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目標を文書化する。 68%が目標に合致したケアを受けていた

▼ 文献情報 と 抄録和訳

敗血症患者の入院後の目標設定と目標達成のためのケアにおける障害

Taylor SP, Kowalkowski MA, Courtright KR, Burke HL, Patel S, Hicks S, Hurley C, Mitchell S, Halpern SD. Deficits in Identification of Goals and Goal-Concordant Care After Sepsis Hospitalization. J Hosp Med. 2021

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 最近の研究では、患者のケアゴールを特定してサポートすることが、病院医療における最優先事項として挙げられている。敗血症は、入院患者の主要な死亡原因および退院後の罹患原因の一つであるが、ケア目標が退院前にどの程度頻繁に評価され、敗血症入院後90日間にどの程度遵守されているかについては、ほとんど知られていない。

[方法 & 結果] 臨床試験に登録された高リスクの敗血症生存者679人のコホートを評価したところ、130人の患者では標準化されたツールでケア目標が明確に文書化されていた。さらに139人の患者は入手可能なすべての臨床文書を用いて特定され、その結果、電子カルテ(EHR)から目標を確認できた患者は269人(40%)にすぎなかった。分類された患者のうち、目標の優先順位は、長寿(35%)、機能(52%)、快適性(12%)に分類された。退院後の90日間に行われたケアを専門家がレビューした結果、目標が特定されていた184例(68%)で目標に合致したケアが確認された標準化されたEHRツールで目標を文書化することは、目標に合致したケアを受ける可能性の増加と関連していた(オッズ比、3.6;95%CI、2.4~5.5)

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✅ 図:679人の敗血症生存者における目標の文書化と目標に合致したケアの提供の頻度。略語は EHR→電子カルテ、IMPACTS→Improving Morbidity During Post-Acute Care Transitions for Sepsis(敗血症に対する急性期医療移行中の罹患率の改善

[結論] 入院中および退院前後の時期は、敗血症生存者に対する目標の文書化および目標に合致したケアの提供における欠陥に対処する重要な機会である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

近年、在院日数のきりつめによって、1つのホットプレイスができている。
『退院支援』である。
入院期間が短くなればなるほど、退院時には「ギリ生活できます」の状態で退院することになる。すなわち、以下のことが退院後の維持期(地域)に求められるようになってきている。

✅ 近年、地域に求められるようになってきたこと
①身体機能・動作能力の向上
②自立困難な部分のサポート・ケア
③活動機会の確保や生活狭小化の予防

①〜③の機能を地域が果たす上で、大事なことがある。
それは「時間的ギャップをつくらない」ということ。
退院直後より、ケアやリハが入らない状態で時間が経過するほど、身体機能や動作能力は低下し、自立は困難となり、活動機会がなくなり、生活が狭小化し・・・、という悪循環に陥りやすい。
だから!!!、ホットプレイスなのだ、退院支援が。
その世界は、「トランジショナルケア」と呼ばれたりしている。
いかに、回復期(急性期)から地域へのリレーにおけるバトントスをうまくできるか、ギャップを少なくできるか。
その場所は、これまで追いかけてきた「目の前の患者を良くする」世界とは、全く違った力学で運営される。
頭の引き出しを、チャンネルを、1つ増やさねばなるまい。
そして、その引き出しの中に、「目標を文書化する」を入れておこう。

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