運動が脳に与える影響
📖 文献情報 と 抄録和訳
脳における運動の役割:オリゴデンドロサイトと再ミエリン化に焦点をあてて
[レビュー概要] ユヴェナールの諷刺集(127 a.C.)から引用された "Mens sana in corpore sano(健全な肉体に健全な人間) "というフレーズは、最もよく知られ、最もよく使われている文章のひとつである。糖尿病、心血管疾患、神経変性疾患、がん、加齢に伴う疾患(筋肉の萎縮、有酸素運動能力の低下、骨や軟骨の減少など)に対して、運動が有効であることは、多くの文献で証明されている。さらに、運動は脳の健康を維持し、加齢に伴う認知機能の低下を防ぐ重要な役割を果たす。運動は、最適な加齢を保証する有望な戦略であり、健康な成人において、注意力、処理速度、記憶力、実行機能においてその効果が観察された。ヒトや動物モデルで行われた研究では、運動が脳の様々な部位の容積を増大させ、神経前駆細胞の増殖と発達中のニューロンの維持の刺激を通じて、脳の可塑性と神経新生を促進する能力があることが示された。興味深いことに、運動したマウス由来の血漿を老化した動物に全身投与すると、歯状回領域で新しく生まれたニューロンの数が増加し、老化した海馬における神経新生と認知の障害が改善された。運動と神経新生の厳密な関連は、ゼブラフィッシュの成体で最近確認された。脊髄損傷モデルにおいて、運動はニコチン性ACh受容体を活性化し、GABAA受容体を抑制することで、新生ニューロンの数を増加させ、運動機能の回復を促進することが示された。このエビデンスはまた、脊髄損傷患者における運動と感覚機能の強化、およびげっ歯類モデルにおける軸索再生と萌芽に対する運動のポジティブな役割を示す以前の結果を裏付けるものである。運動と神経新生の良好な関係は、脳由来神経栄養因子、インスリン様成長因子-1、神経成長因子、血管内皮成長因子などの神経栄養因子や成長因子の発現レベルや分泌を増加させる運動能力にも起因している。脳由来神経栄養因子は、認知、神経可塑性、血管新生において重要な役割を果たしている。神経結合を促進し、学習と記憶の発達に関与する。インスリン様成長因子-1は神経保護因子であり、脳の発達、神経の生存、血管系をサポートする。神経成長因子は、神経細胞の発達と生存を媒介する上で不可欠な役割を果たすと考えられており、その治療は病変や加齢による変性の影響を逆転させる。また、運動は血管内皮成長因子の放出を刺激し、血管新生を通じて神経新生とシナプス機能を直接高める。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
運動は認知機能に対して、良好な影響を与える。
そして、その仕組みはどのようなものなのだろうか?
今回の抄読研究は、その外観を図示してくれた。
それぞれの仕組みについては、まだ十分に理解できているとはいえない。
ただし、この話題になったときに、帰ってくるべき論文が明らかになったことは嬉しい。
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