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有酸素運動は感情調節を促進する

📖 文献情報 と 抄録和訳

有酸素運動は感情調節を促進する:叙述的レビュー

📕Wang, Xuru, et al. "Aerobic exercise promotes emotion regulation: a narrative review." Experimental Brain Research (2024): 1-14. https://doi.org/10.1007/s00221-024-06791-1
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[レビュー概要] 有酸素運動は、感情調節の3段階である知覚、評価、行動を改善する。否定的な感情の認知を減少させ、感情的な状況を肯定的または非感情的に解釈し直すように促し、感情表現行動のコントロールを強化する。これらの効果は、前頭前皮質活性化の増加、扁桃体と他のいくつかの脳領域との機能的結合の強化、海綿状筋膜のような主要な情動調節経路やノードの可塑性の強化によってもたらされる。有酸素運動が情動調節に及ぼす効果は、運動強度や運動時間、個人の運動経験によって影響を受ける。今後の研究では、有酸素運動が情動調節を促進する重要な神経基盤が探求されるかもしれない。

■ 有酸素運動×感情調節:影響と潜在的メカニズム
・知覚の段階:有酸素運動は個人の覚醒レベルを高め、ネガティブな感情を知覚するための緩衝材として働き、ネガティブな感情への感受性を低下させる。運動後の気分の改善は、注意をポジティブな刺激に向ける一方で、ネガティブな刺激による注意の捕捉を減少させる。さらに、この段階では、情動調節に対する有酸素運動の促進効果は、実行機能に対する効果とは無関係に作用する。
- 評価段階:有酸素運動は前頭前野による扁桃体の調節など、情動調節経路における前頭葉の活性化と結合性を高める。これはまた、海綿状筋膜のような認知的再評価に関与する脳領域の灰白質および白質における可塑性の増加にもつながり、それによって、否定的な刺激にさらされた後に認知的に再評価し、感情の軌道を変える能力を高める。
- 行動段階:有酸素運動は、前頭頭頂制御ネットワークのような、表出抑制に重要な脳領域に影響を与え、その結果、個人の抑制性制御の有効性が高まり、感情に左右された文脈にそぐわない反応を防ぐことができる。さらに、評価段階と行動段階の両方において、有酸素運動後の実行機能の向上が、情動調節能力の向上を媒介する可能性がある。具体的には、評価過程では、再評価目標をワーキングメモリに保持し、否定的な先行事象に関する反復的思考や否定的な自己反省を抑制し、感情的事象の否定的解釈から肯定的解釈へと速やかに移行する必要がある。さらに、行動段階では、情動反応出力に対する抑制性制御が求められる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、運動のうつ病への効果を明らかにしたメタ解析を抄読した。

それによれば、ウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動は特に効果が大きいという。
今回の抄読文献は、それがどうしてそうなのか、という仕組みを明らかにしてくれた。
しかも、対応する脳部位に関する情報も加えて。
感情調節を3段階に分けて提示してくれているところも、理解を促す。
膨大な論文だ、時間をかけてチビチビと理解していきたい。

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