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運動はワクチンである。身体活動量とCOVID-19罹患後の転帰


📖 文献情報 と 抄録和訳

サブグループ間での身体活動不足とCOVID-19転帰との関連

📕Young, Deborah Rohm, et al. "Associations of physical inactivity and COVID-19 outcomes among subgroups." American Journal of Preventive Medicine 64.4 (2023): 492-502. https://doi.org/10.1016/j.amepre.2022.10.007
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[背景・目的] COVID-19感染前の身体活動は重篤な転帰の軽減と関連している。本研究では、用量反応関連が観察されるかどうか、またその関連が人口統計学的サブグループおよび慢性疾患間で一貫しているかどうかを検討した。

[方法] 2020年1月1日から2021年5月31日の間にCOVID-19陽性と診断されたKaiser Permanente Southern Californiaの成人患者の後方視的コホート研究を作成した。曝露は、診断前に少なくとも3回の身体活動自己報告の中央値とした。患者は以下のように分類された:一貫して不活発(すべての評価が10分/週以下);ほとんど活動的ではない(中央値が0~60分/週);ある程度活動的(中央値が60~150分/週);一貫して活動的(中央値が150分/週)。転帰はCOVID-19診断後90日の入院、悪化イベント、死亡とした。データは2022年に解析された。

[結果] COVID-19感染の成人194,191人のうち、6.3%が入院し、3.1%が悪化イベントを経験し、2.8%が90日以内に死亡した。用量反応効果は強く、例えば、何らかの不活動カテゴリーに属する患者は、常に活動カテゴリーに属する患者よりも入院(OR=1.43;95%CI=1.26, 1.63)、悪化(OR=1.83;95%CI=1.49, 2.25)、死亡(OR=1.92;95%CI=1.48, 2.49)のオッズが高かった

結果は、性、人種、民族、年齢、BMIのカテゴリー、心血管系疾患または高血圧を有する患者において概ね一貫していた。

[結論] COVID-19の有害転帰に対する身体活動の保護的関連は、人口統計学的特徴および臨床的特徴にわたって認められた。公衆衛生の指導者は、パンデミック対策戦略に身体活動を加えるべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

EIM:Exercise is Medicineという言葉がある(🌍 参考サイト >>> site.)。
多くの分野で運動の威力が実証され、「もはや薬レベル」との捉え方がある。
死亡リスク、骨強度、抗がん、若返り、炎症抑制、疼痛軽減、認知機能改善、脳構造の改変・・・

そして、今回の論文を読んで、僕はこう言いたい。
『EIV:Exercise is Vaccine』(運動はワクチンである)と。

✅ワクチンとは?
・ワクチンとは、病原性(毒性)を完全になくしたり弱めたりした病原体の一部などを接種することで、免疫システムが次の病原体の侵入に備えられるようにして、重篤な感染症を予防する薬で。
・ワクチン接種後に病原体が侵入してもこのような免疫システムの備えによって速やかに病原体を攻撃排除することができる。

🌍 参考サイト >>> site.

今回の研究の結果、COVID-19発症前の身体活動は、発症後の重症化を防ぐ可能性が示唆された。
「とりあえず、運動しとけ」はほとんどの転帰に対して間違っていないのでは、と感じる今日この頃である。

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