見出し画像

サンダル


最近、足の爪を切り忘れる。

頻度で言えば、手指の爪を3回切ったうち、2回は足の爪を切り忘れている。
当然、手指の爪を切りたい長さの3倍くらいまで伸びてしまって、親指なんか、菜切り包丁みたいな感じになってる。大根とか切れそう。

何故忘れるのか?

まず手指の爪だが、大抵視界の範囲に収まっているし、真冬の外でもない限り服に覆われることも無い。痒いところを掻いたりするので、伸びると異変にすぐ気づく。

しかし足の爪はどうだ。

まず前屈しなければ視界に入らない。
前屈なんて、好んで取りたい姿勢ではない。
私なんて小学生の頃から、体力テストで「長座体前屈が1番苦手」という近年稀な身体の硬さを誇ったものだから尚更だ。
おまけに、風呂場か寝る前後以外はほとんど衣類に包まれて、静かに細菌と悪臭を温めている。

気づきにくくて当然だ。

一日のうち、足の爪を目にする時間について考えて欲しい。たぶん一分に届くか届かないか、そんなところだろう。ひょっとしたら、いつの間にか他人の爪と入れ替わっていたとしても、見た目だけでは気づかないかもしれない。

『身体の中で最も臭い部位は、脇の下である』と考察したのは、アリストテレスであったろうか。その心は、『通気性が悪いから』だったと思う。

しかし、こと現代人においては、足というのも脇の下にならんで、否、もしかすると脇よりも、臭い部位となってしまっている。

裸足で歩いていたら、今みたいに臭くはならないに違いない (もっとも、別の理由で臭くなる可能性もあるが)。

だから足が臭いのは、足のせいではなく、文化のせいなのかもしれない。


足を大切に。足をもっと見よう。


こうして私は、結論づける。


今年の夏は、サンダルを買おう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?