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脳卒中患者が表明するリハビリテーションの目標


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中リハビリテーションを受ける患者が表明する個別の目標:観察研究

📕Evensen, Janne, et al. "Individualized goals expressed by patients undergoing stroke rehabilitation: an observational study." Journal of Rehabilitation Medicine 56 (2024): jrm15305-jrm15305. https://doi.org/10.2340/jrm.v56.15305
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[背景・目的] 急性期および亜急性期の脳卒中リハビリテーションを受ける患者において、患者別機能尺度(Patient-Specific Functional Scale, PSFS)を用いて測定されるリハビリテーション目標を検討すること。さらに、PSFSの目標が、標準化された測定法で確認された障害や活動制限に対応しているかどうかを評価すること。

[方法] 研究計画:観察研究。参加者:入院中の脳卒中リハビリテーションを受けている71名。方法:PSFSの目標は、確立されたリンクルールを用いて、国際機能・障害・健康分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)の第2レベルのカテゴリーにリンクされた。リンクされたICFカテゴリーの頻度を算出した。歩行、日常生活動作(activities of daily living, ADL)、視覚、言語、認知に制限のある参加者の頻度を、対応する機能領域の目標とともに算出した。

[結果] 参加者の目標は、歩行・移動、ADL、言語、視覚、認知などの領域からなる50の第2レベルのICFカテゴリーにリンクしていた。

■ 脳卒中患者が表明するリハビリテーション目標ランキング
🥇「様々な場所を移動する」(n=24)
🥈「歩行」(n=23)
🥉「トイレ」(n=16)
④「手と腕の使用」(n=12)
④「細かい手の使用」(n=12)

歩行、認知、視覚に制限のある参加者のうち、それぞれ85%、10%、16%がこれらの分野で目標をもっていた。

[結論] 参加者の目標は、歩行、ADL、言語、視力、認知などであった。認知や視覚に障害のある参加者で、PSFSの対応する領域に目標を持つ人はほとんどいなかった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、リハビリテーションにおける動機づけ要因を患者側、医療者側で調査した文献を抄読した。

その中で、患者側、医療者側ともに二位に位置したのが『明確な目標設定』である。
リハビリテーションというのは、正直なところ、患者さんの『動機づけ』命である。
なぜなら、患者が回復するためには、患者が動くしかなく、患者が動くために必要なのは、患者の動機づけでしかない。
患者さんの外部で、医療者が腕立て伏せ1000回しても、患者さんの能力は変化しない、当たり前の話だ。

だからこそ、リハビリテーションにおいて目標設定というのは、後光が差しているが如く重要なものになってくる。
そして、そこで重要になるのは、患者さんが重要だと思っている目標の種類を知ること、だ。
患者さんの動機づけの扉を開ける鍵の形は、患者さんが規定する。
今回抄読した研究は、そんな患者さんがどの目標を重要だと思っているかを知るための一助となる重要なものだ。
結果としては、移動、歩行、そして上肢の使用に関する項目が上位にランクしていた。

理学療法士としては、特に上位3位まで、移動、歩行に関する目標を考えること、叶えることに尽くしたい。

「真の医者になろうとする者は、治そうと思うあらゆる病気や、診断しようとするあらゆる症状と、それに付随する症状を前もって経験しておかねばならぬ」・・・本当にそういう医者なら私も信用しよう。
モンテーニュ『エセー』第3巻十三章

直接的に経験することは、ほとんどの場合、難しいだろう。
だからこそ、せめて知ることは、怠りたくない。

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