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世界のランニングあれこれ

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私が自分の目で見てきた世界の陸上・ランニングについて書きます。
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#東京五輪

五輪連覇を達成し今後はWMM全制覇を目指すエリウド・キプチョゲの最新ワークアウト

五輪連覇を達成し今後はWMM全制覇を目指すエリウド・キプチョゲの最新ワークアウト

★サムネイルの写真は2018年のベルリンマラソンでキプチョゲがマラソンの世界新を出したレースで私が撮影した1枚(後ろの集団にW.キプサング)

今回はいかにも目を惹きそうなキャッチーなタイトルがをつけてみたが、それでもマラソンで五輪連覇を達成し、今度はWMM全制覇を掲げているキプチョゲのトレーニング内容は多くのランナーの気になるところだろう。

アイルランドのフリーのスポーツジャーナリストであるC

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東京五輪陸上4日目:男子3000mSC決勝 / 三浦龍司🇯🇵はメダル獲得なるか? / 女子5000m決勝 / 廣中璃梨佳🇯🇵は日本人初の14分40秒台に突入するか?

東京五輪陸上4日目:男子3000mSC決勝 / 三浦龍司🇯🇵はメダル獲得なるか? / 女子5000m決勝 / 廣中璃梨佳🇯🇵は日本人初の14分40秒台に突入するか?

東京五輪も中盤に差し掛かり、陸上競技4日目は日本人選手が出場する決勝種目が男子3000mSCと女子5000mの2つある。

午前中には男子走幅跳で橋岡優輝が6位に入賞したが、本人はメダル獲得を目指していただけに悔しさも感じたことだろう。

しかし、今夜の決勝では特に、3000mSCの三浦龍司にメダル獲得の期待がかかっている。予選では1組2着とアフリカ勢相手に互角に勝負し、日本人初の8分1けたとなっ

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東京五輪陸上競技1日目(7月30日)の振り返り(男子3000mSC予選 / 女子5000m予選 / 10000m決勝)

東京五輪陸上競技1日目(7月30日)の振り返り(男子3000mSC予選 / 女子5000m予選 / 10000m決勝)

東京五輪の陸上競技が開幕し、日本勢では初日から男子3000mSCの三浦龍司が予選1組2着の日本新(8:09.92)で49年ぶりの予選突破という素晴らしい結果となった。

その他、中長距離種目では女子5000mで1組9着の廣中璃梨佳が自己新(14:55.87)で決勝進出。

陸上競技で最初の決勝種目の男子10000mではエチオピアのバレガが最後の1周を53.9でカバーしてシニアの世界大会で初優勝(2

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東京五輪陸上1日目:女子5000m予選 / 萩谷楓 / 廣中璃梨佳 / 田中希実🇯🇵は予選通過なるか。

東京五輪陸上1日目:女子5000m予選 / 萩谷楓 / 廣中璃梨佳 / 田中希実🇯🇵は予選通過なるか。

女子5000mは1996年アトランタ五輪で志水見千子が当時の日本新の15:09.05で4位入賞を果たした種目である。

この4位という順位は、五輪トラック種目における日本人女子の1928年以降の最高順位だった = ロードやフィールド競技を除いて、1928年のアムステルダム五輪女子800m銀メダリストの人見絹枝以来、五輪のトラック種目での日本人のメダル獲得者はいない。

快挙ともいえるアトランタ五輪

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東京五輪陸上1日目:男子3000mSC予選 / 三浦龍司 / 青木涼真 / 山口浩勢🇯🇵は予選通過なるか。

東京五輪陸上1日目:男子3000mSC予選 / 三浦龍司 / 青木涼真 / 山口浩勢🇯🇵は予選通過なるか。

男子3000mSCはリオ五輪に塩尻和也が出場して以来、潰滝、山口、阪口、三浦、そして青木という選手らが日本トップレベルの底上げに貢献。

今年は8人(↑の6人+小原、楠)が8:30を切り、トラックの男子中長距離種目では唯一3人の日本代表選手が今回の五輪に出場する種目である。

【この記事の要点】
・アンケート投票者の90%が日本人選手のうち少なくとも1人は予選通過できると考えている
・1972年ミ

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ケニアとエチオピアのトップ中長距離選手のジムでのフィットネスエクササイズ

ケニアとエチオピアのトップ中長距離選手のジムでのフィットネスエクササイズ

(写真 ATHLE.ch ©︎2021 Guillaume Laurent)

私がこの1年間でケニアやエチオピアのトップクラスの中長距離選手が行っている練習で印象深かったのが、ジム内での練習である。

とはいっても、どちらの国もジムという施設は一部の場所にしかなく、全ての選手ができるような練習ではない。

そういった意味で、東アフリカにはフィジカルトレーニングはあまり普及していないのかもしれない

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ケネニサ・ベケレの五輪出場に黄色信号。5月3日にスイスのジュネーブで開催予定のエチオピア版MGC🇪🇹について。

ケネニサ・ベケレの五輪出場に黄色信号。5月3日にスイスのジュネーブで開催予定のエチオピア版MGC🇪🇹について。

3月上旬に🇪🇹版MGCの開催が4月のエチオピアの高地での開催に決まったというエチオピア陸連の決定のニュースがあった。

しかし、選手やコーチのエチオピア陸連への要望から🇪🇹版MGCが5月3日に平地のスイスのジュネーブで開催されることとなるという。そして、そのレースの男女の上位3名がそのまま東京五輪代表になる流れだ(情報源)。

5月3日に42.195kmが行われるとなれば、8月の東京五輪マ

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競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その③:メイソン・ファーリック🇺🇸 / ニック・ウィリス🇳🇿

競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その③:メイソン・ファーリック🇺🇸 / ニック・ウィリス🇳🇿

(写真:Instagram Mason Ferlic ©︎Johnny Zhang)

一昨日から始まったこのテーマの記事をシリーズとして毎日書いていく。

3回目は先日5000mで13:25.92の記録を出したメイソン・ファーリック(アメリカ)と彼のトレーニングパートナーのニック・ウィリス(ニュージーランド)について。

ファーリックは2月27日の5000mで13:25.92のPBを出した直後の

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競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その②:ポール・ポロック🇮🇪(ナイキ)

競技選手はスーパーシューズについて"正直に話したほうがいい"その②:ポール・ポロック🇮🇪(ナイキ)

(写真:Instagram Paul Pollock)

昨日から始まったこのテーマの記事をシリーズとして毎日書いていく。

2回目はNNランニングチーム所属のポール・ポロック(アイルランド)について。

2019年に不調に陥ったはずが...マラソンでまさかの大幅自己新2016年リオ五輪男子マラソン32位の実績を持つポロックは、現在34歳の五輪選手で、職業は救急医。父親としての顔もあり、マラソン練

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大迫傑が4月11日のトスカーナマラソンに出場。4月11日はキプチョゲ出場予定のNNミッションマラソンなど欧州のマラソンから目が離せない!

大迫傑が4月11日のトスカーナマラソンに出場。4月11日はキプチョゲ出場予定のNNミッションマラソンなど欧州のマラソンから目が離せない!

(トップ写真:2020年東京マラソン ©︎2020 Sushiman Photography)

東京五輪男子マラソン日本代表の大迫傑が、2021年4月11日にイタリアのトスカーナで開催されるトスカーナマラソンに出場することがトスカーナキャンプの公式SNSで発表された。

これは、大迫のWA公認代理人(AR)がイタリアの※Federico ROSA(ROSA ASSOCIATI)であることに由来し

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【12/5】10000mでペーサーを務めたアマチュアランナーのサム・アトキン 🇬🇧が英国歴代4位の27:26.58で五輪標準突破。

【12/5】10000mでペーサーを務めたアマチュアランナーのサム・アトキン 🇬🇧が英国歴代4位の27:26.58で五輪標準突破。

(トップ写真📷:Chuck Utash)

今年は男子10000mで世界記録が更新され、この種目では男女の日本記録も更新された。

なかでも、日本選手権男子10000mのレースは2組合わせて27分台が18人、自己新が25人と凄まじい結果だった。

10000mでの好記録はその2日後に行われたアメリカの大会でも続いた。

先週はバレンシアハーフでの57分台での世界新4連発、バレンシアマラソン、福岡

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東京五輪と日本の実業団入りを目指す女子マラソンモンゴル記録保持者のムンフザヤ・バヤルツォグト選手について

東京五輪と日本の実業団入りを目指す女子マラソンモンゴル記録保持者のムンフザヤ・バヤルツォグト選手について

女子マラソンモンゴル記録保持者で、リオ五輪女子マラソンモンゴル代表のムンフザヤ・バヤルツォグト選手の走りを間近でしっかり見たのは、2019年のゴールドコーストマラソンの時。

31km地点で単独走をしていたムンフザヤ選手に向けて、思わずシャッターを切っていた。それから、1年3ヶ月後。

NHK WORLD - JAPANのAsia Insightというプログラム(番組)に“Dreaming of

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バウワーマントラッククラブ(BTC)から学ぶ期分けとチーム内T.Tの活用法②

バウワーマントラッククラブ(BTC)から学ぶ期分けとチーム内T.Tの活用法②

前回の記事は以下。

BTCの期分け:基礎構築 → 高地合宿 → 調整 → 試合はじめにことわっておくが、彼らは秘密主義なので練習メニューが公開されることはほとんどなく、またコーチもメディアを敬遠しているのでほとんど情報がない。

ただ、彼らがSNSで発信している内容や、出ているレースをじっくりと追っていくと、ピリオダイゼーション(期分け)で大事にしているポイントとして以下が挙がる。

① 基礎構

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バウワーマントラッククラブ(BTC)から学ぶ期分けとチーム内T.Tの活用法①

バウワーマントラッククラブ(BTC)から学ぶ期分けとチーム内T.Tの活用法①

2020年6月30日の夕方に、オレゴン州ポートランドのイエズス高校の公認トラックで“Nike Bowerman Track Club Meet”が開催され、男女の5000m、女子1500mで今季(2020年)の世界最高記録が出た。

この公認競技会は、事前に米国陸連の公認申請を取得したもので、BTCの選手のみで行われた“T.Tスタイル”の公認レースである。

ちなみに、6月10日にオーストラリアの

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