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運動トレーニングと骨格筋の毛細血管形成


📖 文献情報 と 抄録和訳

パフォーマンスのための末梢の制限:筋肉の毛細血管化

📕Hellsten, Ylva, and Lasse Gliemann. "Peripheral limitations for performance: Muscle capillarization." Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports (2023). https://doi.org/10.1111/sms.14442
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[レビュー概要] 酸素と代謝基質の十分な供給と老廃物の除去は、筋パフォーマンスの重要な要素である。骨格筋では毛細血管がこの交換の主要な場であり、筋の毛細血管化の程度は、平均通過時間、毛細血管表面積、および拡散距離に影響することで、拡散条件に影響を及ぼす。したがって、筋の毛細血管化はパフォーマンスの制限因子となりうる。

運動トレーニングにより、未トレーニングの被験者では数週間以内に筋繊維あたりの毛細血管数が約10%~20%増加するが、よくトレーニングされた持久系アスリートでは毛細血管の成長はより緩やかに進行する。研究によると、毛細血管は蛇行し、筋束に関連した配置で筋繊維の長さに沿って横断している。直接的なデータは不足しているが、長年のトレーニングによって毛細血管の密度が高まるだけでなく、毛細血管の位置が最適化され、拡散条件がさらに改善される可能性がある。筋の毛細血管化は、ヒトの運動中の酸素抽出量を増加させることが示されているが、筋の毛細血管化の増加とパフォーマンスとの因果関係を示す直接的な証拠は乏しい。

本総説では、筋の毛細血管化が酸素やグルコースの取り込みやパフォーマンスに与える影響に関する現在の知見を取り上げる。毛細血管の成長過程と、血管新生を促進する運動固有の物理的要因について簡単に概説し、異なるトレーニング様式が筋毛細血管の成長にどのような影響を及ぼすかについての議論の土台を提供する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

アイオア州立大学のディットマー博士が面白い実験をした。
30センチ四方で深さは56センチ程度の木箱に砂を入れて、一本のライ麦を植える。
水を与えながら数ヶ月育てますが、苗は当然弱々しく、ひょろひょろとして貧弱なライ麦が育つ。
そのライ麦の砂をふるい落として、そのライ麦を支えるために張り巡らされた根を計測する。
目に見えるものはものさしでで、目に見えない根毛は顕微鏡で見て測定する。
その結果計測の合計はなんと1万1千2百キロメートルだったという。

📕Dittmer, Howard J. American Journal of Botany (1938): 654-657. >>> doi.

根は偉大だ。
そして、毛細血管というものに思いを馳せる時、この根を思い出してしまう。
運動パフォーマンスというものを現出するのは目にみえる身体表面だが、そのパフォーマンスを支えているものの1つは、身体内部の毛細血管だ。

そして、運動負荷によって血流に需要が伝わると、さながら根が生長するが如く、毛細血管形成が引き起こされる。
生物とは、芯のところでは共通しているのかもしれないと感じた。

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