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スポーツメディアと女性に対する見方

前回は、人種に関してスポーツメディアによって、ものの見方がつくられているという話をしました。
もう一つ大きな分野で、女性に対する見方も、スポーツメディアが影響しています。

Dr. Pedersenの2002年の論文(Investigating interscholastic equity on the sports page)やその他の論文が明らかにしたように、まず女性アスリートがメディアに取り上げられる量が男性アスリートに比べて少ないです
メディアに取り上げられる量が少ないとは即ち、メディアが重要視していないと解釈できます。量が少なければ当然、世の中に理解してもらえる可能性は低い。女性アスリートを重視しないものの見方が広がります。

また、メディアによる女性アスリートの取り上げ方が偏っているという課題もあります。

複数の研究によると、女性アスリートが取り上げられる競技は、世界的に見ると、フィギュアスケート、体操、テニスなどに偏っています。

外見的な美しさが頻繁に取り上げられる、というのも男性アスリートの場合と異なっています。

Gender Parity in Olympics : Hyping women athletes, favoring men athletes, Eastman and Billings(1999年)という、1994年冬季、1996年夏季、1998年冬季のオリンピックにおける実況の内容を分析した研究があります。外見的な魅力を取り上げる量は、女性アスリートに対しての方が多いことがわかりました。また、身体の強さに関して語る回数は、男性アスリートの方が女性に比べ約2倍だったそうです。

スポーツ界に限らず、女性の取り上げ方がなぜ偏るのかを解説した著名な本が、The Beauty Mythです。日本語翻訳版のタイトルは、「美の陰謀」で、1990年に出版された世界的ベストセラーでした。

ファッション業界や美容業界のイメージ戦略により、広告や雑誌などのありとあらゆる情報で、女性は美しくなければいけない、という呪いが植え付けられ、女性を傷つけていると指摘しています。

前々回の講義で話した通り、メディアによって作られたものの見方がより多くの人に広まり、ある集団や社会のものの見方となる。そして、そうした影響からは逃れられない。ここでも、それが起こっています。

近年はスポーツメディアでの女性の取り上げ方も、かなり変わってきています。量が増えていますし、美人選手のようなレッテルを貼って取り上げることも減ってきているように思います。人々がそうしたことを口にするのも、セクハラと言われるようになりました。このように、次の見方の変化もまた、メディアを通じて起こっています。

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