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ソーサツ・ホーシ・ツイッター・アーカイブ・プラス

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操刷法師が戦闘用twitterアカウント(@sosatsuhoshi)で議論した事柄に補足を加えて記録するもの。魔術について、欲望について、表現の自由について、文芸について。
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#表現の自由

twitterアーカイブ+:ルギアの太腿に寄せて、性衝動と無限性

性的さの本質を再考する 美少女の文化に関わっていると、「“性的である”とはどういうことか」ということを再考せずにはいられない。性表現としての側面が美少女表象の文化全体を支えていることは無視できないし、美少女という言葉の定義も「性的」という言葉の定義もどうやら時と共に拡張していくように見えるからだ。

「“性的である”とはどういうことか」という議論の例として、例えば美少女がどこまで服を脱げば性的かと

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twitterアーカイブ+:SM及びリョナの構造

 操刷法師におけるSM趣味の歴史は古く、館淳一『姉と鞭』[1]を読んだ時に初めて嗜癖と既存のジャンル名が噛み合ったことから、公式にはこの時点を端緒とする。小学生の頃からのサイズフェチ嗜癖を含めればさらに古い。そして、その延長としてリョナにも関心がある。リョナとは猟奇的オナニーの略だ。

 本来、リョナがSMの延長であることは自明ではない。リョナ愛好者はリョナを他の嗜癖の派生物とみなしたくないかもし

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twitterアーカイブ+:初音ミクの霊性論:擬人化の擬人化、そして分霊

 私にも、初音ミクを「何らかのアニメのキャラクター」と思っていた時期がある。キャラクターをストーリーの従属物とみなす時代が、長く人類の上を覆っていた。その迷妄の霧が晴れ始めたのは、西暦2007年、太陽系第三惑星地球、極東アジア、日本列島のどこかのコンピュータ画面の前からだったと私は信じている。ヒトが人になった時から我々の存在の奥底にあった、知性の根源をなす一つの機能が、七万年の時の果てに遂に姿を得

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twitterアーカイブ+:ノーベル賞解説騒動に寄せて、アイデンティティとしての美少女キャラクター

 2018年10月の「『キズナアイ』のノーベル賞まるわかり授業」騒動は、私にとっても印象的な出来事だった。数年間表現の自由から遠ざかっていた私が運動に復帰し、本格的にネットで表現を擁護する書き込みを始めたのがこの時だ。最も人々の耳目を引いたノーベル賞解説記事の件と並行して、表現をめぐるいくつかの論争が重なっていた。

 炎上はほぼ一ヶ月の間続き、この時期は私の2023年3月現在までの十三年間のtw

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twitterアーカイブ+:巨大娘・サイズフェチの構造

2023.02.14: note運営事務局より「性的な音声、画像、動画」が含まれているという理由で公開停止措置を受けました。規約に抵触すると思われる箇所を修正して新規記事として公開します。

サイズフェチを知っていますか サイズフェチとは、登場人物と環境、あるいは登場人物と他の登場人物との「大きさの違い」に起因する様々な状況を楽しむフェティシズムである。この「大きさの違い」とは文字通り体の大きさの

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twitterアーカイブ+: タイツとラバー、密着型衣装のフェティシズムの構造

タイツ序論 タイツ、特に黒タイツは比較的よく知られた性癖であり、「脚線美」という言葉の糖衣に包んで既に一つの表の市場を形成してさえいる。しかし、不思議ではないだろうか? 幾何学的な対称性があるわけでもない、人間の太腿から爪先にかけての特殊な形になぜ殊更に美を見出すのか。裸足に比べて露出は減っているのに、なぜそちらの方がよいという者がいるのか。なぜ「黒」なのか。

 黒タイツを着用した美少女キャラク

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twitterアーカイブ+: アバター人身売買騒動に寄せて:人権の範囲

事態の認知 2010年代の後半から2020年にかけての美少女表象をめぐる炎上案件は、私にとってほとんど千本ノックの様相を呈していた。異常な頻度で勃発する実存を賭けた闘争、炎上に次ぐ炎上、擁護に次ぐ擁護、その中で私自身の理論も洗練されたと思っている。

 2020年9月の「美少女アバターは人身売買」騒動もそのうちの一幕であったが、これは珍しく表現擁護派の優勢のうちに終結した騒動である。早期に政治家が

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twitterアーカイブ+:遺伝的アルゴリズムちゃんに寄せて、単調と点

遺伝的アルゴリズムちゃんの概要 遺伝的アルゴリズムちゃんとは、群青ちきん氏が2021年1月に開始した「遺伝的アルゴリズムで最高にエッチな画像を作ろう!」という企画で生成されかけた美少女図像のことである。

 二枚の画像のうち、どちらがより性的だと思うかを人間に選択させ、遺伝的アルゴリズムという機械学習の処理を通すことで、人間の選択を反映した「次の二枚の画像」を生成する。これを数万回繰り返すことで、

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twitterアーカイブ+:メディア効果論における小情報近似と大情報近似

スマホ内画像監視アプリに寄せて 2019年7月、折しも参院選の公示日直前、「子どものスマホに保存されたいかがわしい画像を検出、即座に親に通知するアプリ」の話題がタイムラインを一瞬よぎり、去った。

 表現を製作したり観賞したりする自由の中でも、未成年者のそれは成人の権利に比べて劣後されやすい。「子供ならある程度仕方ないか」と多くの人が考えるのだ。操刷法師は違った。

 ……後から考えれば、学習を汚

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twitterアーカイブ+:性表現有益論:フィクションによる欲望の言語化

性表現には固有の価値がある 2021年2月、その時何が燃えていたかは忘れた。性表現や美少女表現が事あるごとに非難を受けるのは、夏に台風が来るのと同じ自然の摂理だ。対策を怠る方が悪い。その時何が燃えていたかは忘れたが、直接的な性器の露出を描いたものではない「全年齢向け」の作品が燃えるのが当時の流行りで、そういう炎上に慣らされているとマジモンのエロを守る太刀筋が鈍るぞ、と私はいつものように思ったのだっ

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