すゞめの記録

好きなものは、スズメと心理学と合氣道。 不定期ですが少しずつ、日常のどうでもいいような…

すゞめの記録

好きなものは、スズメと心理学と合氣道。 不定期ですが少しずつ、日常のどうでもいいような考え事と、たまに小説の読書記録を投稿しようと思っています。

記事一覧

戯言_230413

痛みはない。 しかし、痒みはある。 辛くはない。 しかし、苦みはある。 取り立て後悔があるわけでも、不安があるわけでもない。 ただ、現在にいることに関する違和感だ…

くぐる、っていいよね

今日も私は、くぐる。 玄関口を、くぐる。 橋の下を、くぐる。 暖簾を、くぐる。 何かをくぐるたびに、自分がどこか生まれ変わった気がするのは、気のせいだろうか。 ど…

サンダル

最近、足の爪を切り忘れる。 頻度で言えば、手指の爪を3回切ったうち、2回は足の爪を切り忘れている。 当然、手指の爪を切りたい長さの3倍くらいまで伸びてしまって、親指…

子供のままでいたいね。

「尻が青い」という言葉を、皆さまはご存じだろうか? 試しにググってWeblio辞書様を見ると、「まだ若く未熟であること」という意味である。 ではなぜ、若くて未熟だと尻…

1

文字ももじもじ 『文字渦』

昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい p.140 「ゲシュタルト崩壊」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。 おそらく多くの人がご存じのことと思う。…

1

一握りの希望 『カード師』感想

小さい頃、カードをめくるのが怖かった。 正体を隠し裏向きで並ぶカード達は、無数の他人のようだった。ふれようと近づけた僕の指は手前で止まり、いつも宙で悩んだ。 p.7 …

13

戯言_230413

痛みはない。
しかし、痒みはある。

辛くはない。
しかし、苦みはある。

取り立て後悔があるわけでも、不安があるわけでもない。
ただ、現在にいることに関する違和感だけ、ある。

もちろん私とて、何もせず二十余年生きてきた訳ではない。色々の違和感を知っている。

Tシャツを前後逆に着ていたときの違和感とか。
部屋に忘れ物をして妙に荷物が軽かったときの違和感とか。
普段より早く学校から帰ったときの違

もっとみる

くぐる、っていいよね

今日も私は、くぐる。

玄関口を、くぐる。
橋の下を、くぐる。
暖簾を、くぐる。

何かをくぐるたびに、自分がどこか生まれ変わった気がするのは、気のせいだろうか。

どこでもドア。
国民的漫画 (アニメ)、『ドラえもん』に登場する、おそらく最も有名な秘密道具の一つである。
桃色のドアをあけると、どこでも好きな場所へつながっているという、アレだ。

この、どこでもドアについて、怖い話を聞いたことがあ

もっとみる
サンダル

サンダル

最近、足の爪を切り忘れる。

頻度で言えば、手指の爪を3回切ったうち、2回は足の爪を切り忘れている。
当然、手指の爪を切りたい長さの3倍くらいまで伸びてしまって、親指なんか、菜切り包丁みたいな感じになってる。大根とか切れそう。

何故忘れるのか?

まず手指の爪だが、大抵視界の範囲に収まっているし、真冬の外でもない限り服に覆われることも無い。痒いところを掻いたりするので、伸びると異変にすぐ気づく。

もっとみる
子供のままでいたいね。

子供のままでいたいね。

「尻が青い」という言葉を、皆さまはご存じだろうか?

試しにググってWeblio辞書様を見ると、「まだ若く未熟であること」という意味である。

ではなぜ、若くて未熟だと尻が青いのか?

これは、幼児の仙椎 (簡単に言えば尻の中心上部の骨) の皮膚に見られる、薄青い斑に由来する。
蒙古斑は通常、3~5歳で消失する。
だから、「尻が青い」=「若くて未熟」ということになる。

ここまでは、自分にも昔あっ

もっとみる
文字ももじもじ 『文字渦』

文字ももじもじ 『文字渦』

昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい
p.140

「ゲシュタルト崩壊」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。
おそらく多くの人がご存じのことと思う。同じ文字をずっと見つめていると、「あれ、こんな文字だったっけ?」となる、アレだ。
(ちなみに「ゲシュタルト (Gestalt)」とはドイツ語で、「形態」や「まとまり」といった意味。つまり形のまとまりがバラバラになってしまうのが「ゲシ

もっとみる
一握りの希望 『カード師』感想

一握りの希望 『カード師』感想

小さい頃、カードをめくるのが怖かった。
正体を隠し裏向きで並ぶカード達は、無数の他人のようだった。ふれようと近づけた僕の指は手前で止まり、いつも宙で悩んだ。
p.7

 中村文則 著『カード師』は、この印象的な一節で始まる。
 学生の私は収入に乏しく、普段なら本は文庫か、中古のものを買う。しかし書店でこの一節を目にした途端、手放せなくなってしまった。
 どこかでこんな風に、気持ちを代弁してくれる人

もっとみる