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【プロフィール記事】そもそも『フワつく身体』ってどういう作品?

『フワつく身体』とはなんぞや。 


 どうもどうも、すと世界でございます。

初回3回分までは、各イベントのチラシコーナーや、プライベッターなどで掲載してきたイントロ部分を掲載してきました。

(これだけでも結構長い)

 4回目以降は、紙の本を買わなくては読めなかった部分になります。

 『フワつく身体』の現代部分の舞台になった2017年から既に3年が経過しようとしていますので、主人公の深川環巡査長も、今現在40歳になろうとしているところであります。(続き書いてないけど)

 この小説は二人の少女が辿った1997年の運命の謎を、そこから20年後、いい年になった同級生が暴いていくミステリーです。

 制限を受けずに、やりたいように好きなように書きたかったので、持ち込みによる商業出版ではなく、文学フリマなどの同人誌即売会で頒布してきました。

 1990年代後半というのは、この国のターニングポイントであったと思っております。バブルが崩壊し、阪神淡路大震災が起こり、オウム事件が起こり。

 派遣法の改正も1995年でして、日本が新自由主義に舵を本格的に切ることになった経済戦略会議が1998年。竹中平蔵が表舞台に出てきたのもこの頃です。安倍晋三が衆議院議員として初当選を果たしたのが1993年。7年にわたる長期政権を果たしている氏ですが、バブル崩壊後の混迷の体現者でもあるとも言えるでしょう。

 そんな1990年代後半、バブルの崩壊に加え震災とオウム事件によって、戦後の価値観が揺らぎ始めると、「バスに乗り遅れるな!」とばかりに、これからは勝ち組と負け組に分かれる、だの、小さい政府を目指す、だの、日本人の給料は高すぎる(!)だのと言われ、結果的に不安定雇用と長期デフレのトンネルに入っていきます。

『フワつく身体』は二人の援交少女を巡る物語(百合風味)ですが、少女、若者を巡る、身勝手な言説と、その後の社会が何を置いてきたのか、その後就職氷河期とブラック労働を強いられた、もう若くないロスジェネ世代が問いかける、そんなテーマと言って良いのかな。

 今を振り返ること三年前、もうそれは怒濤のように降りてきた物語でございます。ちょうど地元、三浦半島で12年に一度の不動明王霊場開帳と、33年に一度の薬師霊場開帳が重なる132年に一度の年でして、御朱印帳もちながら原付で地元をフラフラしてた時だったんで、これは御仏からの啓示だ!ぐらいの勢いだったんですが(怪しいですよね)

 書いているうちに気が大きくなってきてですね。

……刷りすぎました。

 かなりの厚みになってしまって、やっぱり読めないと思われるのか即売会では大苦戦を強いられたんですが、

 面白いですよ!みなさん!

 厚みにめげず読んでくれたみなさんには、結構コアなファンがついていただけまして、舞台となった渋谷を巡るオフをしたりもしました。

 みなさん、刺さる、とおっしゃって頂いております。

 作者が自画自賛しているだけではございませぬ!

 noteにもレビューを書いて下さっている方がいます。

春鮫さん:平成が終わった、人生は続く

 大変に褒めて下さってありがたい限りです。

それから、noteではありませんが、いつも応援してくださる、燐果さんのレビュー。(ちょっとネタバレ込みなので注意)

 存命なら栗本薫がやっていたような仕事というのは、大変おそれおおい。

 それから、読書メーターのページも。

フワつく身体

 三谷さんのレビューありがたい。

 テキレボのページ、庭鳥さんのレビューもあります。お世話様でございます。

 そんなこんなで、昨年即売会では、こんなに厚いと読んでる時間ないかも、という声もあり、そんな時は「有給取ってでも読む価値がある!」と豪語してきたんですが、もう日本中が有給みたいな状態の昨今、

 これは読むしかないじゃんね!!!!!

 とオススメしておきます。でも、もう舞台の2017年がちょっと遠くなってしまった感じがあるし、このコロナ禍で世の中が違うフェーズに入っていくので、ここが最後の読み時なのかもしれないな、と個人的には思っています。

目次:

 基本毎日連載の予定ですが、出来なかったらごめんなさい。

(2024年1月改訂:全話無料になりました)


1 カナはアタシの全て……。1997年渋谷。むず痒いほど懐かしい時代を背景にした百合から全ては始まる。或いは『フワつく身体』第一回。

2 20年後に現れた一つの社会学者の轢死体。警察官になった同級生の前に、謎の片鱗が姿を見せ始める。或いは『フワつく身体』第二回。

3 病身の美頼から告げられる言葉「カナは生きている」……そして、徐々に浮上する二十年前との繋がり。或いは『フワつく身体』第三回

4 貸し剥がし、倒産……平成不況で追い詰められた大人たちの上を、カナとミヨリ、二人の天女は浮遊する。或いは『フワつく身体』第四回。

5 環が捕まえた痴漢と、もう会えないという美頼……20年後から浮かぶあの頃の少女たち。或いは『フワつく身体』第五回。

6 環は加奈の母親の元へ。晩夏の木陰に浮かび上がる少女の残像。或いは『フワつく身体』第六回。

7 轢死した社会学者の目撃情報につきまとう都市伝説のような話。そして、組織の理不尽。或いは、『フワつく身体』第七回。

8 カナとミヨリ、どっちがどっちでも構わない取り替え可能な存在になればいい、とあの時、加奈は言った。或いは、『フワつく身体』第八回

9 日蝕をキーワードに浮かび上がる九つの死体。事態は新たな様相を見せ始める。或いは『フワつく身体』第九回。

10 二人の少女を結びつける、インペリアルトパーズの指輪……一方の二十年後、匿名掲示板の書き込みの中から見つかる「タチバナカナ」の名前。或いは『フワつく身体』第十回。

11 カナは自分だけを見ていると思っていたのに……奔放な加奈に振り回される美頼。二十年後の環は捜査一課に出向く。或いは、『フワつく身体』第十一回

12 あの頃、加奈や美頼は堕落の象徴であった……二人は混迷の時代の中、大きな物語に縋ろうとする人々と邂逅する。或いは『フワつく身体』第十二回。

13 雨の武蔵小杉から戻ると、環に襲いかかったのは危険ドラッグでトリップした男。そこから、ヒネの正体が浮かび上がり始める。或いは『フワつく身体』第十三回。

14 あの時、巻紙は街を浮遊する少女たちは傷つかないと言った。二十年後、闇の女神が見えて来る。そして知らされる美頼の死、或いは『フワつく身体』第十四回。

15 環は美頼の遺骨に会いに行く。そして、友人の秋と、あの頃について語り合う。見えていたことと見えていなかったこと。或いは『フワつく身体』第十五回。

16 加奈の中に溜まっている見えない傷。二十年後に振り返れば、傷ついていない、〈たましい〉などなかったことが分かる。或いは『フワつく身体』第十六回。

17 加奈の影に取り憑かれるように、環は真相を追いかけ、田園調布へ。そこで見つけるトパーズの符号。或いは、『フワつく身体』第十七回。

18 環は加奈たちの援助交際の噂の出所だった恵の元へ。別のグループから見たあの頃と二人。或いは、『フワつく身体』第十八回。

19  別の踏切事故の遺族の元へ。そこでまたもや浮かび上がる「トパーズ」というキーワード。或いは、『フワつく身体』第十九回。

20 梢子からの返信。話すのに心の整理が必要なこととは何か?そして、江崎の不可解な行動。或いは『フワつく身体』第二十回。

21 二人はミツルと名乗る男の誘いに乗り、デートクラブに所属することになる。或いは『フワつく身体』第二十一回。

22 なぜ女子高生を買うのか?それぞれの理由の中に見える様々な偏見や歪み。或いは『フワつく身体』第二十二回。

23 あの頃はまだ浸透していなかったハロウィンの日。もう一つの事件が起きる。或いは『フワつく身体』第二十三回。

24 もう一つの事件の容疑者として取り調べを受ける環。だが、アリバイが確定して釈放される。犯人はなぜそこにいたのか。或いは『フワつく身体』第二十四回。

25 捜査会議。新たなる事件のあらまし。そして、環が今まで追いかけてきたことがつながり始める。或いは『フワつく身体』第二十五回。

26 環は捜査本部と共に、真相を追う。世相はまた、あの頃の匂いを漂わせていた。或いは、『フワつく身体』第二十六回。

27 美頼に対する大人たちの答えはいつも、曖昧で矛盾に充ちている。そして加奈の中の闇が少しずつ露呈してくる。或いは、『フワつく身体』第二十七回。

28 花屋の防犯カメラに映った女。そして、踏切事故の現場にも映り込んだ女。或いは『フワつく身体』第二十八回。

29 ハロウィンの夜に起こったもう一つの事件。その姿を追うと、被害者の「罰」という言葉が明らかになる。或いは、『フワつく身体』第二十九回。

30 あの時、加奈は美頼の知らない遠くへ行ってしまった。加奈の中にあるものを美頼はまだ知らない。或いは『フワつく身体』第三十回。

31 防犯カメラに映っていた女は、黙秘しつづける。なぜ、彼女は環の行動を掴んでいたのか。或いは『フワつく身体』第三十一回。

32 二十年越しに環によって暴かれる加奈の秘密。そして、犯人は言う。「加奈は生きている」と。或いは『フワつく身体』第三十二回。

33 蝕まれ、転落していく加奈。だが、美頼はそれを止める術が見つからない。あの頃の誰もが加奈に届く言葉を持っていなかった。或いは『フワつく身体』第三十三回。

34 工事中の現場から首つりの仕掛けが見つかったという。だが、環はもう事件に関わらないと決めていた。或いは、フワつく身体第三十四回。

35 環は警察官としての日常に戻る。だが、事件がそれを許さない。或いは『フワつく身体』第三十五回。

36 深夜の渋谷駅、環は犯人と対峙する。すべてのからくりを披露する。だが、まだこの話には加奈がいない。或いは『フワつく身体』第三十六回。

37 そして、明らかにされるあの時、何があったのか。だが、美頼が遺した言葉の意味、その謎は残ったままだった。或いは『フワつく身体』第三十七回。

38 「こういうことだったんだな、この国で偉くなるってのは」とその人は言った。そして明らかになる加奈の行方。或いは『フワつく身体』第三十八回

39 悲劇の後の美頼の行方。そして、犯人が明かす「フワつく身体」とは。或いは、『フワつく身体』第三十九回。

40 事件の全貌、そして我々が生きた時代の歪みが暴かれた後、彼女たちの思いは渋谷の風に消えていく。あるいは、『フワつく身体』第四十回(最終回)

注意書き:

※この本は十五歳以下の方の閲覧をご遠慮頂いています。

※性的、グロテスクな表現を含みます。

※この話はフィクションであり、現実の人物、団体、施設などとは一切関係がありません。

※警視庁の鉄道警察隊に渋谷分駐所は存在しません。渋谷駅、及び周辺でトラブルにあった場合は、各路線の駅員、ハチ公前の駅前交番、渋谷警察署などにご連絡ください。

※現在では、一九九九年に成立した児童買春・児童ポルノ禁止法において、
性的好奇心を満たす目的で、一八歳以下の児童と、性交若くは、性交類似行為を行った場合、
五年以下の懲役若くは五百万円以下の罰金、又はその両方を併科されます。
本作品は、こういった違法行為を推奨、若しくは擁護するものでは決してありません。


 待ちきれないという方には、まだ在庫がございます、書籍版もあります。暇を持て余した作者によってAmazon並みの迅速対応が可能でございます。

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 それでは、宜しければ皆様、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。


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