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自分で自分を管理する能力を高める脳卒中後の“Take Charge”介入

▼ 文献情報 と 抄録和訳

Take Chargeの介入が気分、モチベーション、活性化、危険因子管理に及ぼす影響;脳卒中後のテイクチャージ(Tacas)試験の二次データの分析

McNaughton, Harry, et al. "The effect of the Take Charge intervention on mood, motivation, activation and risk factor management: Analysis of secondary data from the Taking Charge after Stroke (TaCAS) trial." Clinical Rehabilitation (2021): 0269215521993648.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 「Take Charge」とは、脳卒中患者が自分自身の回復を担当できるように支援する、コミュニティベースの新しい自己管理型リハビリテーション介入である。Taking Charge after Stroke研究の二次データを用いて、Take Charge介入が急性脳卒中後の人々の身体的健康、高度な日常生活動作、自立にプラスの効果をもたらすメカニズムを探ること。

[方法] デザイン→2つの有効な介入と1つの対照介入を行い、盲検化された結果を評価するオープン、並行群、無作為化試験。地域社会参加者脳卒中の急性期に退院した成人(n=400)が、施設ではない地域生活に移行した。介入方法→脳卒中患者が自分自身の回復を担当することを支援する自己管理型のリハビリテーション介入である「テイク・チャージ」のセッションを1回、2回、または0回行った。Take Chargeは、目的意識、自律性、達成感、他者とのつながりを促進する「話すセラピー」である。指標脳卒中発症から12カ月後。気分(Patient Health Questionnaire-2、Mental Component Summary of the Short Form 36)、新しい尺度であるAMP-C(Autonomy-Mastery-Purpose-Connectedness)スコアを用いた「Take Charge能力」、活性化(Patient Activation Measure)、肥満度(BMI)、血圧(BP)、服薬アドヒアランス(Medication Adherence Questionnaire)。

Take Charge介入の概要 (Fu et al, 2020)
・参加者は、このプロセスを促進する訓練を受けた臨床医から、1対1で非直接的に、自分の人生において何が、誰が重要なのか、今後12カ月間に何を優先させたいのかについて意見を聴取される
・本人の希望により、家族や友人の同席も可能
・プロセスを構成し、本人が将来について考えるのを助け、アイデアを生み出すために、ワークブックが使用される
※ 移動性と日常生活動作、コミュニケーション、情報ニーズ、経済的問題、感情的ニーズ、支援、脳卒中予防などの見出しが付けられている

[結果] 12ヵ月後の生存者の追跡調査はほぼ完了していた(388/390(99.5%))。平均年齢(SD)は72.0(12.5)歳であった。12ヵ月後の気分、活性化、「担当する能力」、服薬アドヒアランス、BMI、BPに、無作為化グループによる有意な差はなかった。ベースラインのAMP-Cスコアと12ヵ月後の転帰との間には、対照群では1.73(95%CI 0.90~2.56)の有意な正の相関が認められたが、Take Charge群の合計では0.34(95%CI -0.17~0.85)の有意な相関は認められなかった。

[結論] Take Chargeがどのようなメカニズムで効果を発揮するのかはまだ不明である。しかし,今回の結果は,Take Chargeの介入により,動機付け,習得度,つながりのベースラインの変動が修正されるのではないかという仮説を支持するものであった。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

近年、在院日数削減が迫られる中、いかに患者自身の中にエンジンを持てるか、持たせることができるかに焦点が当たっている。その点、理学療法士の技術の中で、これまで心身のうち身体に重心が置かれてきたが、徐々に心(マインド)にも重心がかかってきているのではないだろうか。
全人的に、その患者様とどう関わり、心身に対してどう介入していけるか?、が問われる時代である。