因縁

心が荒んでいるのは
自らの中に許せない人を
いつまでも囲っているから

せっかく苦労して捕まえたものを
逃がすのはどうしても惜しいと
逡巡ばかりしているから

風の音に耳を澄ませ
落ち葉が舞う様さまに目を向け
己の鼓動に意識を集めてみる

"袖振り合うも多生の縁"
昔から云われるように
因縁で繋がる者同士は
許すとか許されるとか
そんな次元では語れない

波の音に耳を澄ませ
雲が往く様に目を向け
思考が無に帰す時を待つ

悟りでもないし達観でもない
諦念の極致ともまた違う
因縁には逆らえぬと
ただ知っただけ