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医療者のためのわかりやすくて実用的な情報発信 がモットー 2020/12/24 100日連続投稿達成 毎平日記事更新 本ブログ「循環器Drぷーのコソ勉る〜む」では,情報をより体系的にまとめています 尚,noteのコメント返しは難しいのでTwitterでDMしてください

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【脱水がよくわからなくなる】なぜ脱水で血圧が下がるのか,脈が速くなるのか

「脱水で血圧が低下してます.」 「脱水で脈が速くなってます.」 これ,現場でよく聞くフレーズじゃないですか? みなさん,この現象がどういう仕組みか理解できてますか? なんとなーく,「そういうもんだろ」ってなってませんか? 今回はここを深堀してみます. 1.脱水の説明が,そもそもわかりづらすぎる脱水の教科書的な説明は,☟ 脱水(だっすい)とは、水分や電解質などの体液量が不足した状態である。【分類】 ■低張性脱水 水分の喪失よりナトリウムなどの電解質が著しく喪失して

    • 利尿薬の副作用を比較【血圧は?腎機能は?電解質は?】

      利尿薬を使用するときに,副作用を気にすることは少なくないですよね. 利尿薬であれば脱水は共通の懸念事項になりますし,カリウムなどの電解質異常,腎機能の悪化など留意すべき点は多数あります. すると,いろいろな副作用がありすぎて,なにを気にしたらいいのか,頭の中がゴッチャになることありませんか? 今回は,利尿薬の副作用を整理するとともに,「この利尿薬ではこの副作用にとくに注意」「この利尿薬なら,○○のリスクが低いから使いやすい」など,副作用によって利尿薬間での注意すべき度合

      • 【異常値は?】SpO2とPaO2はどっちが大事?【高すぎもダメ?】

        SpO2,PaO2,どちらも酸素化の指標ですよね? 敷居が低いのはSpO2なのではないでしょうか? クリニックから病院まで,外来から入院,もっと言えば,最近は新型コロナの影響もあり,一般の方がSpO2モニターを購入したりしますよね. 一方,PaO2は,動脈採血が必要です. 敷居がうんと上がります. そこで浮かぶ考えがこう. 「わざわざ侵襲的な検査をしているので,PaO2の方が重要に違いない」 って思いませんか?(私は研修医のとき,このように思ってました) でも

        • 「浮腫に利尿薬は使用しません」【浮腫治療における適切な利尿薬の使用方法を考える】

          みなさん,浮腫に利尿薬は使用しますか? 「いや,使用するでしょ?」 「適応病名にも"浮腫"って書いてあるよ?」 そうですね. 利尿薬の適応病名には浮腫があります. でも私は,滅多なことでは「浮腫に利尿薬は使用しません」. ➤浮腫に利尿薬が使用される理由 ➤適切な利尿薬の使用方法 この点を解説していきます. 1.「浮腫に対して利尿薬は使用しません」タイトルとすこし変えたのわかりましたか? 「浮腫に利尿薬は使用しません」と言いましたが,正確には「浮腫"に対して"利

        【脱水がよくわからなくなる】なぜ脱水で血圧が下がるのか,脈が速くなるのか

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          【エビデンスや適応を再確認】ACE阻害薬を心不全に使用する理由【ARBやARNiとの違い】

          ACE阻害薬といえば,心不全治療薬です. 降圧薬にも分類されていますが,その真価は血圧を下げることではなく,心臓や腎臓に対する臓器保護作用にあります. 昨今,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬ARNiが心不全治療の新薬として話題に上がることが多いですが,ARNiのすごいところは「ACE阻害薬に勝ったこと」なんです. (≫ARNiの解説記事はこちら) 前提として,いかにACE阻害薬が心不全治療の大御所であったか. 新薬の話しばかりだと疲れるますよね. 今回は,

          【エビデンスや適応を再確認】ACE阻害薬を心不全に使用する理由【ARBやARNiとの違い】

          アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬ARNiエンレスト®の解説【何がすごいの?誰にどうやって使うの?】

          ※2022/11/4加筆修正 新しい心不全治療薬の有効性が相次いで報告されてきています. SGLT2阻害薬,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi),イバブラジンなどがそうです. 先日,イバブラジンの解説記事をアップしてから久しいですが,今回はやっとの思いでアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi)です. 薬剤名サクビトリルバルサルタンで,商品名エンレスト®です. 更新が遅くなった理由は,内容が盛りだくさんになってしまったから... でも

          アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬ARNiエンレスト®の解説【何がすごいの?誰にどうやって使うの?】

          「うっ血性心不全患者さんが入院しました」利尿薬・最初の一手【基本から私見まで】

          心不全は,とてもありふれた病気です. ともすれば,非専門でない医師であっても,うっ血性心不全の症例に出会うことはよくあります. みなさんは,うっ血性心不全の症例をみたときの初期対応,できる自信はありますか? 「うっ血性心不全」とひとえに言っても,外来で対応できる軽症のものから,補助循環を要する超重症のものまで,幅広く存在します. 私自身,そんなさまざまな心不全症例すべてで完璧に初期対応がこなせる自信はありませんが,少なくとも,研修医やレジデントの先生,非専門の先生より

          「うっ血性心不全患者さんが入院しました」利尿薬・最初の一手【基本から私見まで】

          【非専門医必見】心不全治療やっちゃいガチなミス【専門でもたまにハマる罠】

          「慢性心不全でかかりつけの方.呼吸苦と下腿浮腫出現を認め,心電図を施行したところ心室性期外収縮が頻発していました.心室性期外収縮頻発による心不全増悪と判断し,メインテート®を開始しました.」 先日,このような経過を目にしました. これを「いや,おかしい.あぶない.」と思えた人は,この記事を読む必要はないかもしれません笑 でも 「ん?心室性期外収縮にβ遮断薬を使って何が悪いの?」 「β遮断薬は心不全の予後を改善させるでしょ?使った方がいいじゃん」 ってなる人いますよ

          【非専門医必見】心不全治療やっちゃいガチなミス【専門でもたまにハマる罠】

          【HFrecEF/HFworEF/HFuncEF】新しく追加されたLVEFによる心不全の分類を解説(2021年 JCS/JHFS ガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療より)

          先日の日本循環器学会総会中に発表された「2021年 JCS/JHFS ガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」では,LVEFによる心不全の分類が追加されました. 「はぁ~,またややこしくなった💦」 「覚えることが増える~,めんどくさい~」 「分類多すぎて心不全嫌い~」 と思っている人も多いのではないでしょうか? でもですね, そもそも今回追加されたHFrecEF/HFworEF/HFuncEFの分類は,これまでの分類とは少し立ち位置が違うと思い

          【HFrecEF/HFworEF/HFuncEF】新しく追加されたLVEFによる心不全の分類を解説(2021年 JCS/JHFS ガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療より)

          【意識障害を見抜く力】てんかん発作や痙攣の考え方【一過性意識障害は失神だけではない】

          前回の記事で,失神と意識障害の病態の考え方を解説しました. 重要な点は,意識障害は脳の障害であり,失神は脳血流の障害であること. 失神は,脳血流のトラブルを病態に,一過性の意識障害を来します. しかし,一過性の意識障害の鑑別は失神だけではありません. 特に重要なのが,”てんかん発作epilepsy seizure”です. 一過性の意識障害の原因検索として,失神とてんかん発作の鑑別は非常に重要です. 今回は,失神とてんかん発作を鑑別するための考え方を解説していきます

          【意識障害を見抜く力】てんかん発作や痙攣の考え方【一過性意識障害は失神だけではない】

          【病態から鑑別】失神と意識障害【循環器内科医による意識障害の考え方】

          失神と意識障害がごっちゃになっている人がいます. 先日も外来で相談があったのは,「房室ブロックで当科受診歴がある人で,意識障害で救急要請されました」 この時,私が思ったこと 「房室ブロックの情報は,ほぼ意味をなしていないな」 です. ひらたく言うと 意識障害は,循環器疾患が関与しないことが多い ということ. でも,なんとなくごっちゃになっているのは,失神と意識障害の病態が混ざっちゃってるからです. しかし,失神と意識障害,この2つの病態は,根本的に全く異なり

          【病態から鑑別】失神と意識障害【循環器内科医による意識障害の考え方】

          【心拍数で予後が変わる?】心不全新治療薬イバブラジン(コララン®)の特徴や適応【何が新しいの?】

          新しい心不全治療薬の有効性が相次いで報告されてきています. SGLT2阻害薬,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNi),イバブラジンなどがそうです. たたみかけるように新薬の報告が続くものだから 「どれがどんな風にいいのか,全然わかんないよ!」 ってなりませんか? ということで,これから何回かの記事に分けて”心不全の新治療薬”を解説していきます. 今回は,イバブラジン(コララン®)の話をします.   ■イバブラジン(コララン®)ってどんな薬?イバ

          【心拍数で予後が変わる?】心不全新治療薬イバブラジン(コララン®)の特徴や適応【何が新しいの?】

          【知っていると管理がしやすい】心拍数を診る!考える!【遅い・速いはなぜ悪い?】

          心拍数(脈拍)と言えば,大事なバイタルサイン. 多くの医療者の方は,バイタルサインの1つとして心拍数(脈拍)を管理しますよね. ※この記事では,統一するために”心拍数”の話をします. 厳密には,心拍数と脈拍数は違います. 心拍数は,心臓が拍動する回数. 脈拍数は,脈を触れる回数です. 不整脈でなければ,これら2つは同じ値になります.つまり,脈拍数=心拍数です. 一方,頻脈性不整脈の時などは,脈拍数≦心拍数となります.頻脈性不整脈の場合,有効でない拍出が起こりうるからです.

          【知っていると管理がしやすい】心拍数を診る!考える!【遅い・速いはなぜ悪い?】

          【今さら聞けない】カテコラミンの使い分け,これだけ知っとけばok【保存版】

          ※2021/4/13,こちら☟のページに改訂・改良した記事を掲載しました. 以下は,改訂前の過去記事です. ----------------------------------------------------------------------------------- 急性期の病院であれば,カテコラミンを使用しない病棟はほぼないかな,と思います. 「ショックの際のノルアドレナリン」 「蘇生の際のアドレナリン(ボスミン)」 「心不全にドブタミン」(☜これは循環

          【今さら聞けない】カテコラミンの使い分け,これだけ知っとけばok【保存版】

          低酸素血症のない急性冠症候群に酸素投与は不要なのか?【少し懐かしい知識を掘り返す】

          現在,医療現場にいる方々は,学生の頃などに,心筋梗塞(特にST上昇型心筋梗塞)の初期対応として,MONA(塩酸モルヒネ、酸素、硝酸薬、アスピリン)を習いませんでしたか? その1つに酸素投与があります. しかし,現行のACSガイドライン(2018年改訂版)では,低酸素血症のない症例でのルーチンな酸素投与は推奨されていません. 先日,Twitterでのご質問にお答えしましたが,意外にこの推奨が浸透しきっていないと思いましたので,解説させていただきます.   低酸素血症な

          低酸素血症のない急性冠症候群に酸素投与は不要なのか?【少し懐かしい知識を掘り返す】

          【よく見かけません?】血圧を上げたがる腎臓内科医と血圧下げたがる循環器内科医の構図【なぜ?適切な血圧とは?】

          同じ患者さんでも,腎臓内科の先生は血圧を下げたがらず,循環器内科の先生は血圧を下げたがる,って場面みたことないですか? これは別に2つの科は仲悪いわけではないですよ? これは,”戦っている病態”が違うから,です. どちらが正解ということもなく,どちらも正解とも言えます. 「場面や症例によって適切な血圧は異なる」 と言ってしまったらそれまでですが,それぞれの専門領域からの見え方を整理しましょう. それを知ることで,盲目的に行き当たりばったりの血圧対応をしているときよ

          【よく見かけません?】血圧を上げたがる腎臓内科医と血圧下げたがる循環器内科医の構図【なぜ?適切な血圧とは?】