「下天を駆けろ!」第41話(全42話)
ドクンッ!
ハルの鼓動を一際大きく感じた烈風丸は、その瞬間に全ての自由を奪われた。
(まさか…この感覚は?…)
烈風丸は戦慄した。相方に全てを委ねてしまうこの感覚。自分を纏うハルとの境界が、みるみる曖昧になって消えていく…。
(“ハガクレ”?)
「ハル!やめろ!」
だが音声化されない烈風丸の叫びはハルに届かない。ハルは逆上する感情のまま両目を赤く激らせ、全身の力を抜いてゆらりと立つ。その隙だらけの姿には防御も構えもない。それはまさに「よろぼしの構え」だった。
(その構え…ハル