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筋内脂肪浸潤を見よ!

📖 文献情報 と 抄録和訳

腓腹筋-ヒラメ筋複合体の脂肪浸潤:骨粗鬆症のリハビリテーションに関する考察

📕Hatzantonis, Catherine, et al. "Fatty infiltration of gastrocnemius–soleus muscle complex: Considerations for myosteatosis rehabilitation." Journal of Anatomy (2024). https://doi.org/10.1111/joa.14025
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[背景・目的] これまでの研究で、腓腹筋-ヒラメ筋複合体の脂肪浸潤が報告されているが、脂肪浸潤の容積分布やパターンについてはほとんど知られていない。この解剖学的研究の目的は、腓腹筋-ヒラメ筋複合体の脂肪浸潤の頻度、分布、およびパターンを記録し、定量化することである。

[方法] 100例のホルマリン包埋標本(平均年齢78.1±12.3歳、48F/52M)を連続的に解剖し、腓腹筋とヒラメ筋の内側頭と外側頭における脂肪浸潤の頻度、分布、パターンを記録した。

[結果] 脂肪浸潤は標本の23%に認められ、片側13例(8F/5M)、両側10例(5M/5F)であった。脂肪浸潤過程は、腓腹筋内側頭とヒラメ筋内側縁から内側に始まり、腓腹筋内側頭、ヒラメ筋辺縁部、前部、後部にかけて外側に進行することが観察された。腓腹筋外側頭はすべての標本で主に筋性のままであった。顕微鏡的には、浸潤のパターンは無傷の骨膜と隔膜を伴う筋肉内浸潤であった。残存する内筋、外筋、上筋は、脂肪置換が著しい場合でも、腓腹筋-ヒラメ筋複合体の全体的な輪郭を保っていた。

図は右および左の腓腹筋-ヒラメ筋複合体の後面(a)、および内側面(b)の写真である。
図は腓腹筋の内側頭(MG)の脂肪置換を示している。
図3は内側腓腹筋(MG)と外側腓腹筋(LG)の横断組織像を示している。この図には、筋束(F)を構成する多くの筋線維が脂肪に置き換わっている様子が見られる。LGでは、暗染する筋線維が残存しているが、萎縮し空胞化し脂肪変性を示している。筋周膜(P)は無傷であり、筋束を囲んでいることが確認できる。

[結論] ふくらはぎの外側の輪郭は保たれているため、画像診断を行わないと、脂肪浸潤の存在が過小診断される可能性がある。筋骨膜症は、高齢者における歩行やバランスの障害と関連しており、QOLに影響を及ぼし、転倒のリスクを増大させる。本研究で得られた知見は、サルコペニアと骨粗鬆症を有する高齢患者のリハビリテーション管理に示唆を与えるものである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前の文献抄読で、筋内脂肪浸潤(intramuscular adipose tissue, IMAT)と筋力の関係を調査した研究を扱った。
その結果、IMATが筋力低下を引き起こす直接的な要因であることが示された。
理論的には、IMATを軽減できれば、筋力に直接的に影響を及ぼせることになる。

しかし、筋内脂肪浸潤とはいっても、実際にはどういう状況かイメージしにくかった。
今回の研究は、百聞は一見にしかず、筋内脂肪浸潤を解剖学的手法によって見せてくれた。
実際に見てみると、赤褐色様の骨格筋組織の一部に、白い脂肪組織が浸潤している様子がよくわかった。
顕微鏡でみると、なおさら脂肪の存在が際立って見えた。
やはり、頭の中でイメージすることには限界がある、見れるものは直に見た方が良い。

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