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ドーピング問題とスポーツメディア

スポーツの負の側面として、ドーピング問題は切っても切り離すことのできないこととなってしまっています。
選手が好成績を挙げたいと思い、違反薬物を使用して運動能力を高める不正行為です。もちろん、オリンピックをはじめとしたあらゆる大会、競技で禁止されています。1970年代には顕在化して、今日まで続いています。

大きな衝撃があった例を挙げます。

1988年ソウルオリンピックの男子100mに出場したベン・ジョンソン選手が、競技後の検査で違反が発覚し失格。陸上界ではアメリカ女子のスター選手だったマリオン・ジョーンズが禁止薬物の使用を認め、2000年シドニー五輪のなどのメダルを返上しました。2004年アテネ・オリンピックの男子ハンマー投げでは、アドリアン・アヌシュ選手がドーピング検査で尿のすり替えをし、再検査に応じなかったため、金メダル剥奪。繰り上げで、日本の室伏広治選手が金メダルとなりました。

2000年代にはメジャーリーグでも、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンスなど球界を代表する選手に、次々と薬物使用疑惑が起こりました。その影響もあり、殿堂入りには至っていません。

自転車ロードレースのランス・アームストロングは1999年からツール・ド・フランス7連覇を達成。しかし、その後、ドーピング違反が発覚し、全タイトルが剥奪され、永久追放処分が科されました。

ドーピング問題とメディアの関わりは三つほど考えられます。

・メディアが選手のドーピング違反を告発するケース
・選手がドーピング違反をしていたことを、メディアを通じて告白するケース
・ドーピング違反の疑いが生じた選手が、メディアを通じて身の潔白を訴えるケース

ドーピング違反が明らかになった後、もしくはドーピング違反の疑惑が生じた段階で、その選手を取り上げるメディアの報じ方も急にネガティブなものに変わります。その選手は疑惑について、メディアからしつこく追求されることもあります。

Gunther Luschenは、HANDBOOK of SPORTS STUDIESの「Doping in Sport as Deviant Behavior and its Social Control(2000)」の中で二つのメディアの役割を指摘しています。

・メディアは、ステロイド問題に対する意見や姿勢を通じて、国民の関心を高める役割を果たしてきた。

・多くのメディアが基準の厳格化を促し、その結果、国民とスポーツ関係者はこの問題をスポーツの最前線に据えた。

メディアがドーピング問題の啓発をしたと考えられます。

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