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脳卒中-評価指標のコアセット。下肢機能、バランス、歩行


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中後のバランスと運動能力の標準化された測定法:第3回脳卒中回復・リハビリテーション円卓会議からのコンセンサスに基づくコア勧告

📕Van Criekinge, Tamaya, et al. "Standardized measurement of balance and mobility post-stroke: Consensus-based core recommendations from the third Stroke Recovery and Rehabilitation Roundtable." Neurorehabilitation and neural repair (2023): 15459683231209154. https://doi.org/10.1177/15459683231209154
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[背景・目的] 移動能力は脳卒中生存者にとって重要な優先事項である。脳卒中後の可動性回復を測定するための標準化されたアウトカム指標の世界的なコンセンサスは、脳卒中のリハビリテーションと回復に関する研究の質を最適化し、試験間のデータ統合を可能にするために不可欠なマイルストーンである。

[方法] 脳卒中歩行リハビリテーション分野の世界的な専門家13名を招集し、標準化された方法論を用いて、事前に定義された調査ベースのアプローチとそれに続くグループディスカッションによりコンセンサスを確立した。このグループは、バランスおよび可動性に関連する定義について合意し、下肢運動機能、バランスおよび可動性、生体力学的指標、および動作の質を測定するための技術に関するアウトカム評価尺度のコアセットを推奨した。

[結果]
■下肢機能
・運動機能についてはFugl-Meyer Motor Assessment下肢サブスケール
■バランス
・座位バランスについてはTrunk Impairment Scale
・立位バランスについてはMini Balance Evaluation System Test(Mini-BESTest)およびBerg Balance Scale(BBS)が選定された。
■歩行
・歩行自立度についてはFunctional Ambulation Category(FAC、0~5点)
・歩行速度については10-m Walk Test(10mWT)
・歩行持久力については6-Minute Walk Test(6MWT)
・応用歩行についてはDynamic Gait Index(DGI)を推奨した
・FACスコアが3未満の場合は、立位検査を追加する必要性(FAC<3、Mini-BESTテストにBBSを追加)、または歩行評価の実行可能性(FAC<3、10mWT、6MWT、DGIは「検査不可能」)を判断するために使用されるべきである。
・さらに、立位バランスと歩行の動作の質の回復を測定する運動学的および運動学的指標を優先的に調査し、評価プロトコールと使用する機器について推奨する。

測定時期は発症から5日以内、12週、26週 (3ヶ月と6ヶ月) であり、さらに任意で5週目と8週目に取ることも推奨された。

[結論] 本提言は、国際脳卒中回復・リハビリテーション連合(International Stroke Recovery and Rehabilitation Alliance)のこれまでのコンセンサス会議に基づいており、高品質で標準化された「ビッグデータ」セットを構築するための前提条件として、脳卒中回復・リハビリテーション研究間の妥当性と比較可能性を向上させるための研究コミュニティの指針となるものである。最終的に、これらの提言は、脳卒中リハビリテーションにおける精密医療への進展を支援する、質の高い参加者固有のデータセットにつながる可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

同じものを見ていたとしても、違う定規で測っていたら、その現象を1つの数字で共有することはできない。
また、類似の領域を違う評価尺度で計測していたら、別々のものを束ねて一緒に解析したりすることも、しにくくなる。
つまり、使用される評価指標を統制することは、集合知の可能性を高めることにつながる。
それは、科学や科学論文といったものが目指す、そもそもの方向性だとも思う。

そんな中で、今回の抄読研究においては、脳卒中の下肢機能、バランス、歩行という理学療法士にとっては非常に重要な領域についてコアセットを示してくれた。
ぼくが所属する病院においては、TIS、Mini-BESTest、DGIは定期評価に組み込まれてはいない状態だ。
今後、検討していきたい。

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