見つけないでください

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記事一覧

日記

noteを書くのをAIに任せたら何のためにnoteを書くんだ、と思いながら「閉じる」のボタンを押した。 精神が悪くなると言葉が溢れてくるので、情緒と脳の言語を司る分野が密…

栞
3週間前

österreichのライブ

新代田feverのösterreichのライブが開演する前に書いている。 ライブに行く気力が無かった。 普通に今日のライブは諦めようと思った。 持病がかなり悪化していて、最近は…

栞
4か月前
2

死者

運命が、君の長いまつ毛の上に腰掛けた。 楽園が、君の白い指先にぶら下がった。 君は立ち上がり、再び歩み出した。 祝祭が始まる。 君は何度も死者になった。 大切に育て…

栞
9か月前

シャンプー

真っ暗な部屋で横たわる私は、髪から漂うシャンプーの匂いで深呼吸をしている。どこにでも売ってるシャンプーの香りは、安っぽいのに安心できるような心地にさせてくる。簡…

栞
1年前
5

夏の孤独

真夏なのにマフラーを編んでいる君の横顔からは、暖炉がパチパチと燃える音とホットミルクの匂いがした。 これが初恋だと思って、カルピスを沢山飲んだ夏だった。君が消え…

栞
1年前
1

恋の葬式

鈍い星屑が目の奥で点滅する。 君の名前を思い出せない1日が、もう何度も訪れて、恋も死ぬのだと思った。 失恋の時に泣かなかったから、恋のお葬式ができなかったのかと少…

栞
1年前
1

見つけないで欲しいけど、見つけて欲しいし、好きだよと伝えて欲しいし、名前も知らないあなたの為に書きたいのです

栞
1年前

寝顔

夜は、白くて揺ら揺らしてるふわふわした時間が本物で、真っ黒な時間は偽物だと思わないと越せない夜があった。 朝は藍色で水平線越しのグラデーションの中に閉じ込められ…

栞
1年前
2

春の骸

「ねぇ、私の写真を撮って」 貴方が春を見つめている瞳が、カメラのレンズで屈折することなく、一つの埃も被らず、誰かの裸眼に光のまま届いた時、心で失明する人。世界は…

栞
1年前
4

プロローグ

エタノールの匂い 電光掲示板に表示される3桁の数字たちの行進 顔のない人達が座っている真っ白なソファー 一面の向日葵畑に降る雪。偽りの記憶。 その先にあるのは? 私…

栞
1年前

夏?

溶けないアイスクリームの体温、半透明な線香花火からはちょっと高いシャンプーの匂い、自分の愛が正しいと思ってる人達が怖いと泣いている小学校のプール、自由研究で酸化…

栞
1年前

カモメ

人の横顔が好き。私のことを見ていない、他の景色を見ている顔を、私は眼差す、関係の断絶、座標が交わることは無く、数学の宿題をサボった日の夕暮れが今も教室の隅で空回…

栞
1年前
3

日記(高橋國光さんのnoteを読んだ翌日)

どこまでいっても私は高橋國光の中にある日本語以外に美しいものは見つけられない。 それが私を、パンを焼いているのを待つ間、冷え切った部屋を電気ストーブで温める間、…

栞
1年前
2

季節外れ

春が舞台でスポットライトを浴びる 漣のように空気が震える 観客達の目が、舞台に引き寄せられる。 何もない舞台 真っ黒な舞台 白いスポットライトの中、ただ立っている …

栞
2年前
1

夢うつつ

眠気に、抗わない方が良いこと、睡眠は大事だってこと、知ってるよ。それでもベットに深く沈み込みながら、無意識に眠気に抗う。 それは、夜へのささやかな抵抗。 夜だけ…

栞
2年前

無罪

愛について考えろといった 愛について考えてない人間なんていないと言われた。 愛については、経験から知るんだよ、と言われた。 私だけが、愛について考えていると思っ…

栞
2年前
3

日記

noteを書くのをAIに任せたら何のためにnoteを書くんだ、と思いながら「閉じる」のボタンを押した。

精神が悪くなると言葉が溢れてくるので、情緒と脳の言語を司る分野が密接に繋がっているのが私の特徴らしい。
幸せだったり、精神が安定していると、詩や短歌が書けなくなる。詩を毎日書いていたり、映画のレビューを分量の圧でぶん殴るくらい書いていた時期は精神が悪かったのだと思うが、詩を書きたいと望むときに

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österreichのライブ

österreichのライブ

新代田feverのösterreichのライブが開演する前に書いている。

ライブに行く気力が無かった。
普通に今日のライブは諦めようと思った。
持病がかなり悪化していて、最近はただベットの上で天井が90度回転したらどうなるだろうということだけを考えてた。本気で。お風呂に入ること、顔を洗うこと、生活が出来なくなっていた。

天井の照明を囲むように木の棒が四角く囲っている。それらを時計の針のように頭

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死者

運命が、君の長いまつ毛の上に腰掛けた。
楽園が、君の白い指先にぶら下がった。
君は立ち上がり、再び歩み出した。
祝祭が始まる。

君は何度も死者になった。
大切に育てた蛹。君の分身。孵化する直前に、何度も握り潰されて、透明な粉々の死骸と一緒に棺に入って灼かれた。
悪意も愛も等しく濾過した水。君の届かなかった祈り。知らない誰かの罪の為に、死刑台に登った。
そして、もう、誰にも殺されないように、君は自

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シャンプー

真っ暗な部屋で横たわる私は、髪から漂うシャンプーの匂いで深呼吸をしている。どこにでも売ってるシャンプーの香りは、安っぽいのに安心できるような心地にさせてくる。簡単に安心を手に入れられるようになったら、死んだようなもの。
カーテンの隙間から漏れ出す夜、夜、夜。初恋のことを思い出す。初恋はいつだって夜だった。もう顔も思い出せないあの人は、夜がとても似合う人だった。嘘つき、そんな人は存在しない。

夜が

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夏の孤独

真夏なのにマフラーを編んでいる君の横顔からは、暖炉がパチパチと燃える音とホットミルクの匂いがした。
これが初恋だと思って、カルピスを沢山飲んだ夏だった。君が消えた夏だった。

蝉が鳴いているのは、本当は泣いているのかもしれない。生きることにゆるやかに絶望するのに、人間も蝉も関係はない。暑さで少しずつ君との思い出が溶けてゆくのを感じる。あったはずの記憶と、あるはずだったら記憶が溶け合って、手がベタベ

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恋の葬式

鈍い星屑が目の奥で点滅する。
君の名前を思い出せない1日が、もう何度も訪れて、恋も死ぬのだと思った。
失恋の時に泣かなかったから、恋のお葬式ができなかったのかと少し寂しくなる。
花を供えることも出来ず、偲ぶことも出来ず、怒ることも出来ず、ただ風化してゆく恋は果たして恋だったのだろうかと思う。
ガラスに反射した顔はただの湖だった。私は何者でも無いことにひどく安心する。恋がわからないことが少し許された

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見つけないで欲しいけど、見つけて欲しいし、好きだよと伝えて欲しいし、名前も知らないあなたの為に書きたいのです

寝顔

寝顔

夜は、白くて揺ら揺らしてるふわふわした時間が本物で、真っ黒な時間は偽物だと思わないと越せない夜があった。
朝は藍色で水平線越しのグラデーションの中に閉じ込められているのが本物で、光が差し込むカーテンが揺れている部屋は偽物だと思わないと迎えられない朝があった。

夜に祈って朝に呪う。

春の骸

「ねぇ、私の写真を撮って」

貴方が春を見つめている瞳が、カメラのレンズで屈折することなく、一つの埃も被らず、誰かの裸眼に光のまま届いた時、心で失明する人。世界は薄桃色で染め上げられて、ただ静かなシャッター音が滲んでいく。

貴方のことを春だと思い、四季を指折り数えるように残像を追いかけ続ける人達が忘れてしまったのは、夕暮れと夜の繋ぎ目、覚えているのは貴方だけ。美しいものだけを覚えていて。
コンビ

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プロローグ

プロローグ

エタノールの匂い
電光掲示板に表示される3桁の数字たちの行進
顔のない人達が座っている真っ白なソファー
一面の向日葵畑に降る雪。偽りの記憶。

その先にあるのは?

私はお手軽に記憶喪失になることが出来る。
嘘です、出来る、といいなと思っている。
何故、私の心臓を突き刺した言葉から溢れ出る鮮血を、私をただ静かに抱きしめてくれた言葉と同じ量で覆えないのか、分からなくて、悔しくて、手洗いうがいをきちん

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夏?

溶けないアイスクリームの体温、半透明な線香花火からはちょっと高いシャンプーの匂い、自分の愛が正しいと思ってる人達が怖いと泣いている小学校のプール、自由研究で酸化したダイヤモンド、信号が赤く点滅している深夜高速、棘のない薔薇からする朝顔の匂い、大量のスマホが水槽に不法投棄された偽物の新宿、ヨーヨーに閉じ込められた花火大会、水平線が向日葵で覆われている白夜。
無いけれど確実に存在する夏の記憶達。

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カモメ

人の横顔が好き。私のことを見ていない、他の景色を見ている顔を、私は眼差す、関係の断絶、座標が交わることは無く、数学の宿題をサボった日の夕暮れが今も教室の隅で空回っている。

君の寝顔が好き。無防備だからこそ、絶対に誰も立ち入らせない聖域としての寝顔。私の夢を見てくれたことが一度でもあるでしょうか?貴方は、もういない彼女の夢を繰り返し見ている。彼女のお墓は海の近くにあることも知らずに。

誰も知らな

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日記(高橋國光さんのnoteを読んだ翌日)

どこまでいっても私は高橋國光の中にある日本語以外に美しいものは見つけられない。
それが私を、パンを焼いているのを待つ間、冷え切った部屋を電気ストーブで温める間、瞼に着せるアイシャドウと唇に咲かせる花の色を考えている間、どこまでも絶望させ、どこまでも安心させる。消費する側で居ても良いという赦しは、現代の神の福音で、天使は大量生産大量消費の掌で潰されたらしい。
怠惰には生きたいけど、惰性では生きたくな

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季節外れ

春が舞台でスポットライトを浴びる
漣のように空気が震える
観客達の目が、舞台に引き寄せられる。

何もない舞台
真っ黒な舞台
白いスポットライトの中、ただ立っている
どこも見ていない目
言葉を発したことのない唇
マネキンのような細い腕
土を踏みしめたことのない足
全てが幻のような、私たちの春が立っている。

静寂
恐怖に似た静寂が幕を上げる。
もう手遅れなことを知る。
始まりだと思っていたスポット

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夢うつつ

眠気に、抗わない方が良いこと、睡眠は大事だってこと、知ってるよ。それでもベットに深く沈み込みながら、無意識に眠気に抗う。

それは、夜へのささやかな抵抗。
夜だけが、世界と私の視線が分断される。
朝、昼、夕方、私は私の世界を見つめられていたのに、眠る、私は夢の中にいる、夜だけがじっと私を見つめている。
不公平だ、と思う。
私が知らない間に、夜は私の寝顔を見て、聖母のように微笑んでいるのか、嘲笑うよ

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無罪

無罪

愛について考えろといった

愛について考えてない人間なんていないと言われた。
愛については、経験から知るんだよ、と言われた。

私だけが、愛について考えていると思っていた。
愛についてが何か分からないまま、人々は愛を歌っているのだと、ぺらぺらの白紙の回答用紙を答え合わせする気持ちで眺めていた。
全て間違えていた。
月だと思って毎日祈っていたものは、太陽の抜け殻だった。
私だけがアルファベットを読め

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