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  • 現代哲学マルクス・ガブリエル

    マルクス・ガブリエルの「Why the world does not exist」を読み解きます。 テーマは、「世界をありのままに見る」です。

  • 「ハイデガー『存在と時間』入門」を読む

    ハイデガーの「存在と時間」について、タイトルの入門書(講談社現代新書、轟孝夫)を読んで、理解を深めます。

  • 思い上がり、ひねくれ、わざとらしさ

    思い上がり、ひねくれ、わざとらしさ…奇妙な人たちの背後について、精神科医ビンスワンガーが医学的、哲学的な考察を加えた著書を読み解く。

  • 新しいヘーゲル

    新しいヘーゲル(長谷川宏)を読解し、近代哲学を批判的に検証します。

最近の記事

超人になろう

人は何歳から超人になることを諦めるのか。 子供の頃、誰しもがスーパーヒーローに憧れただろう。 しかし、年を重ねるにつれて、それは夢想と消え、生々しい現実を突きつけられることになる。 10代にして身体的、知的能力の限界を知り 20代にしてコミュ力の限界を知り 30代にして経済力の限界を知る。 しかし、これほど険しい道のりの中で、なお超人を目指すことは可能である、というのがこの記事の趣旨だ。 ユートピア的な子供時代ではなく、リアルを踏まえた大人のための超人化プログラ

    • 鐘をつく意味

      毎年、大晦日には、友人と連れ立って、お寺に鐘をつきに行く。 今年は久しぶり雪が多く、朝から夜まで通して降り続けたが、11時頃にやんだ。 空は真っ黒に澄み渡り、冴え切った満月が塵界を照らし、塵界は寂蒔としている。 葉を落とした落葉樹の寂しい枝は、雪をまとって、樹氷の如く、フラクタルに夜空に伸びる。 例年にない良い夜だ、と思った。 順番を待ち、お寺さんの合図で、鐘の前に立つ。 撞木から伸びた縄に手をかける。 大きな鐘を見上げると、前についた人の唸りを残しながら、まだ

      • 【現代哲学】マルクス・ガブリエル(6)最終回

        ついに、「Why the World does not exist」の最終回となります。 今回は、最後のまとめとなる第7章「テレビについて」を取り上げたいと思います。 まず、最初にお約束ですが、哲学を学ぶ時に、絶対に間違えてはならないポイントがあるので、確認です。 問い:なぜ哲学を学ぶのでしょうか? 答え:世の中をありのままに見るため 哲学を学んだ結果、当たり前なことをややこしく説明するようになったら最悪です。 さらに、偏った考えに凝り固まってしまったなら、もはや

        • 秋の空のように気高い真理を知る

          人生は、なぜこんなにも辛いのだろうか。 何もかもが思いどおりにならない。 仕事、恋愛、趣味、どれ一つとしてうまくいかない。 妥協すれば後悔し、挑戦すれば失敗する。 この苦しみや孤独からどうすれば逃れられるのだろうか。 私は、ずっとこの悩みに囚われて生きてきました。 色んなコミュニティに属したり、仕事に打ち込んだり、あらゆる哲学書を読みあさったり、恋愛に逃げて、妥協して結婚を考えたり、お金をバンバン使って新しいことに挑戦したり。 でも、何も解決しませんでした。

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        • 現代哲学マルクス・ガブリエル
          5本
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        記事

          経営に役立つ和辻哲郎

          こんにちは。 ビッグな経営者になりたいですねーーー! 日本の高度経済成長を支えた偉大な経営者たちは、哲学的な目線においても、卓越していました。 ビッグな経営者になるために、彼らを見習い、ビジネスのかたわら、勉強も欠かさないようにしたいです。 今回取り上げる和辻哲郎は、20世紀前半の日本で活躍した哲学者です。 彼の「人間の学としての倫理学」に、ビジネスに役立つ極めて重要な要素が入っていたので、ご紹介したいと思います。 何のためにビジネスをしているの? 経営者として

          経営に役立つ和辻哲郎

          エニアグラムについて研究してみた

          こんにちは。 2373noteをご覧いただきありがとうございます。 皆さまは、自分に合った仕事や生き方ってなんだろう、と悩むことはありませんか。 今取り組んでいることが、本当に自分のしたいことなんだろうか、自分に合ってるんだろうか、などと不安になることはありませんか。 もし、自分の適性がハッキリ分かって、打ち込むものが見つかって、死ぬ気で没頭できたら、どれだけ幸せだろうか、と想像してしまうことが、私にはよくあります。 それでも、日々の生活に追われて、本当に大切なこと

          エニアグラムについて研究してみた

          【良い宗教と悪い宗教】マルクス・ガブリエル(5)

          今回のテーマは、宗教です。 ”WHY THE WORLD DOES NOT EXIST”の第5章を読んでいきます。 現代においても、イスラム原理主義をはじめ、様々な宗教が世界情勢に大きな影響を及ぼしています。 今回考えるのは、 良い宗教とは? 悪い宗教とは? です。 new realismの観点に立つと、今までは見えてこなかった差が、クリアになってます。 変な宗教に悩んでいる人は必見です! 宗教まず、宗教とは何でしょうか? 宗教には、2種類あります(p15

          【良い宗教と悪い宗教】マルクス・ガブリエル(5)

          【現代哲学】マルクス・ガブリエル(4)

           今回は、”WHY THE WORLD DOES NOT EXIST”の第4章、自然科学についての議論を取り上げます。  現代自然科学は、人間に特別な意味を持たせていた中世や近代の世界観を大きく揺るがし、人間不在の世界観を生み出しました。  人間も脳も意識も感情も、すべて自然法則にしたがっているので、人間は特別な存在ではなく、物質にすぎない、という世界観です。  冷たくて、何かがおかしいと感じませんか?  new realismは、この違和感をスッキリと解決し、人生の

          【現代哲学】マルクス・ガブリエル(4)

          【起業に役立つ哲学】ハイデガーの技術論

           今回取り上げるのは、技術!です。  現代で起業を考える際に、工業技術、バイオ技術、IT技術など、「技術」に関する知見は欠かせません。  今回は、ハイデガーの代表的講演、「技術とは何だろうか」(講談社学術文庫、初版第1刷)を読みながら、技術について理解を深めていきます。  私たちは、技術をどのようなものとして捉え、どう向き合っていけばいいのでしょうか?  技術の哲学的な探求「技術とは何か?」について哲学的に探求していきます。 ふつう、技術とは、道具であり、手段です(

          【起業に役立つ哲学】ハイデガーの技術論

          【現代哲学】マルクス・ガブリエル(3)

          はじめにマルクス・ガブリエルの3回目です。 ”WHY THE WORLD DOES NOT EXIST”の第2章と第3章を読んでいきます。 テーマは「存在」です。 なぜ、哲学を学ぶのか? ガブリエルの答えは、「世界をありのままに見る」ためです。 new realismにおける「存在」をマスターすれば、「生きる意味は?」「サンタはいるの?」などという単純ですが難解な、こどもからの質問にも答えられるようになり、思考がクリアになります。 思考がシンプルになるので、今やノ

          【現代哲学】マルクス・ガブリエル(3)

          ALS患者嘱託殺人事件について弁護士が解説

          はじめにALS患者を、依頼を受けて殺害したとして、嘱託殺人に問われた医師2名が逮捕されたという事件がセンセーショナルに報道されています。 今回の事件に関係する法律を、解説します。 嘱託殺人罪とは?安楽死に関与した場合に、問われる罪は、殺人罪か嘱託殺人罪です。 嘱託殺人罪は、殺人罪の一種です。 殺人罪(5年以上の懲役、無期懲役、死刑)よりも、本人の同意がある嘱託殺人罪は、刑が軽くなります(6月以上7年以下の懲役)。 ちなみに、殺人罪は裁判員裁判になりますが、嘱託殺人罪

          ALS患者嘱託殺人事件について弁護士が解説

          【I T時代の現代哲学】スティグレール(2)

          引き続き取り上げるのは、技術に関する哲学の世界的権威で、IT時代の哲学のスターであるベルナール・スティグレールの著作「偶有からの哲学」の第4章です。 1章から3章までは、技術についての話題でした。 現代の技術は、時間的な対象(音楽や動画など)を製品化することを可能にしました。 人間の意識の本質は、流れること、時間性にあります。 現代の産業は、例えば人をC Mに釘付けにすることによって、意識の本質である時間の流れをコントロールするようになりました。 その結果、産業は人

          【I T時代の現代哲学】スティグレール(2)

          【ビジネスのための現代哲学】マルクス・ガブリエル(2)

          はじめに今回取り上げるのは、マルクス・ガブリエルの著書”WHY THE WORLD DOES NOT EXIST”の第1章です。 彼の哲学の目標は、「世界をありのままにとらえる」ことで、そのために彼が提唱した世界のとらえ方がnew realismでした。 第1章では、new realismを理解するのに必要なコンセプトを学びます。 Object domainとは?new realismにとって、中核となる概念が、object domainです。 1特定のものごとを含ん

          【ビジネスのための現代哲学】マルクス・ガブリエル(2)

          【I T時代の現代哲学】スティグレール(1)

          今回、取り上げるのは、フランスの哲学者、ベルナール・スティグレール(1952ー)です。 彼は、技術、メディアに関する哲学の世界的スターで、IT時代の哲学者として注目されています。 彼の対談を元にした著作「偶有からの哲学」(新評社、2009年初版)を読みながら、技術に関する哲学を学んでいきたいと思います。 テーマは、メディアによる「意識の時間」の搾取、です。 今回は、考察のための準備にあたる、第1章から第3章までを読んでいきます。 人間は技術の動物である人間には、他の

          【I T時代の現代哲学】スティグレール(1)

          【ビジネスのための現代哲学】マルクス・ガブリエル(1)

          2373noteをご覧いただきありがとうございます。 今回、ビジネスに役立つ現代哲学として取り上げるのは、現代哲学のスター、マルクス・ガブリエル氏の著書「WHY THE WORLD DOES NOT EXIST」です。 ガブリエル氏は、ドイツ人で、29歳でボン大学の教授(!)になったという超ド級の天才で、一般向けに書いた上記哲学書は、異例の大ヒットとなりました。 さっそく、その内容をまとめていきたいと思います。 イントロダクション哲学ってなんのためにやるのでしょうか?

          【ビジネスのための現代哲学】マルクス・ガブリエル(1)

          ハイデガー「存在と時間」入門(6)

          はじめに2373noteをご覧いただきありがとうございます。 今回は、第5章「存在と時間はなぜ未完に終わったのか」を読んでいきます。 今までの内容を総括し、「存在とは何か」への回答を引き出していきます。 今回が全6回の最終回となります。 「存在と時間」の全体像まず、「存在と時間」は 体系的な説明として 1 現存在の基本分析、時間性 2 存在一般の時間性 歴史的な説明として 1 カント 2 デカルト 3 アリストテレス を構想していました。 しかし、体

          ハイデガー「存在と時間」入門(6)