カモメ

人の横顔が好き。私のことを見ていない、他の景色を見ている顔を、私は眼差す、関係の断絶、座標が交わることは無く、数学の宿題をサボった日の夕暮れが今も教室の隅で空回っている。

君の寝顔が好き。無防備だからこそ、絶対に誰も立ち入らせない聖域としての寝顔。私の夢を見てくれたことが一度でもあるでしょうか?貴方は、もういない彼女の夢を繰り返し見ている。彼女のお墓は海の近くにあることも知らずに。

誰も知らない私というものが存在せず、誰かに見つめられることでしか私は存在出来ないとしたら?答えは無く、ただ、遠くでカモメが飛び立つのが見えた。

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