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運動誘発性血管新生


📖 文献情報 と 抄録和訳

運動により誘発される骨格筋血管新生:年齢、性別、血管分泌物質および細胞メディエーターの影響

📕Ross, Mark, et al. "Exercise-induced skeletal muscle angiogenesis: impact of age, sex, angiocrines and cellular mediators." European Journal of Applied Physiology (2023): 1-18. https://doi.org/10.1007/s00421-022-05128-6
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[レビュー概要] 運動により誘発される骨格筋の血管新生は、ヒトにおいて運動トレーニングに応答して起こるよく知られた生理学的適応であり、持久的なパフォーマンスの向上だけでなく、心血管系や骨格組織の健康状態の改善にもつながる。骨格筋の毛細血管密度が増加すると、拡散性の酸素交換と老廃物の排出が改善され、疲労耐性が向上する。運動によって誘導される血管新生は、糖尿病予防に重要な筋グルコース取り込みの増加など、心血管系および代謝系の健康増進に大きく寄与する。近年、運動によって血管新生が起こるメカニズムについての理解が大きく深まってきている。この総説では、細胞外小胞や循環血管新生細胞に関する最近の研究を含め、運動によって誘発される骨格筋血管新生の生化学的、細胞的、生体力学的シグナルについて詳述する。加えて、年齢、性別、運動強度/時間、および血流制限運動を用いた最近の観察結果の影響についても詳細に論じる。この総説は、骨格筋の毛細血管形成を操作することによって身体的パフォーマンスを促進するためのトレーニング介入を最適化するためのメカニズム論的および応用的なエビデンスを、研究者および実践者に提供するものである。

■ 運動による血管新生/毛細血管新生の影響
・運動は、持久的運動であれ抵抗運動であれ、毛細血管:線維比の改善につながり、酸素拡散交換が促進され、その結果酸素摂取量が増加する(VO2)。
・毛細血管から線維までの距離が縮まることで、栄養と老廃物の交換が可能になり、骨格筋のパフォーマンスが向上する。

■ 運動による血管新生に対する循環細胞の寄与
・運動は、骨髄やリンパ組織など様々な供給源から循環系に細胞を動員する。
・内皮前駆細胞(EPC)や免疫細胞(血管新生を促進する好中球、単球、血管新生T細胞[TANG]など)を含むこれらの細胞は、虚血組織にホーミングして移動し、その後に血管内皮増殖因子(VEGF)などの血管新生促進因子を分泌することによって、運動誘発血管新生を増大させる可能性が高い。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

時折、観葉植物(プランター)の植え替えをする。
つい最近、やったところだ。
その際に、驚くことには「根」がびっしり所狭しと張っている。
目に見えないところで、こんなに生長していたのかと。
その新たな根が、新たな栄養、新たな代謝を可能とし、目に見える部分の新たな生長をもたらしている。

人の身体の中で、これにあたる現象が毛細血管の新生だと思った。
毛細血管が新生され、新たな栄養、新たな代謝を可能とし、目に見える部分の新たな生長をもたらす。
そして、人間においてその毛細血管の新生を促しうるものが『運動』である。
今回のレビューでは、その科学的根拠から、仕組みに関することまで、丁寧に述べられていた。
植物に水をあげると、「シュワシュワ」とさながら水を飲み生長しているかのような音が聞こえる。

運動をすることで、体内にはどんな音が鳴り、どんな生長がもたらされていることか。
そのイメージの一助となる論文であった。

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