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米国関節リウマチ学会。運動,リハビリのガイドライン


📖 文献情報 と 抄録和訳

2022 米国リウマチ学会 関節リウマチに対する運動、リハビリテーション、食事療法およびその他の統合的介入に関するガイドライン

📕England, Bryant R., et al. "2022 American College of Rheumatology Guideline for Exercise, Rehabilitation, Diet, and Additional Integrative Interventions for Rheumatoid Arthritis." Arthritis Care & Research (2023). https://doi.org/10.1002/acr.25117
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[背景・目的] 関節リウマチ(rheumatoid arthritis, RA)患者に対する統合的管理アプローチの一環として、疾患修飾性抗リウマチ薬(disease-modifying antirheumatic drugs, DMARDs)と併用した運動、リハビリテーション、食事療法、および追加的介入の使用に関する米国リウマチ学会(American College of Rheumatology, ACR)の初期ガイドラインを作成すること。

[方法] 専門職間のガイドライン作成グループにより、臨床的に適切なPopulation(集団)、Intervention(介入)、Comparator(比較対象)、Outcome(結果)(PICO)の質問を作成した。その後、文献レビューチームが系統的な文献レビューを行い、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)アプローチを適用してエビデンスの確実性を評価した。3名のRA患者を含む専門職間投票パネル(n = 20名)が、推奨の方向性(賛成または反対)と強さ(強いまたは条件付き)についてコンセンサスを得た。

[結果] 投票パネルは、RAの管理におけるDMARDsと併用した統合的介入の使用に関する28の推奨についてコンセンサスを得た。一貫した運動への取り組みは強い推奨となった。27の条件付き推奨のうち、4つが運動、13つがリハビリテーション、3つが食事療法、7つがその他の統合的介入であった。これらの推奨はRA管理に特化したものであり、これらの介入の多くには他の医学的適応や一般的な健康上の利益が存在する可能性があることを認識している。

✅ Editorial❶:理学療法士は関節リウマチの包括的管理において重要な役割を果たす
・運動は理学療法ケアの重要な要素である。本ガイドラインで唯一強く推奨されているのは、一貫した運動への取り組みである
・理学療法士は、RAの管理に安全かつ不可欠な要素として運動が強く推奨されていることに勇気づけられる
・ガイドライン委員会は包括的理学療法を理学療法士による検査および治療と定義した
・一般的に処方される特定の介入(手指療法エクササイズ、スプリント、補助および適応器具、作業部位の評価および修正、温熱療法など)は、研究の異質性が大きく、強い推奨には至らなかった
・例外は、電気治療の使用に対する条件付き推奨であった

📕Thoma, Louise M., et al. Arthritis Care & Research (2023). >>> doi.

✅ Editorial❷:作業療法士は関節リウマチ管理のための専門職間チームベースのアプローチの重要なメンバーである
・作業療法士は、リウマチ患者の生活参加のあらゆる側面をサポートするために協力する
・作業療法士は、日常活動の中で症状管理戦略を取り入れることで、参加を妨げている可能性のあるリウマチの症状に対処する
・作業療法士は、RA患者が充実感を得られる活動や役割に疾患管理戦略を統合できるように支援する
・作業療法士は、RA患者に対して、現在の症状を管理し、病気の進行を遅らせ、望ましい活動に参加するために、非薬理学的行動を用いて積極的な役割を果たす方法を教育する
・RA患者は、専門家(OT)による適切な評価を受け、個々に合った装具/スプリント処方を受けるべきである。
・作業療法士は、RA患者の雇用維持を支援する上で重要な役割を果たす。

📕Baker et al. (2023), Arthritis Care Res, 75: 1618-1624. >>> doi.

[結論] 本ガイドラインは、DMARD治療に付随するRA管理のための統合的介入について、ACRが最初に推奨するものである。これらの推奨に含まれる幅広い介入は、RA管理における専門職間のチームベースのアプローチの重要性を示している。ほとんどの推奨は条件付きであるため、これらの推奨を適用する際には、臨床医がRA患者と意思決定を共有する必要がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

関節リウマチは、とても難しい疾患のように思う。
炎症惹起の閾値が低いため、常に腫れ物に触るような理学療法になりがちだ。
そして、関節リウマチリハの印象として、完治を目指すというより、with RA、その症状とともにどう生きていくか、という部分に重心を置いたリハビリテーションになると感じていた。

今回のガイドラインによって勇気づけられたことは、関節リウマチ患者に対する運動介入が強い推奨となっており、運動介入を積極的に行なっていくことは間違ってはいないということ。
ただし、Guideline Summaryで述べたように、症状と運動強度、頻度、種類などの詳細は、研究の異質性が大きく不明瞭であり、今後の課題である。

そしてもう1点。
作業療法士の重要性だ。
その症状を有した状態で、どのように生活を組み立てていくか、上肢の装具/スプリントをどうするか、といった部分はまさに作業療法士の主戦場だ。
その意味合いにおいて、関節リウマチのリハビリテーションにおいて、作業療法士の重要性はひときわ輝かしいものになるのではないだろうか。
関節リウマチのリハビリテーションの全体像が、少しつかめた気がした。

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