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転倒報告のためのスマートフォンアプリ


📖 文献情報 と 抄録和訳

パーキンソン病における転倒報告のためのスマートフォンアプリの共同制作とユーザビリティ

📕Wales, Jill, et al. "Coproduction and usability of a smartphone app for falls reporting in Parkinson disease." Physical therapy 104.2 (2024): pzad076. https://doi.org/10.1093/ptj/pzad076
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🔑 Key points
🔹iFallアプリは、転倒およびヒヤリハット転倒イベントの報告を提供する初めてのデジタルアウトカムツールである。
🔹このアプリは、自己管理を支援し、実際の臨床判断を助け、将来の研究のための正確で信頼できるアウトカム指標を提供することで、PD患者に利益をもたらす可能性がある。
🔹転倒を記録するためにPD患者との共同研究でデザインされたスマートフォンアプリは、PD患者にとって受け入れやすく使いやすいものであった。

[背景・目的] 本研究の目的は、パーキンソン病(Parkinson disease, PD)患者の転倒をデジタル報告するためのスマートフォンアプリを共同開発し、説明的混合研究法を用いてユーザビリティを検討することである。

[方法] 本研究は3つのフェーズに分けて行われた。第1段階は開発段階であり、PD患者をプロジェクトの共同研究者として募集した。研究者たちは、プロジェクトのアドバイザリー・グループとともに、6ヵ月にわたってアプリを共同制作した。第2段階は実施段階で、15人のPD当事者がアプリの使いやすさをテストするために招待された。第3段階は評価段階であり、第2段階のPD患者10人を対象とした2つのフォーカス・グループによって、システム・ユーザビリティ尺度を用いてユーザビリティが評価された。

✅ 開発されたアプリ『iFall』のスクリーンショット

[結果] 研究者とプロジェクトアドバイザリーグループにより、プロトタイプの開発に成功した。システム・ユーザビリティ尺度を用いて評価したところ、アプリのユーザビリティはPDの人々によって良好(75.8%)と判定された。2つのフォーカスグループ(各グループn = 5)では、1)使いやすさ、2)転倒管理の強化および理解、3)推奨事項および今後の開発、のテーマが特定された。

[結論] iFallアプリのプロトタイプが成功裏に開発され、PD患者にとって使いやすいと判断された。iFallアプリは、臨床ケアや研究への統合とともに、PD患者の自己管理ツールとして使用される可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

転倒発生の記録方法で、これまで知っていたのは自己報告やカレンダー記載といったアナログなものだ。
だが、これらアナログな方法は、いくつかの問題点があるとされている。

まず、リソースの問題。
紙を大量に使用するということが、大規模な研究になる程、問題になってくる。
そして、「思い出し」の問題。
例えば、後から「この3ヶ月で何回転倒しましたか?」を聞かれた場合、忘れてしまうこと、過小評価されてしまうことがよくある。

これらの問題を、スマートフォンアプリでリアルタイムに記録することで、解決できる。
今回の抄読研究は、そのアプリを開発し、実際の患者さんに使用感を確認、使いやすいと評価された。
ペーパーレスは、こんな領域にも進んできている。

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