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こどもの読みもの

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こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。
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#読書

あの世の事典

あの世の事典

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📙『あの世の事典』
水木しげる 1983

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ぼくは戦争中、毎日死のことを考えていた。
どんな世界に連れて行かれるのだろう。
明日訪れるかもしれない「死の世界」で道に迷わないように。
ひとつ世界の「あの世」を散歩してみようという気になった。
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🇲🇾マレーシア…翼を持つ神エナング
🇵🇭フィリピン…死の町の王
🇮🇩インドネシア…あの世の橋の

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紫陽花

紫陽花

📘『紫陽花』
泉鏡花
明治29年(1896年)

「色青く光ある蛇、おびたゞしく棲めればとて、里人は近よらず。其野社は、片眼の盲ひたる翁ありて、昔より斉眉けり。」
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母親にいわれ、氷を売る少年がいた。町へ向かう道の途中にある社の裏から、二人の婦人が出てきて「少しばかり氷をおくれ」という。貴女と侍女であろう。少年は鋸で氷を切り分けるも、氷は手のひらで黒くなってしまう。「綺麗な氷をおくれ」、少

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ラプンツェル

ラプンツェル

📘『ラプンツェル』
グリム童話集(RHM12)
グリム兄弟(ヤーコブ・ヴィルヘルム)
1812年初版第一巻(86編)、1815年第二巻(70編)、以後七回改訂版をだし、1857年の第7版が決定版とされている。
「ラプンツェル」はクリム童話のなかでも特に人気のある傑作で、ドイツ語圏の国々では最も人気のあるメルヘン20編のひとつに数えられている。ヤーコブが1790年のフリードリッヒ・シュルツの小説か

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黒蜥蜴

黒蜥蜴

📓【黒蜥蜴】
江戸川乱歩
1934年(昭和9年)月刊誌「日の出」に連載。

💄
《暗黒街の女王》
帝都最大の殷賑地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
・・・
たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、

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アンクル・トムの小屋

アンクル・トムの小屋

📗【アンクル・トムの小屋】
ストウ夫人 1852

Never give up, for that is just the place and time that the tide will turn.
決してあきらめないでください。
そこが流れが変わる場所であり、時なのだから。

🍀
一九世紀のはじめ、ケンタッキー州のシェルビー農園では、恩情溢れる主人一家の下で、黒人奴隷たちは幸福な生活を送

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マリカの永い夜/バリ夢日記

マリカの永い夜/バリ夢日記

📙『マリカの永い夜/バリ夢日記』
吉本ばなな 1994

🇮🇩
医師を辞めたばかりの「ジュンコ」を乗せた飛行機は、バリ島を目指している。となりの席で毛布に包まってくうくう寝ている元患者「マリカ」は多重人格者である。ジュンコが「どこか旅行にでもいく?」と言った時、マリカはバリ島へ連れて行って欲しいと哀願したので、今こうして一緒に夜の中を飛んでいる。
「これ以上悲しいことが、マリカの身の上に起こ

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ムーミンパパ海へいく

ムーミンパパ海へいく

📘『ムーミンパパ海へいく』
トーベ・ヤンソン 1965 

1965年に出版されたムーミンの最後から2番目の小説。ムーミン一家が、安全で慣れ親しんだムーミン谷から遠く離れた灯台の島に引っ越します。島は、海や嵐、自然の脅威にさらされています。この物語は、ムーミンパパが「平和でうまくいきすぎている暮らし」に不満を抱き、自分自身、つまり自分の本質を見つけようとする物語です。ムーミンパパは赤ん坊のとき、

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北国街道殺人事件

北国街道殺人事件

📙『北国街道殺人事件』
内田康夫 1999

野尻湖の学術調査発掘現場から、妙な骨が出てきたという報告が、野尻駐在所にもたらされたのは、三月二十七日の午後二時頃のことである。「どうも、人間の骨みたいだし、そう古いものでもなさそうなんですがね」電話をかけてきたのは野尻湖小学校の徳武という若い教師で、いくぶん薄気味悪そうな声をしていた。

🖌️
良寛と一茶を卒論テーマに選んだ田尻風見子と野村良樹は

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床下の小人たち

床下の小人たち

📔「床下の小人たち」
メアリー・ノートン 1952

ファーバンク邸の床下にはもうひとつの家があった。狭小空間でミニチュア家具に囲まれて暮らしている小人の家。そこに住むのは、父、母、そして娘の『アリエッティ』
アリエッティは父が暮らしのルールを変えるまで、廊下より先に出たことがなかった。
桜が咲く春のこと、アリエッティが初めて床下から出ることを許された日、玄関の扉は「夢にみたおとぎの国の入り口

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恋する女たち

恋する女たち

📕『恋する女たち』
氷室冴子 1981

三人の女の子が恋に悩み、成長していく姿を描いた小説。
1986年に斉藤由貴主演、大森一樹監督により映画化される。

六年間の片思いが破れた校内屈指の美貌を誇る「緑子」
学年トップの優等生でありながら大学生の彼氏がいる「汀子」
理性的だが、恋愛関係にも理屈を求めてしまい告白ができない「多佳子」

多佳子は高校2年生。大学4年の姉・比呂子と下宿生活をしている

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土佐日記

土佐日記

『土佐日記』
紀貫之
成立時期は未詳 934年後半〜935年頃

🖌️
「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。それの年(承平四年)のしはすの二十日あまり一日の、戌の時に門出す。そのよしいさゝかものにかきつく。」

(男の人が書くという日記というものを、女である私も書いてみようと思う…。)

・・・
有名な書き出しで始まるこの日記の作者は、実は男性でした。書いたのは紀貫之。古今和

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ルドルフとイッパイアッテナ

ルドルフとイッパイアッテナ

📓『ルドルフとイッパイアッテナ』
斉藤洋 1987

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ぼくはルドルフだ。ルドルフといっても、外国人ではない。それなら日本人かといえば、そうでもない。・・・(中略)・・・ぼくは人間じゃないんだ。
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思いもよらぬ旅の始まり。長距離トラックに乗ってしまい大きな町の「江戸川」に運ばれてしまった飼い猫の僕。途方に暮れていると大きな野良猫に出会う。その猫は虎猫で名まえを聞くと
・・・
「ハハハ

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善光寺縁起

善光寺縁起

📜『善光寺縁起』

善光寺御本尊の故事来歴をつづった霊験譚。平安時代末期には全国的に広まっていたといわれています。


お釈迦様が印度・毘舎離国の大林精舎におられる頃、この国の長者に月蓋という人がありました。如是という名の一人の姫君があり、両親の寵愛は限りなく、掌中の玉と愛育されておりました。ところがある年、国中に悪疫が流行し、月蓋の心配もむなしく如是姫はこの恐ろしい病魔にとりつかれてしまいま

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山姥(能の曲目)

山姥(能の曲目)

『山姥(能の曲目)』
世阿弥

都で「山姥の曲舞」を謡って評判をとった遊女「百万山姥(ツレ)」が「従者(ワキ、ワキツレ)」を伴って、巻光寺詣に向かう。越後の上路の山中でにわかに日が暮れると、一人の女(前ジテ)が現われて、宿を貸すから評判の曲舞を謡ってくれと言う。百万山姥が「山姥の曲舞」を謡おうとすると、女はそれを止め、夜になってから自分もいっしょに謡おうと言って姿を消す。道案内の里人(アイ)が山姥

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