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女性記者がロッカールームに入る権利

スポーツ記者をしていたとき、日本のみならず、アメリカやヨーロッパ、東アジアなど様々な国で取材をすることができました。

日本やヨーロッパの場合は、選手がロッカールームから出てきて、通路や少し広いスペースでインタビューをするというのが通例です。しかし、アメリカでは記者の権利が少し強く、ロッカールームに入って取材をすることができます。皆さんも、日本人メジャーリーガーのインタビュー映像でロッカールームで撮られているものを見たことがあるかもしれません。

ロッカールームは選手が着替える場所ですし、試合後にシャワーを浴びた選手がタオルを腰に巻いてウロウロしていることも当然見られます。そこに、女性記者が入ることができるようになったのは、1978年以降のことです。

前年の野球のワールドシリーズにおいて、ロッカールームでのインタビューを禁止されたスポーツイラストレイテッドの女性記者メリッサ・ルトケがメジャーリーグベースボール機構を訴えました。

ロッカールームの外でしか女性記者が取材できないとなると、ロッカールーム内で交わされた質疑応答や、その時の表情などはわかりません。男性記者に対して、取材活動において不利な状況にあるわけです。裁判所は、憲法修正第 14 条の平等保護条項に違反する、スポーツ記者の仕事を追求する権利が物理的に直接的に妨げられていると判断しました。最高裁は、業務執行上の都合は性別による差別を正当化しないと判断しました。そして、他のアメリカのプロスポーツでも、これが適用されていきます。

しかしながら、それ以降も女性記者への差別が完全になくなったわけではありません。ロッカールーム内で選手が女性記者に侮辱的な言葉を投げかけたり、セクシャルハラスメントが行われるといったことは、たびたび問題になっています。

今回は、米野球殿堂博物館のホームページの当該ページ、Narional archive Foundationの判例のページを参考にしました。

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