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VF以外のシューズについて

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#陸上競技

「高性能シューズを遅いランナーが履くな!」という人がいるらしいという話

「高性能シューズを遅いランナーが履くな!」という人がいるらしいという話

ある日の小雨が降る後楽園。ステップ東京本店でAdizero Adios Pro Evo 1の抽選販売が行われた日に、私は開店前の列に並んでいる人を見渡した。

購入順を決める整理券の抽選で、見事に1番の番号をひいた人は、私の1.5〜2倍ぐらいの体重がありそうな、一見ランナーではない超肥満体型の日本人女性で、その人は希望サイズを聞かれてこう答えた。

「29.0cmで」

最近、Xで「高性能シューズ

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【2024年3月28日更新】世界陸連の承認済プロトシューズの一覧(写真付き)

【2024年3月28日更新】世界陸連の承認済プロトシューズの一覧(写真付き)

世界陸連に承認されたシューズの中でも、市販されていないプロトシューズを紹介する。これらは世界陸連のホームページ内に掲載されており公表されている。なお、アルファフライエリートなど、最近になって世界陸連に承認されたシューズは写真が掲載されていない。

また、メーカーがプロト開発をしていても、世界陸連に申請していないシューズもある。レースでの使用ではなく、あくまでトレーニングでの使用や駅伝などの非公認レ

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アディダス「Adizero Adios Pro Evo 1」のレビュー【アディゼロアディオスプロエヴォ1】

アディダス「Adizero Adios Pro Evo 1」のレビュー【アディゼロアディオスプロエヴォ1】

2023年9月のベルリンマラソンで2:11:53の女子マラソン世界新記録を樹立したティギスト・アセファは、Adizero Adios Pro Evo 1を履いていた。その後にオンラインで521足限定発売があり、第100回箱根駅伝では2区と3区で区間賞を獲得した選手がこのシューズを着用していたことも話題になった。

東京マラソン2024で優勝したベンソン・キプルトもこのシューズを履いて、日本国内レー

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アシックスのメタスピードスカイ+ / エッジ+ / LD(ピン無しスパイク) / LD LE(ピン有りメタスピードLD)のレビュー

アシックスのメタスピードスカイ+ / エッジ+ / LD(ピン無しスパイク) / LD LE(ピン有りメタスピードLD)のレビュー

今回は以下の4足のレビュー。

・メタスピードスカイ+ / Metaspeed Sky+
・メタスピードエッジ+ / Metaspeed Sky+
・メタスピードLD / Metaspeed LD
・メタスピードLD LE / Metaspeed LD LE

メタスピードLD(ピンなし)とメタスピードLD LE(ピンあり)はヘキサクロウの部分(カーボンの部分)の質感が違う↓ あくまで見た目が少し

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ストリークフライに関する考察

ストリークフライに関する考察

ドラゴンフライとスパイクフラット(ストリークLT4+マトゥンボプレートのスパイク)のような関係性がVFネクスト%とストリークフライとの関係性のように思う。様々な練習を組み合わせるように、シューズも路面やメニューによって選択肢が多くあったほうが良いと私は考えるからだ。

この2足はどちらも26.5cm。ストリークフライのほうがゆったりしている。ストリークLT4はタイトでストリークフライは余裕のあるつ

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ナイキ「ズームXストリークフライ」のレビュー

ナイキ「ズームXストリークフライ」のレビュー

2月24日9時からナイキのアプリ限定でズームXストリークフライ(以下、SF)の抽選発売が行われた。

やはり、大半の人が購入できず、右側の画面になってしまったようだ。

今回の記事ではSFのスペックや、私が今月に3000mTTとテンポ走でSFを履いてみた感想と、他のシューズ(タクミセン8、ストリーク6、VFネクスト%、VF4%、ペガサスターボ)との比較などについて以下に記載していく。

また、日本

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各社の2022年中長距離プロトスパイク+α

各社の2022年中長距離プロトスパイク+α

(トップ写真:インスタグラム / Kevin Lópezより引用)

2022年1月28日に更新された世界陸連の承認シューズリストに新たに多くのプロトスパイクが掲載されていたので以下にまとめる。

これらのスパイクの多くがこの冬の欧米での室内大会に合わせて世界陸連に承認されている。つまり、各社にとって2022年のユージン世界選手権(アメリカでの初の陸上の世界選手権開催)に向けて室内シーズンで製品を

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「ヴェイパーに自分の走り方をフィットさせていくか」 or 「ヴェイパーよりも自分の走り方にフィットするシューズがあるかどうか」

「ヴェイパーに自分の走り方をフィットさせていくか」 or 「ヴェイパーよりも自分の走り方にフィットするシューズがあるかどうか」

2017年にヴェイパーフライ4%が発売されて以降、駅伝やロードレースにおいて競技力の高い選手が着用するものが薄底シューズから厚底カーボンシューズに段々と変化していった。

そのフェーズにおいて、これまでの薄底シューズの「履きこなし」は次第に厚底カーボンシューズのバウンスに「乗っていく」という走り方に変わっていった。

ここで「(厚底カーボン)シューズに自分の走り方をフィットさせていく」というスタイ

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中厚底、厚底カーボンシューズの2021-22年にかけてのカットアウトの変化と傾向

中厚底、厚底カーボンシューズの2021-22年にかけてのカットアウトの変化と傾向

2021年の春にアシックスがメタスピードスカイを発売したことによって、さらに開発競争が激化している各ブランドの厚底カーボンシューズ(またはカーボンロッド、グラスロッドを挿入したシューズ)

各ブランドでミッドソール素材やアッパー、カーボンプレートの剛性などが微妙に違う。今回の記事では軽量化を目的としたミッドソールのカットアウト(くりぬき)が各ブランドのシューズによってどのような違いがあるのかをみて

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2021年末の各メーカーの厚底カーボンプロトシューズやそれらの開発状況

2021年末の各メーカーの厚底カーボンプロトシューズやそれらの開発状況

2017年から2020年にかけてWMM(ワールドマラソンメジャーズ)の表彰台を独占していたのはナイキのシューズを履いた選手たちだった。

2021年は延期になった東京マラソンを除いてWMMの5レースが終了したが、以下のようにアディダスやアシックス、オンのシューズを履いた選手も表彰台に上がっていることがわかる。

ベルリンの女子3位(2:23:05)のヘレン・ベケレ・トラはオンのクラウドブームエコー

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アシックス / メタスピードスカイのレビューです。

アシックス / メタスピードスカイのレビューです。

4月からこのシューズを履いてインターバル、3000mTT(8:52...!!)テンポラン、ロングラン、あと雨での走行テストと一通り履いてみたのでそろそろレビュー...!

どんなシューズでも、最初の2,3回履いただけではそのシューズの良さを総合的に掴むのは難しいかな、といつも思っている。最近は他の厚底シューズとの比較をすることによって、その良さがクッキリ明確になる、という感じ。

このシューズはそ

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アディダスの2021年・ガチの新作ランニングシューズ。

2021年5月25日、アディダスオーストラリアの公式ホームページに2021年の新作シューズのラインナップが掲載された。

世界陸連の承認済シューズリストの最新版(5月21日)にもアディオスプロ2/タクミセン7等が掲載されていたので、それらはそろそろ発売が近そう。

そういえば、アシックスのメタスピードスカイの発売前(公式発表の3/30の前)にもアシックスユーロのサイトに先に公式情報が掲載されていた

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中国版ヴェイパーの「ポテンシャル」を探る②:中国スポーツブランド各社の基本概要

中国版ヴェイパーの「ポテンシャル」を探る②:中国スポーツブランド各社の基本概要

前回の中国版ヴェイパーの「ポテンシャル」を探る①で、2020年の各メーカーのレーシング新作のおさらい、中国メーカーの技術力、そして李寧と特歩の2つの中国ブランドの基本情報について書いた。

第2章は↑の記事から1年後となってしまったが、この1年間で中国の各スポーツメーカーがこぞって厚底カーボンシューズの新作を発売しているので、基本情報として各メーカーの基本概要について触れていきたい。

中国では2

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【2024年3月28日更新】世界陸連の承認済シューズリスト最新版とプロトシューズについて

【2024年3月28日更新】世界陸連の承認済シューズリスト最新版とプロトシューズについて

2021年は東京五輪、2022年にはアメリカで初の屋外の世界選手権が開催され、2024年パリ五輪を見据えて現在も各メーカーの厚底カーボンシューズや中厚底スパイクの新作の開発競争が盛んになっている。

そこで、気になるのがトップレベルの選手が出場するレースで時折みられる、プロトシューズ / スパイクの存在である。

この記事では世界陸連が承認した(つまり登録されている)プロトシューズをピックアップし

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