ショッキングブルー

手作りのチョコレートケーキを
持ってきてくれた寒い夜に
確かそういうことに
なったんだった

初めてのことだったから
あんまり嬉しくって
確かアマレットを
奢ったんだった

ショッキングブルーのマフラーと
紺の制服とのコントラストが
目に焼き付いて離れない
声も、顔ですらもよく
思い出せないのに

バス停のベンチにいても
遠くの方から歩いて来るのも
すぐさま見つけることができた

ショッキングブルーのマフラーが
光を放って知らせてくれたから
今もずっと忘れられない
折に触れて思い出す
もう昔の話なのに

買ったばかりの一眼レフは
専ら彼女の為にネガを残した
モノクロにも拘わらず
マフラーだけ何故か
青く光って見えた

喫茶店で待ち合わせたり
電車の旅にも行ったけれど
春になってもとうとう
手も握らなかった

ショッキングブルーという色は
不思議な力を持っている
もし襟元に見たのなら
気を付けなければ
やられてしまう






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