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BCGが読む経営の論点2024②:エネルギーシフト、再エネの電気契約は短期契約から長期契約が主流に!?

読書ノート(152日目)
昨日に引き続き、今日も
この本を紹介していきます。

もはや毎年恒例とも言える
「BCGの経営の論点」シリーズ
2024年版の注目テーマ(目次)は
以下の通りです。

・2024年に注目すべき大きな潮目の変化
第1章 エネルギーシフト:日本企業は”賢い需要家”を目指せ
第2章 生成AI:日本の”勝ち筋”と導入の5つのポイント
第3章 サーキュラーエコノミー:気候変動の次は生物多様性が問われる
第4章 経済安全保障とサプライチェーン:
 リスクの見える化で意思決定の仕組みづくりを

・競争優位を築くために必要な組織の能力
第5章 事業開発力:新たな成長に向けM&Aをどう活用するか
第6章 イノベーション:進化する手法と日本企業復活へのポイント
第7章 プライシング:インフレ時代の「値付け」戦略
第8章 人材戦略:「人事」を越えた経営課題へ発想の転換を

そして今日は
第1章 エネルギーシフト
についてです。

第1章:エネルギーシフト
 日本企業は”賢い需要家”を目指せ

・この分野は欧州が先行する中、
 日本は独自の”脱炭素インフラ大構築”時代に向かっている
・エネルギー問題を考えるときにカギになるのが再生可能エネルギー
・欧州では再エネの発電コストが当初の予測を超えて下がり、
 普及のスピードも速い
・太陽光、風力などの再エネは自国で発言設備を造ってしまえば
 燃料は不要なので長期に安定供給が見込めるため、
 環境問題というより経済問題を解決する切り札になっている
・欧州の取組みは日本より10年~20年先行していると見られており、
 供給側、需要側、政策の3つの観点に注目する

・欧州の需要家企業の意識変化
・独自動車大手BMWは2017年に欧州での使用電力を
 100%再エネに切り替えている
・独自動車部品サプライヤー大手のボッシュも2020年には
 自社拠点のカーボンニュートラルを達成
需要家企業と供給企業との直接購入契約である
 CPPA(Corporate Power Purchase Agreement)を結ぶ動きが活発化
・従来の化石燃料由来の電力は石油やガスの価格変動リスクが大きく、
 電気料金は単年契約が一般的
・一方で再エネは比較的安定した供給が見込めるため、
 固定単価での長期複数年契約(5年~20年)が可能
・供給側と需要側の双方にメリットを生み、
 上場企業の60%がCPPA再エネを希望とのデータもある
・ドイツでは需要の増加に供給が追い付かず、
 2030年時点でCPPA向けの再エネが供給不足に陥る予測も
・そもそも欧州では、環境対策だけでなく、自国(あるいはEU)の
 産業勃興・成長のためのルールづくりにも巧みに取り組んできた

・日本が遅れてしまった3つの理由
・1つ目は、欧米のようには再エネコストが下がりにくい
こと
 日射量や風況が安定しないことなどにより
 再エネ稼働率が低いことが大きな要因
・2つ目は、他国と送電インフラの連携ができないこと
 再エネは、気象などの自然環境に左右され発電量が安定しない
 欧州のようなぢ続きの環境ならば、広域送電網を構築し
 電力を融通し合うことができる
・3つ目は、2011年の東日本大震災および福島原発事故がある
 震災で原発事故が起こると首都圏は電力不足に陥り、
 その解決のために石炭やLNG(液化天然ガス)による
 火力発電の増設が進められ、世界的なエネルギーシフトの流れに
 逆行する形となった

・GXで官民挙げて巻き返しを狙う
・2022年7月、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」
 第1回会合が開催
・エネルギーの安定供給のための具体的な方策と、
 脱炭素に向けた今後10年のロードマップを策定
・諸外国に対する遅れを挽回するためにも、
 今後10年で官民150兆円規模の脱炭素投資が必要とされ、
 そのうち20兆円は国の財源を投入するとされている
・日本全国で脱炭素の新しい仕組みづくりや設備投資、
 産業政策がこれから本格化するいわば
 ”脱炭素インフラ大構築時代”を迎えようとしている

・日本企業が”賢い需要家”になるための3つのフェーズと5つの取組み
・「備える」ための2つの取組み

 ①自社のエネルギー使用実態を把握し、
  脱炭素だけでなく価格変動リスクも理解する
 ②エネルギーに関する動向について、常にアンテナを立てる
  国際的な会議や枠組みの動向、各国の制作、
  エネルギー企業や需要家企業の取組み、新技術など
・「実行する」ための2つの取組み
 ③再エネ発電事業者とのCPPAなど、再エネ調達に能動的に動く
  CPPAについて既に欧州と同様の動向が日本でも見られており、
  需要家企業としては能動的に動くべき
 ④新たなビジネスチャンスと捉え、再エネ設備に投資する
・「継続する」ための取組み
 ⑤組織能力を構築し、継続的な競争優位性確保を目指す

・「2050年ネットゼロ」を実現するための
 日本のエネルギーシフトの将来像
・大規模電源のシフト

 今後拡大が予想される風力発電は自然条件が重要なため、
 洋上では北海道、東北、九州。
 陸上では北海道、東北エリアを中心に開発が進む
・火力の縮小とゼロエミッション化
 既存の火力は縮小され、燃料時にCO2を排出しない
 水素・アンモニアを混焼しゼロエミッション化を推進
・分散型太陽光発電の大量導入
 太陽光発電の大規模設備は用地などの問題で難しいが、
 既存建物の屋上や遊休地を利用した小規模電源の分散型になる

・これまでは、各地のエネルギー企業がエリア内に発電所を造り
 現地の需要家に販売するのが一般的だった
・今後は北海道、東北、九州から需要の大きいエリア
 (関東・中部・関西)に大量の電気を送電することになれば、
 大規模送電インフラの建設が必要となり、実際に計画も進んでいる
・エネルギーをめぐる環境が大きく変わるなか、需要家企業として
 将来シナリオを見据えながら自社の計画を策定することが重要

2024年の大きな潮目の変化の1つ
エネルギーシフトの紹介でした。

今までの自分自身の経験から
小売業とITサービス業には
ある程度は詳しい方だと思うのですが
エネルギー関連の知識は
ほとんど持っておらず、
本書を読んでいて、一人で(黙々とですが)
「そうだったのか!」の学びの連続でした。

再エネ業界では契約年数が
一般的な1年毎の単年契約から、
5年~20年の長期契約への移行が
進んでいる
とのことですが、
その場合は供給側企業が差別化できる
ポイントも変わるのでしょう。

これは何となくですが、
単年契約や短期契約が主流な業界だと
他社からの乗り換えを期待しての、
お試し価格のセールキャンペーンが
多いのでは?というイメージがあります…

その一方で、たとえば
長期契約が獲得できる企業は
将来の収益予測も高い精度で
計画を立てられるので、
大胆な大型(最新で高額)設備の投資が
しやすくなったりするのかなと。
そうなれば、強者はより強者になり、
再エネ業界は、新規参入がしにくくなる
業界に将来はなっていくのかなぁ…と
勝手に妄想を広げていたところです。

こうやって、
強制的にでも1年に1度は
自分の予備知識が少ない業界を
学ぶという機会は貴重だなぁと
しみじみと思い直したところで、
今日は締めたいと思います。

それではまたー!😉✨

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