マガジンのカバー画像

保存版note ver.医療

9
医療。看護。役立つ知識。深掘りしたい情報。落とし込みたいnoteたち。
運営しているクリエイター

記事一覧

救急外来のシャワー室の窓は、社会の弱いところを見つめる窓

救急外来のシャワー室の窓は、社会の弱いところを見つめる窓

                         執筆:雨田立憲先生
 

12月中旬の寒い日、救急隊から、体動困難で失禁などもある患者(仮にTさんとする)の受け入れ要請があった。異臭が強いためシャワーが必要とのことであった。詳細は不明だが、アパートの大家がTさん退去後の部屋に状況確認に行ったところ、退去したはずのTさんが身動きもできない状態でいたので、警察介入後救急要請となったという。 

◆受

もっとみる
「家族が到着するまでの間、心臓マッサージくらいはしておいてほしい」電話口で家族は医師に伝え、電話を切った。

「家族が到着するまでの間、心臓マッサージくらいはしておいてほしい」電話口で家族は医師に伝え、電話を切った。

                          執筆:石上雄一郎

患者は80歳男性だった。仮にAさんと呼ぶことにする。
入所している施設で、夜間、職員が見回りをしている時に、Aさんが息をしてないことに気づいた。
施設職員は夜間の嘱託医に電話をしたが、夜中は対応できないから救急車を呼ぶようにと言われた。職員は当直の看護師を呼び出し、救急に連絡。当院の救急外来に搬送となった。 

◆蘇生の状況

もっとみる
心室細動なのに、意識があるってよ🚑🚒 心肺蘇生法の不思議

心室細動なのに、意識があるってよ🚑🚒 心肺蘇生法の不思議

心室細動なのに、意識があるってよ

どうも👨‍🚒🤚
救急救命士のAPO隊長です。

今回は救急隊として頻回に経験する、心肺蘇生法のお話です。

とは言っても、今回お話するのはレアケース。心肺蘇生法中で、しかも心電図は心室細動なのに、なぜか意識があるというケースの紹介です。

👨‍🚒「は? ドユコト??」

わかります。本当にその気持ち、よくわかります。
そうですよね。

もう一回言いまし

もっとみる

【病態から鑑別】失神と意識障害【循環器内科医による意識障害の考え方】

失神と意識障害がごっちゃになっている人がいます.

先日も外来で相談があったのは,「房室ブロックで当科受診歴がある人で,意識障害で救急要請されました」

この時,私が思ったこと

「房室ブロックの情報は,ほぼ意味をなしていないな」

です.

ひらたく言うと

意識障害は,循環器疾患が関与しないことが多い

ということ.

でも,なんとなくごっちゃになっているのは,失神と意識障害の病態が混ざっちゃ

もっとみる

【出血・穿刺部トラブルだけじゃない】VA-ECMO(PCPS)の合併症まとめ【異物反応がポイント】

VA-ECMO(PCPS)といえば,究極の循環補助であり,命を”つなぐ”.デバイスとしては,経カテーテル的に挿入できるもので最も強力です.

でも

「そんなに有用なら,どんどん入れればいいじゃない」

とは,思いませんよね?

これはなぜか.

相応の合併症があるからです.

すぐに頭に浮かぶのは穿刺部トラブル.要は出血です.

もちろん,ECMO管理下の出血は命に関わりますが,ECMOの合併所

もっとみる

【代償機構のブレーキ】カルペリチド(ハンプ®)について【ARNiが流行る前に】

”ハンプ®といえば心不全の薬”

”なんか,心臓とか腎臓にやさしい利尿薬”

こんなイメージですかね?

今回は,カルペリチド(ハンプ®)の話.

これから流行るかもしれないARNi(アーニィ)(ネプリライシン阻害薬とARBの複合剤)の予習にもなるかもしれません.

■前提:心不全における体液貯留カルペリチドと言えば,利尿剤.

利尿剤ということは,体液貯留が治療ターゲットですよね?

 

では

もっとみる

代謝性アシデミアに対してメイロン®を使用することの意義【全くエビデンスはないのか?】

私は,メイロン®が比較的好きです.

「メイロンとかエビデンスないだろ」と言われがちな,メイロン®ですが,害を理解した上で,使うにたる目的があればちゃんとあればいいかな,と思ってます.

今回は,代謝性アシドーシスにメイロン®使用することの意味を考えます.

 

■前置き:メイロン®の良好なエビデンスメイロン®にも良好なエビデンスはあります.

それは以下の2つ.

➀高Cl型(AG正常型)アシ

もっとみる

【脱水がよくわからなくなる】なぜ脱水で血圧が下がるのか,脈が速くなるのか

「脱水で血圧が低下してます.」

「脱水で脈が速くなってます.」

これ,現場でよく聞くフレーズじゃないですか?

みなさん,この現象がどういう仕組みか理解できてますか?

なんとなーく,「そういうもんだろ」ってなってませんか?

今回はここを深堀してみます.

1.脱水の説明が,そもそもわかりづらすぎる脱水の教科書的な説明は,☟

脱水(だっすい)とは、水分や電解質などの体液量が不足した状態であ

もっとみる

アミオダロン(アンカロン®)の副作用のまとめ

アミオダロンは,不整脈に対して使用する薬剤で,さまざまなチャネルに作用する抗不整脈薬(Ⅲ群)です.

その多面的作用ゆえに,心室性不整脈,心房性(上室性)不整脈,双方に使用され,また,(多くの抗不整脈薬が禁忌となる)器質性心疾患を有する症例でも使用可能なことから,使用頻度は少なくない薬剤です.

但し,副作用が厄介なため,使い慣れていない場合,敬遠されるかもしれません.

今回は,そんなアミオダロ

もっとみる