筋内脂肪浸潤を見よ!
📖 文献情報 と 抄録和訳
腓腹筋-ヒラメ筋複合体の脂肪浸潤:骨粗鬆症のリハビリテーションに関する考察
[背景・目的] これまでの研究で、腓腹筋-ヒラメ筋複合体の脂肪浸潤が報告されているが、脂肪浸潤の容積分布やパターンについてはほとんど知られていない。この解剖学的研究の目的は、腓腹筋-ヒラメ筋複合体の脂肪浸潤の頻度、分布、およびパターンを記録し、定量化することである。
[方法] 100例のホルマリン包埋標本(平均年齢78.1±12.3歳、48F/52M)を連続的に解剖し、腓腹筋とヒラメ筋の内側頭と外側頭における脂肪浸潤の頻度、分布、パターンを記録した。
[結果] 脂肪浸潤は標本の23%に認められ、片側13例(8F/5M)、両側10例(5M/5F)であった。脂肪浸潤過程は、腓腹筋内側頭とヒラメ筋内側縁から内側に始まり、腓腹筋内側頭、ヒラメ筋辺縁部、前部、後部にかけて外側に進行することが観察された。腓腹筋外側頭はすべての標本で主に筋性のままであった。顕微鏡的には、浸潤のパターンは無傷の骨膜と隔膜を伴う筋肉内浸潤であった。残存する内筋、外筋、上筋は、脂肪置換が著しい場合でも、腓腹筋-ヒラメ筋複合体の全体的な輪郭を保っていた。
[結論] ふくらはぎの外側の輪郭は保たれているため、画像診断を行わないと、脂肪浸潤の存在が過小診断される可能性がある。筋骨膜症は、高齢者における歩行やバランスの障害と関連しており、QOLに影響を及ぼし、転倒のリスクを増大させる。本研究で得られた知見は、サルコペニアと骨粗鬆症を有する高齢患者のリハビリテーション管理に示唆を与えるものである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前の文献抄読で、筋内脂肪浸潤(intramuscular adipose tissue, IMAT)と筋力の関係を調査した研究を扱った。
その結果、IMATが筋力低下を引き起こす直接的な要因であることが示された。
理論的には、IMATを軽減できれば、筋力に直接的に影響を及ぼせることになる。
しかし、筋内脂肪浸潤とはいっても、実際にはどういう状況かイメージしにくかった。
今回の研究は、百聞は一見にしかず、筋内脂肪浸潤を解剖学的手法によって見せてくれた。
実際に見てみると、赤褐色様の骨格筋組織の一部に、白い脂肪組織が浸潤している様子がよくわかった。
顕微鏡でみると、なおさら脂肪の存在が際立って見えた。
やはり、頭の中でイメージすることには限界がある、見れるものは直に見た方が良い。
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