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食事 vs. 運動。内臓脂肪減少への威力

📖 文献情報 と 抄録和訳

過体重および肥満成人における内臓脂肪率に対する運動およびカロリー制限の用量反応効果:無作為化対照試験の系統的レビューおよびメタ解析

📕Recchia, Francesco, et al. "Dose–response effects of exercise and caloric restriction on visceral adiposity in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials." British Journal of Sports Medicine (2023). http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2022-106304
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※ Connected Papersとは? >>> note.

✅前提知識:カロリスとは?
・カロリーリストリクション(カロリス)とはカロリー制限のことで、近年、長寿とカロリー制限の関係性が注目されている。
・総摂取カロリーを通常の70%程度に落とすことで、老化防止や健康、長寿につながるとされる。
🌍 参考サイト >>> site.

[背景・目的] 過体重および肥満成人における内臓脂肪組織に対する運動およびカロリー制限(カロリス)の用量反応効果を、介入によって誘発される週単位のエネルギー不足をコントロールしながら決定し、比較すること。

[方法] PubMed、Embase、CINAHL、Web of Scienceを検索し、過体重または肥満の成人において、運動またはカロリスをユーカロリック対照と比較した無作為化対照試験を検索した。主要アウトカムはCTまたはMRIで測定した内臓脂肪の変化とした。メタアナリシスおよびメタ回帰を実施し、内臓脂肪に対する運動およびカロリー制限の全体的な効果量(ES)および用量依存関係を決定した。異質性、バイアスのリスク、エビデンスの確実性も評価した。

[結果] 2190人が参加した40のランダム化比較試験が組み入れられた。全体として、運動(ES:-0.28(-0.37~-0.19);p<0.001;I2=25%)およびカロリス(ES:-0.53(-0.71~-0.35);p<0.001;I2=33%)は、対照群と比較して内臓脂肪を減少させた。運動は週1000カロリー不足あたり-0.15(-0.23~-0.07);p<0.001の用量反応効果を示したが、カロリスの効果は用量依存的ではなかった(ES 0.03(-0.12~0.18); p=0.64)。ほとんどの研究は中程度のバイアスリスクを示した。

[結論] これらの所見は、過体重および肥満成人における内臓脂肪を減少させる運動の用量依存的効果を支持するものであった。カロリー制限は用量反応関係を示さなかったが、これは運動研究と比較して解析可能な研究数が少ないことに起因するかもしれない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

入るを量りて出ずるを為す
二宮尊徳

内部が変わることは、入力と出力の関係によって、ある部分成り立っている。
そして、人間にとっては、外部からの入力を変える方が「手軽」である。
たとえば、同じカロリー200kcalを減らすとして、食事制限(カロリス)で減らすほうが、運動によって減らすよりも楽だ。
だが、楽ということは、良い結果をもたらすことが少ない印象もある。

世のことは、等価交換。
労力を注ぎ込むほど、真の価値が得られると信じている。
今回の抄読文献によれば、こと内臓脂肪燃焼については、このことが当てはまりそうだ。
カロリスは容量依存的な効果を示さなかったが、運動は示した。
やればやるほど良いものは、運動らしい。

どうも僕たちは、外から良い風が吹くことを期待し過ぎているように思う。
風吹くことに期待するな。
お前が走れば、そりゃ風が吹く。
お前が、風をつくれ。
それが“生きる”ってこと。
つくった風は、なんとも気持ちがいいものか。
秋の金木犀の香りは、どうも考察を詩的にさせる。

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