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不眠より“過眠”にご注意を!睡眠時間とサルコペニアリスク

📖 文献情報 と 抄録和訳

日本人の地域在住高齢者における睡眠パラメータとサルコペニアとの関連性

📕Shibuki, Takuma, et al. "The association between sleep parameters and sarcopenia in Japanese community-dwelling older adults." Archives of Gerontology and Geriatrics 109 (2023): 104948. https://doi.org/10.1016/j.archger.2023.104948
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🔑 Key points
🔹睡眠時間とサルコペニアおよびその構成要素である低筋肉量(low muscle mass, LMM)、低筋力(low muscle strength, LMS)、低体力(low physical performance, LPP)との関連について検討した。
🔹過眠はサルコペニアと正の相関を示し、LMS、LPPは過眠と強い正の相関を示した。
🔹性別で層別したところ、機能的老化(測定した身体能力の低下など)は、男女ともに過眠と関連していることがわかった。

[概要] 目的:本研究は、日本の高齢者地域生活者において、睡眠時間および睡眠の質と、低筋肉量(LMM)、低筋力(LMS)、低体力(LPP)などの因子で評価されるサルコペニアとの関連性を検討することを目的とした。

[方法] この横断研究では、65歳から80歳の合計2,069人(男性、902人、女性、1,167人)の参加者を対象とした。サルコペニアと各低身体機能は、Asian Working Groups of Sarcopenia 2019の定義を用いて定義された。睡眠時間は、不眠(6時間未満)、正常(6~8時間)、過眠(8時間以上)の3つのカテゴリーに層別化された。睡眠の質は、8項目のAthens Insomnia Scaleスコアに基づいて、不眠症(≧6)、非不眠症(<6)の2群に分類された。睡眠パラメータと身体機能低下を含むサルコペニアとの関連をロジスティック回帰分析で分析した。

[結果] 通常の睡眠者と比較して、過眠はサルコペニアと正の関連を示した(オッズ比[OR]2.11、95%信頼区間[CI]1.25-3.58)。特に、過眠はLMS(OR 1.77, 95%CI 1.07-2.94)およびLPP(OR 1.90, 95%CI 1.25-2.88) と強く関連していた。一方、睡眠の質の低下は、過眠者ではサルコペニアと関連せず、通常睡眠者では関連した。

[結論] 過眠は、LMSやLPPを含むサルコペニアと関連していた。しかし、過眠者では、不眠症はサルコペニアやその構成要素とは関連がなかった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、高齢者の昼寝において『寝すぎは認知機能を低下させる』という結論の文献抄読をした。

今回の文献は、昼寝ではなく本寝についてである。
睡眠時間は、筋合成など同化・成長にとって重要だ。
一方で、寝すぎることは、活動量の低下を伴う。
そのどちらが、重要なことなのだろう・・・。

こと高齢者にとっては、寝すぎることでの活動量が低下する弊害の方が大きのかもしれない。
今回の論文によれば、睡眠時間は、短すぎるよりも、長すぎる方がサルコペニアリスクを高めるという結果だった。
この論文中の考察では、その身体活動量についての側面と、長時間寝ることで骨格筋の炎症が惹起されることが述べられていた。
まあ、仕組みは何にせよ、寝すぎには注意、それは覚えておきたい。

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