変化を恐れず成長する:アーティストから学ぶ5つの心得
現代のビジネス環境は急速に変化しています。この変化に適応し、成長を続けるためには、新たなチャレンジを恐れない姿勢が不可欠です。本稿では、現代アーティスト淺井裕介氏の「制作の心得」から、ビジネスパーソンが学べる変化への適応戦略を探ります。
変化を恐れないことの重要性
ビジネスにおける変化は避けられないものです。多くの人が、既存の方法や習慣に安心感を見出し、変化を恐れがちです。しかし、成長やイノベーションを生み出すためには、変化を積極的に受け入れる姿勢が必要不可欠です。自らの行動を意識し、新たなチャンスに果敢に挑むことが重要です。
「消えゆくアート」から学ぶ「創造的破壊」の哲学
淺井裕介氏(1981-)は、独特の「泥絵」シリーズで知られるアーティストです。絵の具を使わずに、各地で採取した土と水を使用し、巨大な絵画作品を制作しています。土は、土地によってその様相が異なり豊かな色彩を表現することができ、この独自の材料で動物、植物、人間など根源的なモチーフを描いています。
彼の作品の特徴の一つは、展示後に水で流して消してしまう「消えゆくアート」にあります。淺井氏は「物を作ることがイコール残ることになりすぎている」と指摘し、従来の残すアートのやり方を壊すことで、新たなアートの可能性を探っています。
この姿勢は、ビジネスにおける「創造的破壊」の概念と通じるものがあります。既存の方法や価値観に固執することなく、時にはそれを大胆に捨て去り、新しいアプローチを探る必要があります。
毎日景色が変わる展覧会
2024年4月27日から8月25日まで、福井県の金津創作の森美術館で開催された淺井裕介展「星屑の子どもたち」、会場の最初に展示された作品《Carpe diem》は、「消えゆくアート」を象徴しています。展覧会会期日数と同じ105の花が描かれた3枚組の大作ですが、毎日夕方になると、一つの花が消されていきました。
《Carpe diem》というタイトルはラテン語で「その日の花を摘め」という意味があります。毎日一つの花が消されることで、会場の景色が少しずつ変化します。そして、消された部分に新たな絵を描くことで、作品が生まれ変わる可能性を示唆しています。「消えゆくアート」ならではの価値があるのです。
淺井裕介氏の「制作の心得」
美術館の一画に、淺井氏のアトリエが設置され、そこに貼られた「制作の心得」は、ビジネスパーソンにも大きな示唆を与えてくれます。
整理整頓:
「つかったものを元の場所に、つかってないものもあるべき所へ、なんなら始まりよりもキレイにする」
変化を探る:
「朝と夜、前回と今回、絵の変化を観察する。自分のやれる仕事はどこにある?」
楽しむ:
「他の人に声かけする、記録をとる、休む、温かいものを飲む」
コツコツガンバル:
「失敗してもOK、少しずつ良くしていく」
自信をもってやる:
「大丈夫かな? → 大丈夫です!」
アート思考がもたらす変化への決断
これらの心得を実践することで、ビジネスにおいても大きな変化をもたらすことができます。例えば、私の「アート思考講座」のある受講生は、自分がいる組織がずっと同じサービスを提供していることに課題を感じていました。アート思考のワークの一環として自社のチームで議論し、直ちに席替えを実施しました。他のメンバーが何をやっているかよくわからないという事態に陥っていたのです。このほんの小さな行動が、コミュニケーションの活性化を引き起こし、新しいアイデアが次々に出るようになりました。
このように、小さな変化から始めることで、組織全体のイノベーションにつながる可能性があるのです。
おわりに
ビジネス環境の変化は避けられません。しかし、それは同時に成長の機会でもあります。アーティストの創造的アプローチから学び、常に新しい可能性を探求し続けることが、今日のダイナミックな環境で成功する鍵となります。
変化を恐れず、むしろ積極的に受け入れることで、個人としての成長だけでなく、組織全体のイノベーションにも貢献できるでしょう。淺井氏の「制作の心得」を参考に、自分なりの「ビジネスの心得」を作り、日々の活動に活かしてみてはいかがでしょうか。