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東京五輪陸上1日目:男子3000mSC予選 / 三浦龍司 / 青木涼真 / 山口浩勢🇯🇵は予選通過なるか。

男子3000mSCはリオ五輪に塩尻和也が出場して以来、潰滝、山口、阪口、三浦、そして青木という選手らが日本トップレベルの底上げに貢献。

今年は8人(↑の6人+小原、楠)が8:30を切り、トラックの男子中長距離種目では唯一3人の日本代表選手が今回の五輪に出場する種目である。

【この記事の要点】
・アンケート投票者の90%が日本人選手のうち少なくとも1人は予選通過できると考えている
・1972年ミュンヘン五輪以降の五輪で決勝進出した日本人選手はいない
・日本記録保持者の三浦が出場する予選1組が、最も予選通過が難関の組


【男子3000mSC予選:7月30日午前】
・1組(9時30分スタート)三浦龍司 / スタートリスト 
・2組(9時47分スタート)青木涼真 / スタートリスト
・3組(10時04分スタート)山口浩勢 / スタートリスト

※1組は当初の9時00分スタートから9時30分スタートに変更
テレビ:フジテレビ系列で生放送

シドニー五輪以降の日本人選手の五輪成績

91%の投票者が“少なくとも1人の日本人選手が予選通過できる”と考えている。

しかし、1972年ミュンヘン五輪以降、日本人選手の予選通過はゼロ。

前日本記録保持者で2003年パリ世界選手権で11位に入った岩水嘉孝でさえアテネ、北京五輪で予選通過ができなかった。日本人選手にとって五輪での予選通過の壁は高いといえるが、東京五輪ではどうなるだろうか。

【五輪直近4大会の日本人選手の成績】

シドニー五輪:日本人選手の出場者無し

アテネ五輪:岩水嘉孝 3組6着(8:29.07)予選落ち

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北京五輪:岩水嘉孝 1組10着(8:29.80)予選落ち

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ロンドン五輪:日本人選手の出場者無し

リオ五輪:塩尻和也 1組11着(8:40.98)予選落ち

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いずれの大会でも予選通過ラインの記録は8分20秒台前半であるが、ペース変化があり、位置取りも一層激しくなる。

日本人選手は3人とも8分21秒よりも速い自己記録を持っているが、いずれの選手も3000mSCでは初のシニアの世界大会となる。

三浦:2019年U18アジア大会の2000mSCで優勝
青木:大学3,4年時にベルギー遠征(大学4年時のPB8:32.51をマーク)
山口:2010年世界ジュニア12位、2017年アジア選手権5位
2018年アジア大会9位、2019年アジア選手権5位

選手権での経験値は山口が1番多いが、日本記録を2回更新したという点で勢いが1番あるのは三浦だろう。


予選1組:最も自動予選通過(3着以内)が難しい組

予選は3組行われ各組の上位3名が自動予選通過。また3組×上位3名(9名)以外で予選での記録の良い選手6名が決勝に進出する(3組3+6)

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1組はサッカーW杯での言葉を使うとしたら“死の組”。

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三浦よりも良い自己記録を持っているのが7人。そのうちドーハ世界選手権決勝進出者が4名(ギルマ、ベドラニ、キゲン、カルロ)

予選通過濃厚なのが
・L.ギルマ🇪🇹(エチオピア / 世界ランク1位 / ドーハ世界選手権銀メダル)
今年の2月に室内3000mで7:27.98をマーク。走力が高い
・B.キゲン🇰🇪(ケニア / ドーハ世界選手権6位 / DL優勝3回)
2018、2019年に8分1けたを9回記録。ケニア選考会は3位
・G.ベドラニ🇫🇷(フランス / ドーハ世界選手権5位 / PB 8:05.23)
ドーハ世界選手権でブレイク。今年も8:11.17をマーク

3組3+6ということを考えると、もし1組がスローペースになってしまったら三浦はこの3人のうち1人に割って入りたいところ。

この他にも三浦よりも良い自己記録を持っている選手が4人いるが、同じように3着以内に入りたいと考えているだろう。この組で三浦が3着以内に入ることができれば決勝でも十分期待できるといえる。

今後の日本のトラック中長距離種目での未来を占うための注目の一戦。ここで三浦が健闘すれば後の2組の日本人選手の後押しとなるだろう。

【結果】

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序盤から先頭集団の前方につけて先頭を脅かす走りをした三浦が日本新の8:09.92。日本人としては49年ぶりに五輪で予選通過を果たした。

ギルマの8:09.83は五輪、世界選手権含めて歴代最速の予選通過記録。


予選2組:トップ2以外は拮抗している

予選2組は3組あるうちでは1番拮抗している組であり、予選通過が濃厚なトップ2の2人を除いて誰が予選通過できるかわからない。

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トップ2は5000mでエチオピア選考会を制した金メダル候補のG.ワレ🇪🇹(エチオピア)と今季8:07.81をマークしているケニア選考会2位のA.キビウォト🇰🇪(ケニア)の2人。キビウォトのケニア選考会2位の最後は流していたので実質優勝していた走りだった。

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この2人以外の選手は本当に横一線、という感じの2組。

今の調子の良さや選手権での経験値などが重要になってくる。1組がスローペースになればこの組のペースは流れることも考えられるため、3着を逃してもプラスで拾われる可能性もある。

日本の青木は終盤の勝負所まで集団に付けたいところ。

【結果】

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レースの終盤に惜しくも先頭集団から脱落した青木は8:24.82の組9着で予選落ち。


予選3組:前の2組の記録を見ながらペースが流れるか

3組も1組に引けを取らないような強力なメンバーが集まっている。

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・S.エルバカリ🇲🇦(モロッコ)出場者で唯一のPB7分台。金メダル候補
・B.タケレ🇪🇹(エチオピア)18歳ながら8:09.37の記録を持つ
・H.ボア🇺🇸(アメリカ)今年DL1勝でリオ五輪7位
・L.ベット🇰🇪(ケニア)ケニア選考会優勝と勝負強い

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3組は前の2組の結果を見たうえでレースが始まるのでペースが流れることが予想される。そういった意味ではメンバーは強力であるが、仮に日本の山口が3着に入れなかったとしてもプラスで決勝に駒を進める可能性は十分にありそうだ。

日本選手権や日本のレースと違って、集団の位置取りが難しくなるのと、急なペースアップが中盤にもあるかもしれないので、山口にとってそういったタフな展開を走りながら8:20というタイムを切れるかどうかが1つのポイントとなるだろう。

【結果】

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レースの中盤から先頭集団から脱落した山口は8:31.27の組12着で予選落ち。

49年ぶりに三浦がこの種目の新しい扉を開けた。決勝でメダルを獲得できるのかに注目が集まる。


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