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フレイル大全。423の参考文献と美しい図

📖 文献情報 と 抄録和訳

ヒトの脆弱性とその身体活動による調節に関する多系統生理学的な視点

📕Taylor, Joseph A., et al. "A Multisystem Physiological Perspective of Human Frailty and Its Modulation by Physical Activity." Physiological Reviews (2022). https://doi.org/10.1152/physrev.00037.2021
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[レビュー概要] 「フレイル(Frailty)」とは、フレイルでない状態と比較して、ストレス要因に対する脆弱性が高まり、回復が損なわれた状態を指す言葉であり、回復力の喪失とみなされることが多くなっている。平均寿命が延び、それに伴い身体的虚弱状態にある年数が増加する中、虚弱の臨床的・生理的特徴やそれを促進する要因を理解することが求められている。我々は、加齢性虚弱の臨床的定義と、この一般的な病態の病因を理解するためのその限界について述べる。

■ フレイル発症の主な段階
・高齢者における、自立した(回復力のある)フレイルでない状態から、(介入がない場合の)フレイルや障害に至る機能低下のカスケード。

■ フレイル発症の危険因子
・経時的研究において、フレイルを発症するリスクを高める重要な危険因子や臨床的特徴がいくつか確認されている: フレイルを発症する人は、女性、非白人民族、低学歴、低社会経済的背景を持つ人に多い(📕Feng, 2017 >>> doi.)。
・臨床的危険因子としては、肥満、抑うつ症状、喫煙が挙げられる。保護的関連因子としては、地中海食や身体活動の維持が挙げられる(📕Feng, 2017 >>> doi.; 📕Myers, 2014 >>> doi.)。 

■ フレイルの臨床症状
・フレイル成人は有害転帰のリスクが高く、これがフレイルを特定することの臨床的有用性として現在最も重要な点である。
・フレイルを有する人は、入院、転倒・骨折、身体機能・ADL両面の障害を発症する可能性が高い。
・さらに、フレイル患者は、心不全、脳血管障害、高血圧、COPD、貧血、糖尿病の罹患率が高い。
・また、多疾患併存(2つ以上の疾患を併発していること)、ポリファーマシー、サルコペニアの割合も高い。
・そのため、フレイルのない人と比べて、フレイルのある人は死亡リスクが高い(📕Vermeiren, 2016 >>> doi.)。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

この論文の好きなところは、なんと言っても “図” である。
美しい図とともに、フレイルの最前線について、423という豊富なエビデンスに支持されながら解説されている。
これ、Open Accessですよ!!!
必読、目を通すだけでも、ストックしておくだけでも、将来的に役立つと思う。

自分が好きだった映画は、ストーリーで好きになったんじゃない
ワンショット見た瞬間に、「あぁ、これは素晴らしい」って、それが映画だと思っているから

宮崎駿

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