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アスリートのミトコンドリア


📖 文献情報 と 抄録和訳

筋力アスリートの骨格筋におけるミトコンドリア表面積とクリステ密度の増加

📕Botella, Javier, et al. "Increased mitochondrial surface area and cristae density in the skeletal muscle of strength athletes." The Journal of Physiology (2023). https://doi.org/10.1113/JP284394
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[背景・目的] ミトコンドリアはATPの大部分を再合成する細胞小器官である。骨格筋では、筋収縮のエネルギー需要を維持するために、レジスタンス運動中のATP回転が増加する。にもかかわらず、慢性的に筋力トレーニングを行っている人のミトコンドリアの特徴や、筋力特異的なミトコンドリアのリモデリングを制御する潜在的な経路についてはほとんど知られていない。

[方法-結果] ここでは、筋力アスリートと年齢をマッチさせた未トレーニング対照者の骨格筋におけるミトコンドリアの構造的特徴を調べた。筋力アスリートのミトコンドリアプールは、ミトコンドリア体積密度が同程度であるにもかかわらず、ミトコンドリアクリステ密度の増加、ミトコンドリアサイズの減少、表面対体積比の増加によって特徴付けられた。

また、ヒト骨格筋におけるミトコンドリアの形態について、筋線維タイプおよびコンパートメントに特異的な評価を行い、筋線維タイプに大きく依存しないミトコンドリア形態へのコンパートメント特異的な影響をグループ全体で明らかにした。さらに、レジスタンス運動は、損傷したミトコンドリアの数を増加させることなく、軽度のミトコンドリアストレスの徴候をもたらすことを示した。公開されているトランスクリプトームデータを用いて、急性レジスタンス運動がミトコンドリアの生合成、分裂、ミトコンドリア未分化タンパク質応答(UPRmt)のマーカーの発現を増加させることを示した。さらに、筋力トレーニングを受けた人の基礎トランスクリプトームにおいてUPRmtの濃縮が観察された。

[結論] これらの知見を総合すると、筋力アスリートは、ミトコンドリアに必要なスペースを最小化する独自のミトコンドリアリモデリングを持っていることがわかる。我々は、ミトコンドリアの生合成マーカーとミトコンドリアのリモデリング経路(核分裂とUPRmt)がレジスタンス運動と同時に活性化されることが、筋力アスリートに観察されるミトコンドリアの表現型に部分的に関与している可能性を提唱する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまで、ミトコンドリアについてはいくつかの文献抄読をしてきた。
ミトコンドリアは運動によって酸素消費量↓、ミトコンドリア含有量↑、活性度↑、ネットワーク↑などの変化を起こす。

さらに、ミトコンドリアは速筋成長を制御する場であることも明らかになってきている。

そんなミトコンドリアであるが、アスリートのミトコンドリアを調べると、非訓練者と比べてクリステ密度、表面積は増大しているにも関わらず、ミトコンドリアサイズは減少していた。
つまり、アスリートはミトコンドリア密度に大きな影響を与えない中で、表面積を広げるにより効力を増大させる仕組みを持っていることが明らかになった。
ミトコンドリアも脳と同様に,
使うほど“シワ(クリステ)が増える”ようだ。

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