図書館で借りる本をルーレットで決める ①『地下鉄の文化史』
ルール
1冊目 S516.72
図書館にはいってたところで早速、ルーレットをまわしていく。
ひとつ目の数字は「5」。技術のコーナーへ移動。
それから「1」,「6」。まだ複数あるようなのでもう一回まわす。「7」。
まだまだある。これは予想外だった。さらにまわそう。「2」。
まだまだある……がこれ以上はルーレットで決めていくのは難しそう。
それに読めないと意味がないので、「516.72」たちの中から一番簡単そうなものを選んだ。
出会ったのは『地下鉄の文化史』(筑摩書房)。
ロンドン、日本の地下鉄開通の歴史と、人々の生活・文化の交わりを書いたもの。
面白そう。面白そうだけど、ルーレットでもしなきゃ一生触れない本だったかも。地下鉄、全然詳しくないし。
印象的だったのはロンドン地下鉄についての章。
みんな大好きシャーロック・ホームズシリーズ。
そのうち、1908年に発表された「ブルース・パティントン設計図」ではロンドンの地下鉄が登場するらしい。
以下は「ブルース・パティントン設計図」のあらすじ。
路線図からはじまる物語
以下はネタバレ。
遺体発見現場であるオールドゲート駅付近には、ポイントとカーブが多いことに気がつく。
ホームズは、遺体は現場とは別の場所で殺害されたと推測する。
その後、遺体を地下鉄の屋根にのせて走らせたものの、急カーブしたオールドゲート駅付近で落下したと考える。
ホームズは共有された外国人スパイのリストの中から、線路近くに住んでいるオーバーシュタインに目星をつける。
これも何かのご縁。
そこで、実際のロンドン地下鉄路線図と照らしあわせてみた。
舞台は1895年だが、現代の路線図とあわせても物語とリンクしていて感動……。
コナン・ドイルは路線図からこんな物語を生みだしたんだろうか。路線図への見方、というか世界の見方が変わる……。こんなカーブからミステリーを生み出せるのか。
1冊目と出会って
地下鉄と出会い、ロンドン地下鉄と出会い、ホームズと出会った……。
偶然の、とてもとても長い旅だった。(おかげでこのnoteもどう締めくくったらいいかわからない。)
図書館ルーレットの醍醐味は、この長くて予想のできない旅をはじめられることだと思う。「読みたい」からはじまらない読書も、発見が多くて楽しい……。
さらにこの本をきっかけに、別の、全く別のジャンルの本を読みたくなるという連鎖も感じられた。
今回の旅を経て、コナン・ドイルみたいに何か地理的な情報から、イメージを膨らまして物語をつくる、的なことを私もしたくなった。
そこで新しく、赤瀬川原平『路上観察学入門』、角田光代・佐内正史『だれかのことを強く思ってみたかった』を購入することになった。
「読みたい」からはじまらない読書、から「読みたい」がはじまってしまうのも、なんだか楽しい。まだまだ旅はながい。
次回
2冊目 S709.1 ヒラ
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