識を対象として,高次から観察したり,分析したりす

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