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試合に関する法律

ここまでは、主に選手に関わる法律の話をしてきましたが、今回は試合に関する法律の話をしていきます。

まず、試合そのものに著作権はあるのでしょうか?
著作物とは、日本の法律では「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています。スポーツは身体活動であって、著作物とは言えません。

また、アメリカでは、1976年の著作権法において、スポーツイベントは著作権が発生するイベントではない、とされています。法律に列挙されている例に当てはまらないこと、準備はするが創作ではないこと、台本がなく競い合いものであることが理由です。

しかしながら、スポーツを中継する試合映像は、著作権が発生し得るものとなっています。カメラワークによって試合のどの部分を切り取って見せるのかというのは、制作者らが考えて生み出したものであるからです。

また、スポーツ団体が定める規約には、そのスポーツを放送する権利がどこに帰属するのかが定められています。日本では、プロ野球は野球規約44条で、JリーグではJリーグ規約127条で規定されています。

これらに関して、パブリックビューイングは、行っても権利侵害にならないのでしょうか?
スポーツの試合映像は著作権が発生しているので、パブリックビューイングというイベントを営利を目的として行ったり、お客さんから料金を取ったり、通常の家庭用テレビではない設備で見る場合には問題となります。
スポーツバーなどは、試合放送することを全面に押し出して集客していたり、巨大なスクリーンを設置したりしているので、権利者の許可を得て行っています。有料の衛星放送や配信で流されるものについては、業務用で放送できる契約を結んでいるようです。

さらに、試合のライブスコアを主催者ではない法人が配信しても、法律上問題はないのでしょうか?

こちらは1997年にアメリカでNBAとモトローラ社、STATS社が争った判例があります。
NBAがに2社に対して著作権違反をしていると訴えたのですが、判決では差し止め請求などが棄却されました。
先に話したように、試合そのものには著作権が発生しないこと。試合の録音・録画された放送は著作権法で保護されるが、ライブスコアは、放送の内容である試合の表現や描写を再生したわけではないので、著作権を侵害していないと判断されました。

観客としてスポーツの試合を訪れる時はも、写真・動画の使用に関するガイドラインや規約を読むようにしましょう。
一方、自分が主催する側である時には、著作権法などを考えながら、こうした規約を自らつくっていくことになります。全ての弁護士さんがスポーツに詳しいわけではありませんので、インターネットで検索するなどして自分たちで過去の例を学ぶ必要があります。

今回はスポーツ法政策研究会のホームページにある「スポーツの放送と権利」、およびインターネット白書ARCHIVESにある「スポーツシーンの個人WWWサイト中継をめぐる考察」を参考にしました。

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