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【不安と抑うつ】③対人不安について考える!


不安の中でも、人との関係性についてのものを「対人不安」と呼ぶ。


前回の【不安と抑うつ】②では、不安についての理解を深めた。


今回は、「対人」に対する不安について理解していく。

どうして、人と接する場面で不安になってしまうのか?
対人不安には、どんな心理が働いているのか?

そこを深めてみた!



『自分の心からよむ臨床心理学入門』丹野義彦・坂本真士著、東京大学出版
を引用してまとめてみた。


◆対人不安(広義)


【対人不安(狭義)】

・「対人不安」で最も軽い。
・普通の人が感じる「対人緊張」「シャイネス」「あがり」「人見知り」
・特定の対人場面での不安の用語
「デート不安」「異性不安」「会食不安」「スピーチ不安」

 ↓

【対人恐怖】

・対人不安(狭義)より、苦痛がかなり強く、悩みの程度が強い。
・人づあいを避けようと回避行動が強く、生活に支障が出るようになる。
・赤面や表情、視線への症状のこだわりが強い。
・「他者視線恐怖」の傾向は、9歳から増加し15歳がピーク年齢とともに低下。

(対人恐怖の症状)
「他者視線恐怖」他人からの視線を気にすること
「赤面恐怖」人前に出ると、顔が赤くなってしまうのを気にすること
「表情恐怖」人と話している時に、自分の顔がこわばって変な表情になることを気にすること
「自己視線恐怖」自分の視線が鋭いのではないか、目つきが悪いのではないかと気にすること
「社会恐怖(DSM-Ⅳ)」

 ↓

【思春期妄想症】

・対人恐怖よりも重い症状、妄想的な傾向が強まる。
・誤った信念を強く確信し、周りが訂正することができない状態。

(代表的な症状)
「自己視線恐怖」「自己臭恐怖」「醜貌恐怖」




◆どうして対人不安が起こるのか?

どうして人と接する場面で不安を感じてしまうのか?

自己意識からの説明、バスの対人不安理論
自己呈示からの説明、リアリィとシュレンカーの自己呈示理論


【対人不安理論】

人から見られる自己を過剰に意識して、その場を逃れたい、人目を避けたいという動機が生じるため、対人不安が起こるという考え。
バスによると、対人不安は「他者の視線や発言、あるいは単に他者が存在するだけでも生じる、居心地の悪さや不快な感情」と定義される。


<対人不安4つの分類>
「当惑」「恥」「観衆不安」「シャイネス(気おくれ)」

・恥と観衆不安は強い感情、性質は異なる。
・当惑と恥は、人にバレることや知られることによって生じる。
・観衆不安とシャイネスは、自分が目立ってしまったことや新たな場面に遭遇したことで生じる。
・「公的自覚状態」(公的自己の側面に注意が向いた状態)が急に高まることから始まり、不快な感情を経験して完了する。


<対人不安の原因>
・「対人場面の特徴」
集団の大きさ、注視される量、その場の人物の熟知度、場の公式さ、評価の程度
・「他者行動」
「過度の注視や無視」「外面やふるまいについての他者からのコメント」
「自他の境界を踏み越えた行動」など

バスの理論は根拠が乏しい欠点があり、4つの分類も裏づける証拠もあまりない。



【自己呈示理論】

他者に特別な印象を与えたいと思っているが、できるかどうか疑わしく、自分の印象に関連した不満足な対応を他者から受ける可能性があると予測した時に、対人不安を生じるという考え。
自己呈示とは「他者との関係の中で、自己の勢力の増大をさせようとする動機に基づき、自己の特性に関する他者の帰属を誘発あるいは形成する目的のために行われる行動の側面」と定義される。ジョーンズとピットマン(1982)

自己呈示は印象操作とも呼ばれることもある。



<動機づけのレベル>
特定の印象を与えたいと強く思うことが、対人不安を生じさせる原因の一つ。

「自己」についてのある印象を他者に与えたい(「呈示」したい)
願っている(「動機づけ」られている)。



<ある印象を与えたいと動機づけを高める要因>(第1条件)

⑴公的自己への注意が向けられる状況(公的自覚状態になる状況)。自己についてこういう印象を与えたいという自己呈示の動機づけが高まる。

自分が得ようと期待した結果の価値。
他者からの評価や他者の反応が、自分にとって重要な意味を持つ場合、より強く自分の特定の印象を与えたいと思う。

⑶初対面、初対面の状況に等しい状況。

⑷印象を与えたいと思う他者の特徴
相手が社会的影響力が大きい人(地位の高い人、異性の仲間、身体的に魅力がある人など)

⑸評価的な状況(人から評価を受けるだろうと予想される場面)

⑹中心的な自己概念を他者に印象づけようとする時。

⑺共存他者の数。
一緒にいる他者の人数が多いほど、良い印象を与えたいとする。

⑻承認欲求が強い。
人から認めてもらいたいと普段から思っている人ほど特定の印象を与えたいと思う。失敗した後で名誉挽回に燃えるなど。

⑼ネガティブな評価への恐れ。



<演じたい自分をうまく演じることができるか>(第2条件)

「自己呈示がうまくいくかどうかについて自分で考える主観的確率
(自己呈示確率)が低いこと」

・見知らぬ相手や予期せぬ状況、新しい役割として行動する場合などでは、どのような印象が望ましいものか不明であるため、自己呈示がうまくいくかどうかわからない場合。
・望ましい印象を知っていても、今の自分では到底そのような印象が作り出せないと考える場合。
・自己の能力が不足しているのではなく、うまくいったと判断する基準が高すぎるために「できない」と思い込んでいる場合。



◆対人恐怖の人の悩み(永井、1994)


1.【対人場面での行動不調】人とうまくつき合えない
①他者とうちとけられない(対話の中に入っていけないなど)
②対人緊張が強い(人前に出ると緊張するなど)
③視線がうまく使えない(人と目が合わせられないなど)

2.【関係的自己意識】人から自分がどう思われているか不安
①人からの評価が気になる(他人が自分をどう思っているのか不安など)
②加害的な悩み(自分が相手に嫌な感じを与えているように思うなど)
③被害的な悩み(自分の弱点や欠点を他人に知られるのが怖いなど)

3.【内省的自己意識】自分はダメだ
①自己の不安定さと劣等感(気持ちが安定しない、自信がないなど)
②自己コントロールの弱さ(物事に集中できない、長続きしないなど)

1.2.の悩みは、対人恐怖に特有のもの
3.の悩みは、不安障害や抑うつ的



対人恐怖の症状は、普通の悩みを土台として発生する。
症状をごく自然のものとして受け入れてしまえば、悩むこともないだろう。
症状にこだわり、自然なものとして受け入れようとせず、
逆に症状を無くそうとしてしまうのが、対人恐怖となる


代表的な療法に「森田療法」がある。
表情や視線への不自然なこだわりをなくしていくことが大切という考え。
自分で解決しようとしてみて、うまくいかない場合はカウンセラーや専門家に相談してみることを勧めている。



◆どのような人が対人恐怖になりやすいか?

・人に好かれたいという他者思考的な欲求を持つ
・負けず嫌いで他者を優越したいという欲求持つ

このように

相矛盾する性格を持つことが特徴

・外面の大人しさと内心の負けず嫌い
・小心さと傲慢さ
・弱気と強気
・甘えたい、甘えたくない

対人恐怖の人には、自分をよく見せたい、人に負けたくない、強気な側面がある完全主義で自分に対して求める姿が高すぎるため、
高まった自己意識に悩み、対人場面での不安を強めてしまう

向上心があるからこそ!の悩み

向上心と不安は盾の両面


現実は思い通りにいかない
自分の現実を「あるがまま」に受け入れていく!✨




どのような人にでも、多かれ少なかれ、対人的な不安は持っているもの。
対人不安を全く持たないことは、恥を知らないということ。
対人不安を持っていることは、望ましいこと(エリクソンの発達課題にもある)
必要以上に意識しすぎず、ありのままを受け入れる。



まとめ

対人不安は、自己意識や自己呈示で説明できるのだね!
シンプルに考えると、自己に注意が向きすぎているということなのかな〜
現実をみること!
「ありのまま」の自分を受け入れること!
これがやはり大切なのだね!✨😊


自分の学びとなりました✨


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