認知的フレイルは転倒の予測因子である
📖 文献情報 と 抄録和訳
高齢者における将来の転倒の予測因子としての認知フレイル：システマティックレビューとメタアナリシス
📕Guo, Xiaojing, et al. "Cognitive frailty as a predictor of future falls in older adults: a systematic review and meta-analysis." Journal of the American Medical Directors Association 24.1 (2023): 38-47. https://doi.org/10.1016/j.jamda.2022.10.011
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✅ 前提知識：認知的フレイル（cognitive frail）とは？
・認知的フレイルとは、広義においては、身体機能の低下と認知機能の低下が併存する状態で近年着目を浴びつつあるハイリスクの一つである。
・ 身体機能と認知機能の関係性を検討した多くの研究成果を元に、身体機能低下と認知機能低下の併存が新たなリスクとして捉えられてきた。
[背景・目的] 高齢者の認知的フレイルと将来の転倒リスクとの関連性を検討する。デザインシステマティックレビューとメタアナリシス。設定と参加者地域、病院、またはその両方から認知的フレイルを有する60歳以上の高齢者を対象とした。
[方法] PubMed、EMBASE、Web of Science、Cochrane Library、Wanfang Database、China Knowledge Resource Integrated Database（CNKI）、Weipu Database（VIP）、 Chinese Biomedical Database（CBM）において、データベース開設から2022年6月14日までに発表された関連研究を検索しました。メタ分析の実施には、Stata 16.0ソフトウェアを使用した。ランダム効果モデルを用いて、認知的フレイルを有する60歳以上の高齢者における転倒の有病率と、認知的フレイルと転倒の関連の強さ［オッズ比（OR）および95％CI］をプールした。また、品質評価、異質性、感度分析も実施した。研究プロトコルはPROSPEROに登録された（CRD42022331323）。
[結果] レビューでは、質的総合で18の研究が含まれ、そのうち14がメタ分析に用いられた。23,025人が参加した11セットの横断的データと11,924人が参加した5セットの縦断的データがメタ分析に用いられた。認知的フレイルを持つ1742人の転倒の全有病率は36.3％（95％CI 27.9-44.8, I2 = 93.4％）であることが示された。縦断研究の結果、認知障害のない頑健な参加者と比較して、認知的フレイル者は転倒リスクが高い（OR 3.02, 95% CI 2.11-4.32, I2 = 0.0%, P = .406）、身体的フレイル者（単独）は転倒リスクが中程度である（OR 2. 16, 95% CI 1.42-3.30, I2 = 9.7%, P = .351）；認知障害者（単独）は転倒のリスクが低かった（OR 1.36, 95% CI 1.03-1.79, I2 = 0.0%, P = 0.440）.
横断研究においては、認知フレイルは転倒リスクと関連していた（OR 2.74, 95% CI 2.20-3.40, I2 = 53.1%, P = .019）。ORを報告した11の横断研究間で高い異質性が認められたが、感度分析の結果、単一の研究が最終的なプール結果に有意な影響を与えることはなかった。
[結論] この系統的レビューとメタ解析は、認知フレイルが高齢者の将来の転倒の有意な予測因子であることが実証されたことを確認するものである。しかし、さらなる前向きな調査が必要である。
🌱 So What?：何が面白いと感じたか？
以前、転倒リスクを高める3つの要因『転倒のバミューダトライアングル』について文献抄読した。
この３要因のうち、認知障害と移動障害を併発している状態が、認知的フレイルに近しい。
その認知的フレイルは、やはり転倒リスクを高める因子であった。
認知機能低下と身体機能低下が共存している方は、歩行の自立を検討する際には、よくよく注意されたい。
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