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熟練PTの動機づけ戦略

📖 文献情報 と 抄録和訳

理学療法士は脳卒中リハビリテーションにおいて、個人の状態に合わせて異なる動機付け戦略を用いる: 質的研究

📕Oyake, Kazuaki, et al. "Physical Therapists Use Different Motivational Strategies for Stroke Rehabilitation Tailored to an Individual’s Condition: A Qualitative Study." Physical Therapy (2023): pzad034. https://doi.org/10.1093/ptj/pzad034
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar, プレリリース
🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 脳卒中患者のリハビリテーション中の動機付けには、様々な戦略が用いられている。しかし、理学療法士が各個人に使用する動機づけ戦略をどのように選択するかは、まだ確立されていない。そこで、本研究では、理学療法士が脳卒中リハビリテーションプログラムにおいて、個人に対してどのように異なる動機づけ戦略を用いるかを明らかにすることを目的とした。

[方法] 10年以上リハビリテーションに携わり、個人のモチベーションに関心のある理学療法士15名を基準サンプルとし、1対1の半構造化オンラインインタビューに参加した。インタビューでは、各個人の状態に応じて使用される動機付け戦略に関する彼らの視点と経験を探った。収集されたデータは、主題分析によって分析されました。

[結果] テーマ分析および帰納的コーディングを行った結果、合計8つのテーマがデータから浮かび上がった。参加者は、(1)心理的な問題、(2)身体的な問題、(3)認知機能の程度、(4)性格、(5)日常生活や社会参加の状況、(6)年齢、(7)人的環境、(8)治療を受けているリハビリサービスの種類によって、個人の物理療法への積極参加を促すための戦略を変えていた。

例えば、本人が自信を失っている場合、参加者は本人が少ない努力で達成できる練習課題を提示し、成功体験を積ませることができた。また、インタビューから、本人の状態に関係なく使われる動機づけの方法(9つ)も明らかになった。例えば、患者を中心としたコミュニケーションは、患者の状態に関係なく、個人との信頼関係を築くために使用された。

[結論] この質的研究は、理学療法士が、理学療法中に脳卒中患者のモチベーションを高めるために、個人の精神的健康状態、身体的問題、認知機能のレベル、性格、活動や参加、年齢、人的環境、治療を受けるリハビリサービスの種類によって異なる戦略を用いていることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

理学療法士というのは、つくづく個人事業主である、と感じる。
仮に病院に勤めていたとしても、同僚がいたとしても、治療においては1人対1人。
それぞれのプラットフォームで、蛸壺化された仕事が、複数箇所で行われているだけだ。

個人事業主の集合体、とでも言おうか。
そうすると、隣の先輩が何をやっているは、完全には見えない。
だってこちらにはこちらの治療があり、目の前の患者に集中しているから。
見学専用の時間など、割り当てられることはほとんどないだろう。

そういった状況下において、今回の抄読研究のような先輩の頭の中を覗いた研究は貴重だ。
患者とのコミュニケーション、動機づけにおいて、シチュエーション別に方略が示されていて、実に実践的な研究といえよう。
個人的には、認知症低下者と保持者への対応が興味深かった。
早速、実践していこうと思う。

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