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筋紡錘の分布、数、長さ

📖 文献情報 と 抄録和訳

雌雄ラットの内側腓腹筋における筋紡錘の分布と長さ、およびその3D可視化

📕Piotr, M., et al. "Distribution and length of muscle spindles and their 3D visualisation in the medial gastrocnemius of male and female rats." Journal of Anatomy (2023). https://doi.org/10.1111/joa.13895
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[方法-結果] オス10匹とメス10匹のラットの内側腓腹筋紡錘の空間分布を光学顕微鏡下で分析し、初めて筋の3Dモデルを用いて可視化した。内側腓腹筋の連続断面を近位-遠位軸に沿って10分割した。

■ 筋紡錘の分布
・研究対象とした2つの筋肉(前後投影図から見たオスとメス)の筋紡錘の概略的な局在を図に示す。
・筋紡錘は主に筋の最も幅の広い部分に分布しており、これはオスとメス両方の標本で4-6区に位置していた。

■ 筋紡錘の数
・内側腓腹筋の近位部は、筋の最遠位部よりも筋紡錘の数が多いのが特徴で、第9および10区ではこれらの紡錘が欠如していた。
・男女とも筋の近位-遠位軸に沿った分布は正常で、棘は内側腓腹筋の縦軸に沿って位置していた。
・1区画あたりの平均筋紡錘数は、男性で2.71±1.81、女性で2.71±1.95であった(差は有意ではなかった:t = 0.00; p = 1.00)。

■ 筋紡錘の長さ
紡錘の長さは雄と雌でほぼ同じであり(雄で0.78-7.41mm、雌で0.68-6.54mm;図4c,d)、平均長さは雄ラットで3.30±1.47mm、雌ラットで3.26±1.32mmであった(差は有意ではない、Z = 0.05; p = 0.96)。

[結論] 本結果は、筋肉量と大きさに有意差があるにもかかわらず、雄と雌の間で筋紡錘の数が類似しているという最近の観察結果のギャップを埋めるものである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

伸張反射のメカニズムを答えなさい。

大学の授業を思い出す。
この課題から、生理学的な現象にもしっかりとした仕組みが存在していて、それはさながら歯車が機械を動かすが如くである、ということを学んだ。
そのカラクリの肝となるのが、筋紡錘だった。

筋紡錘があって、ガンマバイアスが機能し、筋長に応じて反射の閾値を刻々と変えていく。
その中枢は上位にあるから、時間がかかってしまい、急激な筋長の変化には間に合わない。
これが、伸張反射が起きる仕組みの1つである、と。

そして、今回の抄読研究は、その筋紡錘の腓腹筋における分布や数、長さという三次元的なイメージを持たせてくれた。
当たり前のことだが、筋紡錘は概念的なものではなく、物質的なものだ。
質量をもつものだ。
そこに分布する数の違い、長さの違いがあって当然なのだが、どうだろう。
頭の中では、“たった1つの筋紡錘”になっていた気がする。
それは、頭の中のリンゴのイメージが1つであるような感じで。

筋紡錘はイデアではない。
実質をもつ人体構造の1つだ。
ミクロであろうが、そこに形あるものとして、理解したい。

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