早川忠宏/Sports PR Japan (株)代表取締役

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よく使われるリサーチ方法~サーベイ調査

前回に続いて、スポーツPRでよく使われるリサーチの方法をもう一つ紹介します。 前回の「内容分析」が発した側の分析であるのに対して、今回は受け取る側の分析方法です。 そもそも、情報伝達とは誰かによって発信されて、それを受け手が読み解くというプロセスです。従って、どのような効果があったのかを知るためのリサーチも大事になります。 1972年にマックスウェル・マコームズとドナルド・ルイス・ショーの共同研究で発表されたマスメディア研究の古い理論に、「アジェンダセッティング」という

    • よく使われるリサーチ方法~内容分析

      ここまで、ベースとなる話をいろいろとしてきたので、今回は、スポーツPRの分野でよく使われるリサーチの方法を一つ紹介します。 コンテンツ・アナリシス、内容分析と呼ばれるものです。 書籍、新聞、雑誌などの文章の内容を、テキストベースで客観的、数量的に分析する方法です。調べたい情報源が映像や音声の場合は、文字に書き起こして、リサーチします。 政治のコミュニケーション研究で知られるハロルド・ラスウェル(Harold Lasswell)がつくったモデルによると、内容分析とは 誰

      • 一次情報と二次情報の違い

        これは、リサーチに限った話ではありません。スポーツPRは、コミュニケーションやメディア、そして、情報に密接にかかわる分野です。したがって、一次情報と二次情報の違いをちゃんとわかっておくことは欠かせません。 一次情報とは、本人の直接的な体験から得られた情報や、そこから考察したことです。 リサーチでは、本人が行った調査や実験の結果、そこから得られた本人の考察が当てはまります。 直接行うわけですから、集めたり、つくったりするのには、非常に時間や労力がかかります。それだけに、価値も

        • リサーチ 実施の流れ 続き

          前回からの続きです。 リサーチ実施、10のステップの後半の5つを説明します。 6 対象を選び、方法を決める ステップの5番目で、過去の研究などを参考にして、用いるフレームワークと条件を設定するというところまで来ました。ここからは、リサーチに入ってきます。リサーチを行う前にフレームワークを元に、どんな人たちを対象とするのかを検討したり、どのように調査をするのかも考えて決めていきます。 その際、何を諦めて、何を取るのかの選択を迫られます。 例えば、スタジアムに来場していた

        よく使われるリサーチ方法~サーベイ調査

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        • サクッと聞けるビジネスティップス【3本セット】
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        • 初心者歓迎! スポーツPR 入門編
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          リサーチ 実施の流れ

          スポーツの仕事をしていて、自分がリサーチをする必要に迫られることがあるかもしれません。 たとえば、イベントの参加者のアンケートを作るといった簡単なものから、オンライン上の様々なサービスを使ってデータを集め、自社の顧客がどんな人なのかを明らかにするといった難しいものまであるかと思います。また、大学の研究への協力要請が来る可能性もあります。 そういう時に、せめて基本的なことだけでも分かっておいた方が、気持ちが楽になりそうです。 そこで、今回から2回に分けて、リサーチを実施する

          定量的リサーチと定性的リサーチ

          前回は、リサーチの四つのタイプを紹介しました。 それに加えて、もう一つ把握しておいた方がいいリサーチの大きな分類があります。それは、定量的リサーチと定性的リサーチです。 定量的リサーチ 数値や量で表せるデータを集めて、統計学的に分析する手法です。 例えば、あるスポーツブランドの認知度であるとか、ある商品の顧客満足度であるとか、あるトレーニングジムの顧客の男女比といったものは、数値で表わすことができます。 集計したものが目に見えて理解しやすく、他と比較をすることも簡単にでき

          定量的リサーチと定性的リサーチ

          リサーチ 四つのタイプ

          スポーツPRの分野で、リサーチの歴史は比較的新しいと言えます。 スポーツメディアに関する初めての学術誌、The Journal of Sports Mediaが始まったのは2006年。最初のスポーツコミュニケーションの学術誌、The International Journal of Sport Communicationが始まったのは2007年のことでした。 リサーチにはいくつかのタイプがありますが、代表的な四つのタイプを最初に知っておくと良いかと思います。Chris G

          なぜテレビ視聴率を調べるのか

          リサーチの話の続きです。 スポーツPRに関係して、最もよく目にするリサーチといえば、テレビ視聴率ですね。 日本ではビデオリサーチ社、アメリカではニールセン社などがこの調査を業務としている会社として、よく知られています。 皆さんも聞いたことがあるでしょう。 テレビ視聴率でよく使われているのは、世帯視聴率です。また、その番組を見ていた人の年齢層、性別、住んでいる地域などのデータも取れます。 この視聴者の放送に対する好みや頻度、習慣などを調べるのに使われる装置は、ピープルメータ

          スポーツPRにおけるリサーチの重要性

          今回からリサーチについて話していきます。 リサーチと聞くと、アカデミックな研究に使うものという印象で、「仕事で実践していくのに必要なのか?」と思う人もいるかもしれません。 スポーツは社会の縮図ですので、実践面も、研究の面もどちらも知ることが重要です。また、実際の仕事の場面でも、リサーチは使われています。スポーツPRに関わる部分で言うと、代表的な例は、テレビの視聴率です。ウェブサイトのGoogle Analyticsを使っている人もいるでしょう。 スポーツPRにおいて、リサ

          スポーツPRにおけるリサーチの重要性

          コミュニティーリレーションズとは

          コミュニティーリレーションズという言葉、あまり聞いたことがないですよね。でも、大事なことなので、この機会に説明します。 コミュニティーは目にしたことや聞いたことがあると思います。意味は、地域社会です。 従って、コミュニティーリレーションズとは、地域社会と良好な関係を築くことです。 自治体はもちろんのこと、企業がスムーズに活動を進めていくためにも、地域で暮らす人たちと良好な関係を保つことは欠かせません。 例えば、企業の工場がその町の小学生を対象に、見学の機会を設けることは、

          コミュニティーリレーションズとは

          インタビュー中にすべきことは

          前回インタビュー前の準備について話しました。今回は、それを踏まえてインタビュー中にすることを話します。 まず、準備したところで、全体として何を伝えたいかが定まっているはずです。 これをキーメッセージと呼びます。 キーメッセージを相手の質問を使いながら話していくのが、インタビューの進め方です。 決して、受け身になってはいけません。話す方が主導権を握れるのです。なぜなら、インタビュー取材は、受けた人がしゃべったことを使って、報じられるからです。 したがって、十分な準備ができて

          インタビューを受ける前の準備とは

          前回の続きです。 今回はインタビューを受ける時の具体的なアドバイスを話します。 インタビューを受ける前の準備と、インタビューを受けている最中にすることに分けて話します。 インタビューを受ける前に準備として最も大切な事は、取材するメディアが何を聞こうとしているのかを理解しておくことです。 全てのインタビューには、なぜ、このタイミングで、この人に、このテーマで、話を聞くのかという背景があります。 それは、取材の依頼が来る時に説明されることが多いです。もしそこが曖昧な場合は、広

          インタビューを受ける前の準備とは

          メディアとの関係を維持する五つのツール その5  インタビュー

          このシリーズも、いよいよ最後の五つ目になりました。 メディアとの関係を構築することと、自分たちの組織を好意的に紹介することが同時にできて、欠かせないのがインタビューを受けることです。 プロスポーツチームの場合は、試合の前日や試合直後など、定期的に受ける機会があります。競技団体は、大会開催や代表選手の発表などの他に、理事会が終わった後に取材を受けるのが通例となっているところもあります。スポーツビジネス企業の場合は、記者会見という機会は少ないかもしれません。個別にインタビューを

          メディアとの関係を維持する五つのツール その5  インタビュー

          メディアとの関係を維持する五つのツール その4

          このシリーズの四つ目は、ファクトシートです。 正直言って、他のに比べて、出番は少ないツールです。しかし、大事な役割があります。 どんな時に使うかというと、プレスリリースで出すほどの大きな内容ではないものの、ニュースとして扱われるようなことを扱う時に出します。 フォーマットとしては、紙一枚に箇条書きすることが多いです。 代表的な例で言うと、歴史的な節目となるような出来事や記録のケースがあります。他には、出場選手登録や抹消も、このフォーマットです。 選手の通算100号ホーム

          メディアとの関係を維持する五つのツール その4

          メディアとの関係を維持する五つのツール その3

          メディアとの関係を維持する五つのツールの話の続きです。 メディアリリース、記者会見に続いて三つ目は、メディアキットおよびメディアガイドについて説明します。 どちらも報道する材料や補足になる資料なのですが、体裁が違います。 メディアキットとは、試合や大会、記者会見、発表イベントなどに来場したメディア関係者に対して複数の資料をまとめて渡すものです。 イベントのタイムスケジュール表、登壇する人物の紹介文、その場で発表する内容の補足資料、グラフや図解した資料などが典型的な例です。

          メディアとの関係を維持する五つのツール その3

          メディアとの関係を維持する五つのツール その2

          メディアとの関係を維持する五つのツールの二つ目は、記者会見です。 前回話したメディアリリースと同様に、あらゆるメディアに対して一斉に情報を出せるという利点があります。 しかし、メディアリリースとの大きな違いもあります。 それは、その場でのQ&A、質疑応答があることです。 もちろん、会見にはメインとなる発表や話題があるのですが、メディアが聞きたい部分について質問したり、主題とは別のことについてコメントを取ったりできる機会になります。そうすると、メディアが自分たちが描いたス

          メディアとの関係を維持する五つのツール その2