『胸椎+腰椎=18個?』。12胸椎, 5腰椎とは限らない
📖 文献情報 と 抄録和訳
胸腰椎18個の脊椎における腰神経叢根の顕著な尾側移動
[背景・目的] 実験発生学で見られた胸腰椎(thoracolumbar, TL)と腰神経叢根の付随する変化が、異なる椎骨形態を持つヒト、特に18TL椎骨を持つヒトに存在するかどうかは、依然として不明である。そこで我々は、TL椎骨(18TL)を追加した脊椎に生じるヒトの腰神経叢根の変化を調べた。
[方法] 161例のCT検査で発見されたTL異常症例の腰仙神経叢を巨視的に解剖した。TL異常は、単純なTL総数の異常とTLトレードオフ異常、すなわち最終胸椎と第1腰椎の間の交換に区別し、別々に解析した。
[結果] 頚椎と仙椎の異常例を除く4/159例(2.5%)に1個のTL椎体(7C_18TL_5S)が追加観察された。16TLと17TLのトレードオフ症例では神経根のシフトが不明瞭であったが、18TLのトレードオフ症例では頭側限界での尾側シフトが多く、尾側限界での変化は認められなかった。さらに、16TL椎体から18TL椎体への2つの椎体セグメントの変化で再確認された神経セグメントのシフトは1つだけであった。結論哺乳類の典型的なTL式(19TL)に近づくことで、18TL椎体のヒトでは、16TL椎体や17TL椎体のヒトよりも、腰神経叢根と椎体の同時変化が顕著になる可能性があることを明らかにした。
[結論] 本研究により、TL式が腰神経叢根の変化を推定するのに使用できることが示され、神経温存脊椎・骨盤手術の計画に役立つ可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
胸椎は12個(Th1-12)、腰椎は5個(L1-5)。
これは、学生時代からしっかりと記憶された“常識”である。
当然、それに基づいて触診なり、臨床思考をとるなり、する。
だが、今回の研究を読んで、腰を抜かしそうになった。
「えっ、胸椎・腰椎で16個?、18個?」
そう、これまで信じてきた常識は、人によって違う可能性のある、非黄金律だったのだ。
解剖を勉強していると、本当にこういうことの連続だ。
そもそも、解剖学的知識をある固定的な1パターンとして「記憶」することは、妥当なことではないのかもしれない。
ただ、その辺りに〇〇というランドマークがあり、人によって個数が違う、などそのくらいの認識。
あとは、個別に詳細な解剖学的特徴を触診なり、画像解析なりで把握してゆけば良い。
常識を、思い込みを、捨てよう。
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